国産石鹸は、フランス人から製法を教わった磯子村出身の堤磯右衛門が、１８７３年（明治６）に製造に成功したのが始まりとされる。磯右衛門のひととなりと、半生を賭けた苦心の石鹸づくりを紹介する。

「鬼平」こと江戸の火付盗賊改長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代劇。鬼平第７シリーズ。（１９９７年７月１６日終了、全１５回）◆平蔵の治療も手がける中村宗仙は、腕のいい指圧師。そんな宗仙の麻布ねずみ坂の家に、白子屋菊右衛門の手下である浪人・石島が出入りしていた。宗仙はかつて白子屋の妾・お八重と深い仲になり、それを知った白子屋から「３年以内に５００両払えばお八重をやる」と言われ、石島を通じて金を払い続けていたのだった。主題歌：ジプシー・キングス「インスピレーション」

旅の人形遣いの男と、地元の伝統人形浄瑠璃に取り組む少女との出会いを通し、人形の世界に託した愛の物語を描く。◆信州の南、伊那谷に十年前、東京から不気味な人形と男が移り住んだ。人形師・岡本芳一。彼の代表作は、道成寺伝説で知られる、自分を捨てて逃げた男を焼き殺した清姫を題材にした「清姫曼陀羅」。彼は何故、山深い隠れ里に逃げ込むように身を寄せたのか。伊那谷に三百年前から伝わる人形浄瑠璃「今田人形」を守る一人の少女、前田美可は彼のアトリエを訪れる。そこで彼女が目にしたのは、人形師と人形の不思議な関係、人形師が東京に置き去りにした女の影だった。悪夢のような人形と人形師の物語が終わるとき、少女は大人に成長し、女に変わっているのに気づくのだった。

殺人の罪を着せられて死んだ妹。兄は真犯人を突き止めるが…。原作は斎藤澪「待っていた女」。◆富山県・魚津の港に停泊中の大型漁船の中で、乗務員の三戸が殺された。妻・奈美江が犯人とされ、彼女は流産した子供と共に死亡する。１年後、奈美江の兄で造船技師の矢沢は、妹の無実を証明するため、魚津にやってきた。三戸に愛人がいたことを突き止めた矢沢はその女性が真犯人と、行方を追う。まもなく矢沢は屋台の飲み屋を営む圭子と知り合い親密になる。ところがやがて、矢沢が突き止めた真犯人は、他ならぬ圭子だった。

過疎の村、福島県昭和村の現況と地域活性化のために手がけた織姫制度をめぐる村人と織姫とのふれあい、そして奥会津の大自然の四季を描く。◆人口２０００人のこの村では、夏用着物の原料として使われてきた「からむし」が栽培されてきたが、後継者不足に悩んでいる。村では平成６年から織姫体験制度を導入、都会から女性を招き、からむしの栽培から織りまでの作業を研修してもらうことにした。研修が終了した後も村に留まり、からむしに携わる仕事を続ける女性がいる。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆平安時代、宇多天皇の建立による真言宗御室派総本山仁和寺。洛西の大内山を背景に、９万平方メートルの広大な敷地に配置された堂塔伽藍が漂わせる華やかさと雅が、王朝貴族や芸術家をはじめ多くの京の人々に愛されてきた。境内でコンサートを開催したこともある歌手・加藤登紀子と胡弓奏者・楊興新が旅人となり、五重塔内の極彩色の曼陀羅の世界、観音堂での読経風景などを通して、浄めの場としての仁和寺を語り合う。金堂で奏でられる胡弓の響きも味わい深い。

海から離れたジャングルに住み産卵と子育てをする世界でただ一種のペンギン、フィヨルドランドペンギンの珍しい生態と意外なそのルーツを紹介する。案内役は柳生博。◆先住民から「森の妖精」と呼ばれるこのペンギンは巨木の根元や洞穴を巣にし、エサを求めるときだけひょこひょこ歩いて海へ出る。体長は約７０センチ、黄色い飾り羽を持ち、足場の悪い森に暮らすためやや足が大きいのが特徴。ペンギンといえば氷の上の大集団を想像するが、じつはこのペンギンの生態が原始のペンギンの生態に近いのだという。

徳島県の東祖谷山村は平家伝説で知られる。険しい山々に張り付くように集落が点在する。各集落には平家にちなむさまざまな風習や伝説的な遺物があり、平家の影を見ることができる。正月、盆、秋祭それぞれに落人にからむ伝説と風習が生きつづけ、独自の文化を生んでいる。◆平家屋敷〔徳島県〕、十二所神社春祭〔徳島県〕、かずら橋〔徳島県〕、栗枝渡八幡神社〔徳島県〕