平成８年（１９９６）春、上方落語界の重鎮・桂米朝が重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝の認定を受けたことを記念する番組。祝賀パーティーの様子を紹介し、出席者や弟子たちによるお祝いの言葉、米朝師匠と谷村新司の対談、桂米朝・吉村雄輝・竹本住大夫・吉田簑助・吉田文雀の人間国宝座談会、そして米朝の落語「天狗裁き」で構成する。

萩の沖合に浮かぶ見島の大凧揚げの行事を中心に、海に囲まれた島で誕生から死まで家の絆を大切にする人々の想いを、正月、盆の風習を通して見る。鬼ヨーズ（大凧）は中国大陸との交易が盛んだった頃伝えられたという。後継ぎが生まれるとその子の健やかな成長を願って正月に揚げられる。正月には「お日待ち」という神事や、盆の「精霊おどり」など、島ならではの伝統行事が見られる。◆鬼ヨーズ〔山口県〕、お日待ち〔山口県〕、精霊踊り〔山口県〕

北海道のアイヌの人々は自然を神と考え感謝しながら生活していた。その民族の伝統的な精神を復興しようという動きが始まった。復活した生活習慣や祭礼を見る。「アイヌモシリ」とは「人間の静かな大地」のことで、人間と自然の共生をアイヌの人たちは何よりも大切にしてきた。人々は忘れられたアイヌ語の復活から始め、農耕、儀式、家屋の再現まで、先祖の心を引き継ごうと努めている。

原子力発電所の建設の是非を問うて争われることとなった１９９３年４月の石川県珠洲市市長選挙。その選挙で発覚した不正やずさんな選挙管理などを追いながら、巨大プロジェクト原発立地が過疎の町にもたらすものを考える。◆推進派の現職市長と反対派のもと小学校校長の一騎討ちとなった選挙。投票の結果はわずか千票たらずの差で現職市長の勝利となったが、総投票者数より票の数が１６票多かったことから混乱が始まった。開票作業は３日間中断し、選挙管理委員会は選挙の有効を宣言。しかし反対派は選管への意義申し立て、裁判所への無効確認訴訟へ動き、その過程で推進派の組織ぐるみの不在者投票工作や選管の投票受け付けのずさんさ、ついには投票用紙の偽造疑惑までが浮かび上がってきた。

現在と過去のヒット曲トップ１０を交互に発表。過去のヒット曲の歌手のインタビューも交えておくる音楽バラエティ。ＭＣは徳光和夫と飯島直子。◆第１回は、１９６８年（昭和４３）１０月のヒット曲と１９９６年（平成８）１０月・今週のヒット曲を、ＶＴＲ映像で紹介していく。スタジオゲストは瀬戸朝香、渡辺正行。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆ねぶた祭りの由来は、盆の終りの精霊流しや禊（みそぎ）にあるといわれる。その祭りの大きな組人形を作る人を『ねぶた師』という。内山卓也さんは最年少のねぶた師。中学２年のときに名人千葉龍作氏に弟子入りし、以来、ねぶた作り一筋に生きている。ねぶたの題材は、三国志や戦国時代などの武将、英雄が多く、前年から考え始めている。青森の夏の夜を彩るねぶたを通して、ひと夏に情熱を燃やすねぶた師の心意気と技を描いていく。

太夫が「情を語る」、三味線が「模様を弾く」、このコンビネーションが文楽の醍醐味を作る。その模様をみる。三味線の役目は、まず旋律を歌うこと、場面の景色や状況を描くこと、そして人物の感情を表現すること。一方で太夫の力を最大限に引き出す役目も持つ。太夫と三味線は「付かず離れず」の微妙な間と呼吸の合わせ方で、観客に義太夫を楽しませる。竹澤団六さんは、名手が弾いてこそ豊かな楽器であるという。◆「絵本太功記」尼が崎の段、「恋飛脚大和往来」新口村の段、「本朝二十四孝」奥庭狐火の段、「伊賀越道中双六」沼津の段、「艶容女舞衣」酒屋の段、「御所桜掘川夜討」弁慶上使の段、「伽藍先代萩」御殿の段、竹澤団六。◆副音声は英語

アイヌの人々はサケを神の魚「カムイチェプ」と呼んで大切な食料とした。登別市のアイヌの人々は１０年前、伝統的なサケ漁の仕掛け「ラウォマップ」を復元し、合わせてサケを迎える儀式も復活した。サケを迎える儀式は柳の木で作る「イナウ（神様への贈り物）」作りから始まる。男達がサケを捕るころ、女達は祭りの酒造りをする。人々はかすかな記憶と、わずかな資料をもとに、伝統を残そうと努力している。◆イナウ作り〔北海道〕、ラウォマップ作り〔北海道〕、マレップの使い方〔北海道〕、サケを迎える儀式〔北海道〕