４１歳の時に脳いっ血で倒れた作家・永倉万治の闘病記をもとに、彼の社会復帰に向けての苦難に満ちた闘病ぶりと、彼を取り巻く同病の患者、そして家族たちの人間模様を温かい視点で描く。（１９９６年１１月１０日〜１２月１日放送、全４回）◆最終回。長倉（うじきつよし）は、はじめたばかりのワープロで依頼された原稿を書き上げる。出版社に原稿の完成を電話で告げようとするが言葉が出てこない。片足を失ってリハビリ中の同室仲間・大橋（小日向文世）と「先は長いよ」と励まし合うが、心境は複雑だ。外泊が許可され、５ヵ月ぶりにわが家に。が、電車に乗ろうとした長倉は、今度はあまりの緊張で足が動かない。普通の生活に戻るにはまだまだ遠い。

高村薫のベストセラー「照柿」のドラマ化。ひとりの刑事を中心に、幼なじみの殺人者、偶然出会った女性が織りなす愛憎劇。（１９９６年９月１４日〜９月２８日放送、全３回）◆第一話。ホステス殺人事件を担当する刑事・合田雄一郎（三浦友和）は、ある駅で転落事故に遭遇。早足に現場を立ち去る女の姿が強く心に焼き付く。ホステス殺しの捜査のため大阪に向かう途中、幼なじみの野田達夫（野口五郎）と駅で出会った女・佐野美保子（田中裕子）に再会。その後、２人の過去の関係を知って言いようもない嫉妬を感じた合田は、達夫と激しく対立するようになる。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「朝食」と題して、インドのロイヤル・オリエント（デリー・ウダイプル）を紹介する。

クリントン米大統領が来日し、１９９６年４月１８日午前に衆議院本会議場で約２０分間、日本国民に向けて演説した。「日米安保体制はアジア全体の基盤」と述べ、日米安保体制の重要性を強く訴えた。◆演説部分は副音声（英語）あり

１９８１年登録。◆カナダの太平洋岸に南に突き出たクインシャーロット諸島の端にある小さな島、アンソニー島。世界でも有数とされる温帯雨林に、先住民ハイダが１００年以上も前に住んだニンステインツ村の住居とトーテムポールが朽ちかけて残っている。没落の原因は他の部族同様、ヨーロッパ人との接触だった。◆現在、ハイダの人々は別の地に住んでいる。その一人、グウジャウの歌を聞きながら、海での魚介採集、舞踊、編物、彫刻など、民族の文化の復興に努力する姿を見る。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆高岡は、三代藩主前田利常により城下町から商工の町へと姿を変え、越中における物流の拠点として栄えた。利常の建立した瑞龍寺が、この６月に１０年をかけて解体修理を終え、３４０年ぶりに創建時の威容を取り戻した。匠たちの技を探る。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆嵯峨野の清凉寺は、もとは平安貴族で左大臣の源融の山荘で、光源氏のモデルといわれるだけに、自分に似せた阿弥陀三尊像はなかなかの美貌。本尊の釈迦如来立像は３７歳の釈迦を写したとされるので生き身の釈迦像の名で知られる。庶民の信仰が厚く、投げた賽銭の跡が体に無数の傷となっており、その様子を見た法然が、仏教のあるべき姿はこの人たちの救済だと悟って、浄土宗を開いたという。仏教が、国家や貴族のものから庶民のものへ転換する契機となった仏である。旅人は作家の松岡正剛と仏教漫画家の臂美恵。

沖縄出身のロック歌手マリーは父を知らない。自分は日本人なのか、外国人なのか、そもそも自分とは何者なのか。父の国・アメリカへ行きルーツをたどる、彼女の「自分さがし」の旅が始まる。◆朝鮮戦争のさなか、米軍海兵隊員として沖縄に来た父は、マリーが母の胎内にいるうちに戦死。祖母に育てられたマリーはやがて歌手になり、いつしか４０歳を越えていた。そして基地の町のロックシンガーからミュージカル女優となったが、彼女の心の中にはいつも満たされない部分があった。