古来、人間の暮らしは水と切り離すことができない。山紫水明、豊かな水にめぐまれた日本全国から、水と共に生きてきた人々の営みとふるさとへの思いを伝える。◆熊本平野を流れて島原湾へと至る白川の源は、阿蘇山の麓。水源は名水の一つに数えられ、噴出する水量は毎分６０トンという豊かさを誇る。水の里、白川村ではこの水源だけでなく至るところから清水が湧き出しており、農業・生活に利用されてきた。池の川水源の守り神・岩下神社では、米の収穫が終わると豊作を感謝して水神祭りが開かれる。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆農民にとって田植えの後の病害虫の発生は、大切な農作物が全滅するかしないかの大問題。およそ三百五十年前、寛永年間から伝わる虫追い祭りには豊作を願う農民たちの心が込められ、現在も祭りは少しずつ形を変えながら伝えられている。

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川三百年の下にうずもれてしまっている。戦乱の渦巻く時代、長く栄えた今川一族の謎を探る。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆戦国三大文化とは、越前一条谷の朝倉文化、周防山口の大内文化と、駿河の今川文化をいう。駿河の島田市で鍛冶屋の家に生まれた宗長は、今川義忠の小姓として仕えたのち京に上る。当代随一の連歌師宗祇のもとで修行して高名な連歌師となり、全国の有名大名に招かれる暮らしの後今川七代氏親に召し抱えられて文化の向上に貢献する。

主の死に際して殉死を許されなかった武士が、あえて殉死したことから起こる阿部一族の悲劇を通して、「男の意地」を描く時代劇。◆寛永１８年（１６４１）、肥後熊本藩主・細川忠利が逝去。恩を受けたものは次々と殉死するが、阿部弥一右衛門は忠利存命中に殉死を禁じられたため、思いとどまった。しかし、周囲の目は冷たい。彼は権兵衛ら５人の息子の悔しさを察して殉死するが、それが殉死差し止めの後だったため、阿部家は増石を受けられなかった。弥一右衛門の一周忌、権兵衛が忠利の息子を激怒させたことをきっかけに、阿部一族最後の抵抗が始まる。

腕の良い大工の熊さん、酒が入ると仕事はせず、借金はする。子どもの亀吉と女房を追い出し、馴染みの女郎と暮らすが続かない。一人暮らしになってやっと目が覚め、酒を断ち、一生懸命働き立派な棟梁となる。◆ある日、道でわが子亀吉と出会った熊さん、女房が再婚もせず苦労していることを知る。悪かったと亀吉に小遣いを渡し、明日二人でうなぎを食おうと約束するが…。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすくおもしろく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」などを交えて構成する。◆岐阜県関市にある「ナイフ博物館」は、昭和６２年（１９８２）地元企業の博物館として創設された。館内はナイフの歴史と種類を展示解説、刀作りの実演あり、庭では、ナイフ作りの実演が数人により行われ、また、ナイフ研磨歴４０年の名人の話と実演もある。

人生の転機を迎えたひとりの男とその家族を中心に、それぞれの生き方を模索する人々を暖かく描く。（９月３０日終了、全３回）◆明は妻・久子と娘・奈美との３人家族。自動車会社で設計の仕事に携わってきた。ある日リストラ計画で販売店への出向を命じられるが、設計ひとすじだった明にノルマは重くのしかかり、戦時中の空襲の際に自分を助けてくれて以来親代わりのように自分を支えてくれていた百合子のアパートを訪ねる。いっぽう久子は明の悩みに気づいていたが、何も話さない夫に不満を抱いており、奈美は妻子ある男性とつきあっていた。

ベトナムの首都・ハノイからベトナムロードを南下、３世紀から１６世紀までベトナム中部に君臨したチャンパ王国の遺跡を探る。鹿児島大学教授の新田栄治さんの分かり易い解説と軽いタッチの旅紀行とで幻の王国の歴史と文化をたどる。◆南北に長いベトナムの国土をつなぐ２，４００キロのベトナムロードを走り歴史に分け入る。海のシルクロードの中枢として栄華を誇ったチャンパ王国だが北の農業民キン族に攻撃され、１７世紀のアジア大航海時代の終焉と共に滅亡した。聖地ミソン遺跡や謎に包まれたサーフィン族の墓地など数々の遺跡をめぐるうち、かつての貿易港に日本人街があったなど意外にも日本とのつながりが深かったことが分かってくる。