人口三千人の岐阜県加茂郡東白川村。５０年前、この村から９０９人が戦場に送り込まれ、２０３人が戦死した。戦争の記憶を持つ人が生きているうちにと始まった平和祈念館建設を追いながら、村と戦争のかかわりを描く。◆戦友を思い追善供養をするために戦時中の品々を集める人。戦死した兄を敬慕しつづける弟。国策だった満州（減殺の中国東北部）開拓に参加し、国に裏切られた思いで帰国した人、そして中国に残留した婦人。エピソードを重ねて戦争と戦後を描き出す。

全国でも有数の豪雪地帯の山古志村（やまこしむら）は、雪消えと同時に山が緑になって行く。この村のシンボルになっている「ブナ」が、村のあちこちで活き活きと耀き、ぶな林に囲まれるようにして山の斜面に棚田が広がっている。「卯の花」として知られるウツギが咲くと、田んぼに苗を植える、という習わしがある。棚田は機械が入らないので、すべて手作業となる５月は忙しい毎日が続く。◆山古志村は闘牛が名物で、およそ千年の歴史がある伝統行事になっている。牛のツノツキは、５月から１１月まで、毎月１度開かれるが、伝統行事としての面を重んじて勝敗は決めない。◆山古志村のもう一つの名物は錦鯉。棚田の一部を利用して造らた錦鯉の養殖池に、見込みのある若い鯉を放流する。錦鯉のせり市も週一回開かれて、県内外から愛好者や業者が集い、賑やかになる。

元弘３年（１３３３）赤松氏が姫山の地にはじめて砦を築いて以来、１３氏族４８代が城主となったが、現在ある形の城郭を築いたのは池田輝政である。輝政は関ヶ原の戦いの功績で播磨五十二万石を与えられ、慶長５年（１６００）姫路城主となった。そしてその翌年から９年がかりでこの地の古城を廃して、新たに築城した。現在、姫路城には国宝や重要文化財に指定された建築が８２棟もある。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「アモーレ・ボローニャ」と題して、イタリア・ヴェネツィア・フィレンツェ・ラッダ・イン・キャンティの道のりを紹介する。

夫婦漫才の宮川大助・花子を襲ったがんという病。その闘病生活を通して、普遍的な夫婦愛を描く。（１９９５年５月８日〜６月８日放送、全２０回）◆１９８７年秋、宮川大助・花子は売れっ子漫才コンビとして超多忙な日々が続いていた。だが舞台を下りた花子（毬谷友子）はぐったり疲れていて稽古に身が入らない。舞台とは逆に仕事の主導権をとっている理論派の大助（辰巳琢郎）は、いまが正念場だと考えていて、周りの休養の勧めに耳を貸さなかった。しかしさすがに夜も眠れない花子のようすに普通でないものを感じ、病院に連れて行くことにした。◆解説副音声あり

１９９４年１１月、ポーランドの古都・クラクフにオープンした日本美術館には、浮世絵５０００点が収蔵されている。これらの絵を集めたのはポーランドの資産家、フェルクス・ヤシェンスキ。彼が破産に至るまで収集した浮世絵は今も往時の色彩をとどめている。同館開設には映画監督アンジェイ・ワイダ氏の尽力があった。日本の浮世絵のとりこになった一人のポーランド人の数奇な運命をたどる。

戦後の日本文学を代表する作品といわれる「死霊」の作者、埴谷雄高さんの創作と思想形成の内面を描き、１０日間、５０時間におよぶインタビューを通して、その独白をじっくりと聞く５回連続シリーズ。◆昭和５０年、中断から２６年ぶりに「死霊」第５章「夢魔の世界」が発表された。この「夢魔」の章を中心にこれまで発表された８章までの「文学」を埴谷雄高が自身の世界を解説する。

神奈川県横浜市で昭和８年からジャズ喫茶を営んできた吉田衛さんが亡くなった。彼の追悼コンサートの模様を中心に、ジャズを通して生まれた人々のつながりを描く。◆横浜・野毛のジャズ喫茶「ちぐさ」は、音楽業界で活躍する多くのジャズメンたちが若い頃に通った店である。ジャズを愛した“オヤジさん”吉田さんを偲んで、今日も常連客が集まる。そして吉田さんの追悼ライブの準備が進む。この日のために作曲された「ちぐさ」の曲が演奏され、会場の参加者たちに感動を呼ぶ。