１９９６年８月４日、新潟県巻町で原子力発電所計画の賛否を問う全国初の住民投票が行われ、住民の６割以上が計画に反対の票を投じた。議会の議決こそ民意とする原発推進派と、直接投票こそ民意とする住民たちの２年間にわたる民主主義のあり方をめぐっての攻防を描く。

島根県美保関町は古代神話の舞台である。この小さな港町に室町時代から続く国譲りの神話の祭りがある。◆お祭りは海の守り神・恵比寿様の葬式を再現するもので、冬と春の大祭に分かれる。この祭りを取り仕切る役が頭人で、当屋と呼ばれる神になる主役２人がこの神事を進めていく。私生活にまで制約を受ける厳しい役だが、恵比寿様はそんな仕来りに守られた祭りの中で今も人の心に生き続ける。◆美保関の青柴垣神事〔島根県〕

横浜・関内駅の近くに喫茶店「かもめ」がオープンした。来客は「いらっしゃいませ」という元気なあいさつと丁寧な接客に迎えられ、ウェイトレスとして働いている５人が知的障害を持っていることを知らない。彼女たちのしぐさから障害者と気付くと、驚く人もいれば、励ます人もいる。彼女たちの両親の共通の心配は、自分たちがやがて老いて娘の世話をできなくなることである。健常者と同様に働く彼女たちの姿を通し、知的障害者の社会参加を考える。

戦時中、軍国体制の末端を担って召集令状を手渡し、志願兵を募り、戦死公報を家庭に届けた一人の兵事係員の証言と兵事資料を通して、民衆の戦争史に光を当てるドキュメンタリー。◆富山県在住の男性は、元兵事係として徴兵資料の基礎となる在郷軍人名簿などを作り、村の人々の生と死を見つめる職務に就いていた。彼は戦後、軍の命令に反して自分の意志で自宅に８０００枚の兵事資料を保管した。この資料から、赤紙を受け取った人々の苦悩や葛藤は言うまでもなく、彼自身の悲痛な叫びが伝わってくる。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆姫路市の北西部に位置する標高３７０ｍの書写山。このほぼ全域を境内とする円教寺は天台宗の一大道場として千年の歴史を持ち、西の比叡山と称されるひとつの聖域を作っていた。旅人は建築家の鈴木エドワードと内装デザイナーの三橋いく代。二人が目指すのは境内で最も厳しい修行の空間、大講堂・食堂・常行堂の三つの堂。いずれも室町中期の天台密教の代表的建築である。そして森と山、光と闇、壮大な建物と精緻な細工など対比の妙を通して円教寺の伽藍の魅力を探る。

広大なアメリカの荒野を舞台に真実の人間愛を描くドラマ。１９８４年に放送されたシリーズのスペシャル版第９作。◆伊崎正人と直人の兄弟は病気で母を亡くし、死んだと聞かされていた父がオレゴンで牧場を経営していることを知る。母の遺品を父に渡すために二人はオレゴンを訪ねが、牧場は廃屋になっていた。偶然知り合った真理子とキャリーの助けを借りて、シアーズ牧場で馬の調教師として働く父を見つけ出すが、母の死を伝えても父は冷たい。反発した正人は帰ろうとするが、航空券を無くした二人は牧場で働くことになる。◆感動ドラマスペシャル

俊寛は自分だけが帰郷を許されなかった悲しみを語り、断腸の思いで船を見送る。◆歌舞伎では男泣きする俊寛を、能では感情を抑えた動きで表現する。これこそが能の本質で、能では俊寛を外から客観的に描き、片方で心の動きをじっと体にためて、それを観客に伝える工夫をしている。故観世寿夫の「心より心に伝ふる花」の言葉がそれを物語っている。◆「俊寛」観世寿夫、宝生弥一（重要無形文化財保持者）、浅井文義、永島忠侈。◆副音声は英語

高知県内の観光スポットや、歴史・文化・風習、また新規事業などを紹介するシリーズ。（１９９６年４月７日〜９月２９日放送、全２６回）◆第１２回。土佐弁には、古い時代から続いている方言が数多く残っている。一つの物事を語るにも、微妙ないくつかの表現がある。その一つ「しょうノウがわりい」は、頭が悪いと言う意味ではなく、都合が悪いとか、具合が悪いとかの意味で、それも場合場合に応じて使い分けをする。今も高知にある「生きた言葉」を中心に、土佐弁のみのリポーターが案内する。