名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆おみねと息子・秀勝が不慮の事故で死去。秀吉は柴田勝家との確執に勝ち、信長から中国地方平定の総大将に指名される。同じく中国攻めを命じられた明智光秀は、信長への不信を募らせついに決起する。

臼杵市の中心から南西へ５キロ、田園がひろがる一角に、石仏の里、深田地区がある。平安時代から鎌倉時代にかけて、岩肌に彫られた６４体の磨崖仏は４か所に分かれている。深田地区の人々は、石仏に豊作の願いをこめて祈ってきた、という。石仏祭りも最初は農家の祭りとして始まったが、今、その裏方は、深田地区青年団が一手に引き受けている。火祭りの日、朝５時半に集合して、千本のたいまつ作りに取り組む。石仏の里を炎で包み、幽玄の世界を演出するため、たいまつを参道やあぜ道に７・８メートル間隔で立てる。午後８時、石仏の里の田んぼの中に親火が灯されると、これを合図にすべてのたいまつに火が灯る。石仏の里は、幽玄の世界へと変わる。

万葉の昔から都に暮らす人々は、琵琶湖を「海」と呼んで親しんだ。琵琶湖には５０種を超える魚類が住む。琵琶湖特有の多様な漁法が編み出され、伝統として受け継がれている。同時に加工法にも独自なものが生まれた。ふなずしに使うニゴロブナの漁法から、加工熟成の工程を中心に仕込みから完成までの９カ月を追う。仕掛け網のエリや簗で魚を捕る琵琶湖の漁法の秘密を探り、湖の幸への感謝の気持ちと千年の歴史を支える漁民の心を伝える。◆ニゴロブナのふなずし作り、オショウライの儀式〔滋賀県〕

中国山地、岡山県北東部の美作地方は、なだらかな斜面や平坦な地理条件を利用して牛を放牧し、役牛である美作牛の産地として知られた。機械化が進み牛を飼育する農家は減ったが、今も内厩（母屋の中に牛を飼う場所を設けたもの）で牛と生活を共にする農家がある。◆役牛の供給地として栄えたころの中山神社と地元衆とのつながりや牛と相性の良い猿宮との関係など、牛と人間の交流の歴史を振り返る。◆羽田神社のお田植え祭り、中山神社の秋の大祭みこし巡幸、大日講〔岡山県〕

　実業家、岩崎与八郎氏の個人の蒐集を基にした美術館。日本の洋画の幕を開いた鹿児島出身の黒田清輝や、藤島武二の作品の他にゴーギャンやマチスなど南国にふさわしい、色彩感溢れる画家たちの作品を多く展示している。文明社会に失望してタヒチに渡ったポール・ゴーギャンの木版画「ノア・ノア」やメキシコの風景を描いた海老原喜之助の作品など、南国の豊かな光に溢れ、特色あるコレクションとなっている。（鹿児島県指宿市）

青森県下北半島にある恐山は、死者の霊に出会えるといわれる霊場である。夏の大祭を中心に恐山と「イタコ」を見る。◆恐山は地蔵信仰のかなめである。地蔵はこの世とあの世の境に立って地獄へ行くのを救ってくれる仏である。イタコは口寄せ−死者の言葉を語ること−をして、死者と現世の人をつなぐ。年々減るイタコは恐山の象徴である。厳しい自然を生き抜こうとした人々の心を支えてきたのが恐山信仰である。◆津軽のイタコの習俗〔青森県〕

著名人が自分の思い入れのある場所を訪ね、その人ならではの紹介をする旅番組。◆「ねむの木学園」の創始者・女優の宮城まり子さんが、オーストリア・ウィーン郊外の「芸術家の家」と呼ばれる州立神経科病院施設を訪ねる。ここでは１２人の患者が共同生活をしながら、自由な創作を続けている。この旅で宮城さんは自らを見つめ、自分と子どもたちのこれからのあり方、時間の過ごし方を模索する。

戦後の日本文学を代表する作品といわれる「死霊」の作者、埴谷雄高さんの創作と思想形成の内面を描き、１０日間、５０時間におよぶインタビューを通して、その独白をじっくりと聞く５回連続シリーズ。◆昭和５０年、中断から２６年ぶりに「死霊」第５章「夢魔の世界」が発表された。この「夢魔」の章を中心にこれまで発表された８章までの「文学」を埴谷雄高が自身の世界を解説する。