半世紀にわたって世界各地を取材してきた民族ドキュメンタリーの巨匠、牛山純一の演出で、異文化、民族の心を問う。（１９９５年２月、ＮＨＫ「ＢＳスペシャル」枠で放送）◆牛山は、１９７６年にアフリカ南部のカラハリ砂漠に住むサン族の一部、ジェワ族の村に長期滞在し、ブッシュの民の伝統的な生活を体験した。その時に親しくなった名ハンターのカオや最年少だったカーイシエとの再会を軸に、１８年間で変わってしまったカラハリ砂漠やブッシュの英雄たちの生活をドキュメントしながら、２０世紀の民族文化の変容を浮き彫りにしていく。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、俳優の三國連太郎さん。

人生の転機を迎えたひとりの男とその家族を中心に、それぞれの生き方を模索する人々を暖かく描く。（９月１６日～３０日、全３回）◆姉のように慕ってきた百合子が誰もいない部屋で一人話しつづける姿を見た明は、百合子とのことを妻・久子たちに打ち明ける。ともに空襲で家族を失った百合子と明、百合子は代用教員をして他人の明を育ててくれたのだった。また、姉弟のようだと思っていたお互いの本当の感情に気づいてからの二十数年の葛藤についても告白する。

１９４３年１０月、学徒出陣が公布された。学業半ばの身で戦地に赴かなければならない学生たちは、せめて素晴らしい思い出を胸に悔いなく行きたいと「第九」演奏会を開いた。その実話に基づき、実らなかった恋をからめて描くドラマ。戦後５０年特別企画。◆東京帝国大学生・最上陸郎（筒井道隆）は、勤労奉仕で知り合った東京高等音楽学院に通う吉野佐和子（戸田菜穂）と心を通わせるようになる。しかしいつ戦地に駆り出されるか分からない身で恋を語るのは相手を悲しませるだけと戒められる。やがて陸郎も徴兵検査に合格。素晴らしい壮行会を開きたいという思いは、やがて第九の演奏会へとつながっていく。「歓喜よ、すべての人類は汝の優しき翼の下、友達たれ」その詞を歌いあげるためにはまだいくつもの困難があった。

佐賀県竹崎島は日本の潜水漁業発祥の地である。今も全国で働く島の若者は、年の暮れになると祭りのため島に戻る。◆竹崎観音の『鬼祭』は正月２日、３日に行われる。鬼副と呼ばれる役は２０歳の若者から選ばれ、赤い着物で祭りの連絡と進行を務める。終わった時には赤着物がボロボロになるきつい役である。若者たちの団結を強め、若者集団の中で通らねばならない儀礼としての鬼祭は、潜水作業に就く若者の通過点である。◆竹崎観世音寺修正会鬼祭〔佐賀県〕

四国遍路は１，４００キロを歩く巡礼の旅。そのお遍路さんに自らの幸福を重ねて、接待をする風習が四国にはある。◆１，２００年前に弘法大師が開いた８８の霊場巡りは、死に装束と大師の化身のつえ、菅笠で歩く。地元の人たちは大師の化身を茶で迎え、食事や宿を提供する。自らもご利益に頼るからとはいえ奉仕の姿は素晴らしい。すり減ったつえに旅の厳しさがにじみ出る。巡礼を終えた人の表情は、限りなく明るくさわやかである。◆四国遍路

アジアに暮らし、戦争や紛争の影響を受けた人々１００人が、ビデオカメラを手にその生活を記録。戦後５０年に秘められた人々の心や、未来に向けて見え隠れする歴史を探っていく。

新潟の造り酒屋を舞台に、大正から昭和へ、強い意志を持って自分の人生を切りひらく盲目の少女・烈と、彼女を支える叔母・佐穂の姿を描く。原作：宮尾登美子。（１９９５年６月４日～７月９日放送、全６回）◆新潟の大地主で造り酒屋を営む田乃内家。明治３６年（１９０３）、当主が亡くなって長男の意造が後を継いだ。結婚して８人の子どもをもうけるが、いずれも無事に育たない。結婚して１４年目の大正８年（１９１９）、９人目の娘が誕生。意造は死神にも負けないよう烈と名付け、妻の妹・佐穂を養育係に招いた。