日本の伝統芸能・工芸技術から実用技術・工作まで、現代に生きる“ワザ”を紹介するドキュメンタリー。（１９９３年４月４日～１９９６年３月３１日、全１４０回）◆墨は日本生産の９割が奈良で作られているが、この古都には今なお墨作りの全てを手作業で行い、数々の名墨を生み出している職人たちがいる。岡部敏次さんは墨作り一筋１９年のベテランである。墨は油を燃やして採ったススとニカワを混ぜて練り固め、木型に入れて一丁ずつ作るが、実はこれが凄まじい作業なのだ。ススを採る幻想的な炎の列、そしてまさに職人芸ともいうべき練りのワザ。知られざる墨作りの世界で一筋に生きる匠の技を描く。

ベトナムからトルコ国境へとアジアを東西に横断する“アジアハイウェー”。国連の提唱によって建設され、繁栄と平和の道となるはずだったこのルート上の国々の現状を描くシリーズ。（１９９３年４月２５日〜１９９４年３月２７日放送、全１０回）◆第二集は、ポル・ポト時代とそれに続く内戦で１００万人を超える犠牲者を出し、今も多くの命が失われ続けているカンボジアを横断する。復興が急速に進む首都には、路上で生活する子供たちがいる。戦闘で両親を失った者、貧困のため捨てられた者。タイの国境から帰還する女性は、１８年前、１１歳のときに別れた母を捜す旅に出るという。小学校が再建され、仏教の再興も進むこの国の現実を見る。

　１９９１年に９７歳で亡くなった洋画家中川一政は、戦災で家を失ったあと、神奈川県の真鶴半島に住み着き、この地が画伯の第二の故郷となった。真鶴半島自然公園の樹林の中に建つ美術館は、文化勲章受章の画伯から多数の作品の寄贈をうけ、真鶴町が９１年に開館した。生涯に２００点近い作品を遺した「薔薇」や、真鶴に移ったあと徹底的な現場主義を貫いた「福浦魚港」、「駒ケ岳」などの作品が、中川絵画の魅力を生き生きと伝える。

日本はウランを燃やしてできるプルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」の実現を目指してきた。それは資源小国の夢だった。だが、現実には先進国の多くは技術的、経済的理由で事実上撤退。日本はこれらの現実にどう対処するのか。イギリス、フランス、ドイツからの報告を交えて、多角的に実証する。

「系列」の強化をおし進める親会社に対して、企業の自主性を守ろうとする会社創設者の社長とその息子たち。彼らの闘いを通し、現代企業人の魂を描く。原作：清水一行。（全２回）◆第１部「社長の椅子」。先代が興した町工場を従業員３千６百人の自動車ランプメーカーにまで育てた大成照明器の社長・浜岡茂哉（佐藤慶）。しかし、そのためには日本を代表する巨大自動車会社の系列下に入らざるをえなかった。その親会社・東京自動車が内規にしたがって、６８歳の茂哉に引退を迫ってきた。茂哉は長男の祥吾（三浦友和）に後を継がせたいと思うが、東京自動車はそれを許さない。やがて、金融ブローカーをしている浜岡家の次男・恒男（西城秀樹）も争いに巻き込まれてゆく。

認知症の症状が出始めた妻と共に、大阪の下町で喫茶店を営む三郎のもとに、三男死亡の報が飛び込んできた。三男の葬式は「残された３人の兄弟のうち、老夫婦をだれが引き取るか」という家族会議の場となった。時代の波に翻弄されながも懸命に生きてきた１組の老夫婦を通して、幸せとは何かを見つめ直す。◆宇土三郎（浜村純）、とく（村瀬幸子）夫婦は、熊本で生まれ、結婚後、大阪へ移ってきた。今は小さな喫茶店を開き、平穏な生活を営んでいる。とくはボランティアで毎日チンチン電車に乗り、身寄りの無い老人に弁当を配るのを生きがいにしている。三郎の気がかりは、妻とくに認知症の症状が見られることだった。そんな２人を熊本に住む三男の幸治（平田満）が遊びに来ないかと誘った。

「菩薩」とは、悟りを求める人のことを言う。王子であった釈迦が慈悲の願いを持った時の姿、すなわち髪を結いあげ、宝冠をかぶり、装身具をつけた華麗な姿で表される。「如来」の候補者としてその手助けをする菩薩は人々に身近で親しみやすいことから、観音、地蔵、文殊など多くの菩薩が生まれ、庶民の信仰対象になっていった。全国各地に散在するたくさんの美しい菩薩像を訪ね、来歴などを紹介。また菩薩像の特徴などを分かりやすく図解して仏像観賞の手引とする。◆【国宝】日光・月光菩薩立像（薬師寺）、観音菩薩立像（聖観音／薬師寺）、弥勒菩薩（中宮寺）、千手観音坐像（蓮華王院（三十三間堂））【重要文化財】文殊院・文殊菩薩、額安寺・虚空蔵菩薩

日本文学の名作を、日本を代表する演出家がテレビドラマ化するシリーズ。（前後編）◆母が離婚して家を出て以来、主婦と母親の２役を務めてきた娘に縁談がまとまり、父子家庭に波紋がひろがる。そこへ突然の破談。娘の心は揺れる。◆破談が納得できず悶々とした日を送るしず子に叔父の素香が両親の隠された過去を話す。むつ子は、女学校を出てすぐに妊娠したが、恋人の大学生が急死。義平はすべてを承知でむつ子と結婚し、生まれてきたしず子をわが子として育ててきたのだ。しず子の誤解が解けた矢先、義平が持病の発作で倒れる。