レポーターが山形県内各地の見どころを探訪するシリーズ。◆この回からレポーターをつとめる小林綾子の出世作といえばドラマ「おしん」。その舞台ともなった尾花沢市の銀山温泉を訪ねる。川を挟んで木造３階、４階の建物が軒を連ねる、大正ロマン漂う温泉街。ドラマで使われたこけしを作っている工房には、まだそのこけしを求める客が来るという。

「鏡に向かってつく息は。消えぬ執心」というテーマで、一旦鐘に消えた白拍子（遊女）が蛇体となって現われ、僧侶の祈りで退散する。◆最終回は、白拍子がなぜ鐘に恨みを抱いたのかという、なぞ解きと結末である。鐘が上がった時の蛇体（鬼女）を各流派のシテ演技で見るのも興味深い。さまざまな芸能にも取り上げてこられた『道成寺』は、日本の芸能にとって貴重な財産である。◆「道成寺」鐘が上がった時の各流派のシテ演技の模様金春流本田光洋、金剛流金剛永謹、喜多流中村邦生、宝生流田崎隆三。◆副音声は英語

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川３００年の下に埋もれてしまっている。戦乱の渦巻く時代に長く栄えた今川氏の謎を追う。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆全国寺院大鑑によれば、静岡県の寺は曹洞宗４３パーセント、臨済宗２０パーセントと禅宗寺院が圧倒的に多い。今川氏と禅宗の深いかかわりを示している。第七代当主氏親は幼いころ父を失い、焼津市の曹洞宗寺院で過ごして影響を受け、政権奪回後帰依して曹洞宗を保護する。氏親死後は曹洞宗は衰え、替わって義元とその軍司役をつとめた雪斎の信仰した臨済宗が強まる。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「仲なおり」と題して、イタリア・ヴェネツィア・フィレンツェ・ラッダ・イン・キャンティの道のりを紹介する。

ヨーロッパの新しい歴史を切り開いたルネサンス。その大きなうねりの頂点に立つレオナルド・ダ・ヴィンチは、芸術も科学も技術も一体のものとして人間の限りない可能性を追求し、その才能を遺憾なく発揮した。しかし、この天才もその生涯は栄光と挫折の繰り返しであった。生地ヴィンチ村から没したアンポワース（フランス）まで、名取裕子がその足跡をたどりながら、自然と人間を見つめ続けた彼のロマンを追う。「モナリザ」のモデルへの仮説、修理中の「最後の晩餐」の映像が見どころ。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆波野村には、春の到来を祝う萩神社の春祭りがる。中江の岩戸神楽。家内安全、五穀豊穣を願いつつ舞われるこの神楽は神秘的でありながら、庶民の香りがする、どこか懐かしい響きを持つ。そして、神と人々が一体となるかのような、とてもダイナミックな舞い。

豊かな自然と各地に暮らす人々の風景を、美しい映像と人間味豊かな内容で伝える紀行番組。◆神奈川県鎌倉市の大船界わいは、映画にゆかりの深い街。映画スタジオや、今に残る当時の街のたたずまいなどを散策する。松竹大船撮影所は昭和１１年、東京蒲田から移り約６０年の歴史を持つ。番組では、カマボコの愛称で親しまれたスタジオや飲食店、撮影所近くの金物屋や和菓子屋の主人の思い出話、円覚寺に眠る小津安二郎監督や佐田啓二、田中絹代の墓も訪れる。更に、小道具係やカメラマンなどから、なつかしい映画づくりや撮影所のエピソードが紹介される。

江戸時代の髪結床には将棋や草双紙それに講釈本などあり、町内の若い衆の溜まり場になっていた。ろくに文字を知らぬおっさんに無理に講釈本を読ませて面白がったり、将棋に夢中の二人の横でキセルの両端とも雁首に付け替え、吸おうとして慌てる姿を喜んだりしている。そこに主人が出てきて、賑やかさに気をとられていたら客が銭を置かずに帰ってしまったという。