１６個の湖が数珠つながり、それらを結んで滝が９０もある。クロアチアの北部、アドリア海にそそぐコナラ川の上流は、不思議で美しい場所だ。水の含む石灰分が沈殿し、コケや流木が重なって、次々と天然ダムができたからである。そのためプリトヴィチェは、早くから世界遺産になった。◆ところが、セルビア人との民族紛争で人々はこの地を追われ、家は焼かれた。悪夢の４年が過ぎ、人々はまたこの地で働きつつある。笑顔の戻るのが一番、と管理事務所のビオンダさんは言う。◆プリトヴィチェ湖群国立公園

「うき世舞台の花道は、表もあれば裏もある」のナレーションで始まる演歌歌謡番組。歌の内容と歌手の魅力を考慮して情景を設定し、演出する。（１９７８年１０月１日〜２０００年９月２４日、全１１０６回）◆放送開始から１０００回目の記念放送。曲目は、小林幸子・都はるみ「こころうた」、小林幸子「おもいで酒」、坂本冬美「あばれ太鼓」、鳥羽一郎「兄弟舟」、細川たかし「矢切の渡し」、都はるみ「北の宿から」、北島三郎「北の大地」。

１９９８年６月１０日に亡くなった作曲家・吉田正さんを偲び、生前の映像や彼が残した楽曲を振り返る。◆曲は橋幸夫・吉永小百合「いつでも夢を」、橋幸夫「潮来笠」「恋をするなら」「江梨子」「残侠小唄」、松尾和子「再会」、由紀さおり「再会」、三田明「美しい十代」「恋人ジュリー」「恋のアメリアッチ」「アイビー東京」、三浦洸一「弁天小僧」「落葉しぐれ」、鶴田浩二「好きだった」「街のサンドイッチマン」「赤と黒のブルース」「傷だらけの人生」、フランク永井「おまえに」「有楽町で逢いましょう」「東京午前三時」、和田弘とマヒナ・スターズ「泣かないで」、松尾和子・和田弘とマヒナ・スターズ「誰よりも君を愛す」、三浦洸一・橋幸夫「異国の丘」、吉永小百合・和田弘とマヒナ・スターズ「寒い朝」、吉永小百合・トニーズ「勇気あるもの」、フランク永井・松尾和子「東京ナイト・クラブ」、五木ひろし「霧子のタンゴ」、美空ひばり「花蕾」。

中国雲南省の麗江（れいこう）は、チベットの馬と茶葉を交換して栄えた街。旧市街には当時の立派な住宅が連なり、少数民族の納西（ナシ）族が暮らす。１９９６年に襲った大地震でも壊れなかった家は、柱が耐震なのだという。◆東巴（とんば）は納西族の聖職者。彼ら独特の象形文字で書かれた経典は難解で、「生きた化石」として研究されている。大宝積宮には仏教、道教、禅宗、チベット仏教の一体となった壁画が残る。◆雑多なものが重なった納西族の文化は、民族学者の関心を集める。◆麗江旧市街

南北２４キロ、東西２２キロに及ぶ九重連山は、九州本島最高峰の中岳をはじめ、１７００メートル級の八座と１５００メートル以上の峰々を合わせ、約二十座がひしめく。その姿から九州の屋根と呼ばれ、高山植物の宝庫としても知られている。古代より山岳宗教の修験の場として崇められてきた九重の山麓には、北に飯田高原、南には九住高原が広がる。悠久の時を超えた美しい季節の移ろいを描く。◆人と自然をテーマに、春の風物詩・野焼きの風景や初夏に行われる山開きの様子、錦繍の彩りに包まれる晩秋、雪や氷に閉ざされた冬の白銀の世界、そしてこの地に伝わる朝日長者伝説や１２００年の歴史を誇る都処野神社・秋季大祭の様子などを織り交ぜながら、大自然のメッセージを伝える。

太宰治が世を去って、１９９８年（平成１０）で５０年。いまも多くの読者を獲得している太宰作品の魅力について、３人の作家が語るシリーズ。（１９９８年６月１５日～６月１７日放送）◆太宰治と太田静子との間に生まれた作家・太田治子は、太宰とかかわって不幸な結末をたどった女性たちへの同情や謝罪の念でいっぱいだった。だが、かつては許せなかった父の女性関係も、結婚して子をもうけ、父の没年齢を越えたいま、男としての心苦しさ、寂しさがわかるようになってきたという。そんな太田が太宰ゆかりの場所を訪ね、父とかかわった女性たちや太宰を見つめ直していく。

弁護士の夏希（室井滋）は、３人の子持ちで離婚暦のあるエリート商社マン・及川研一（佐野史郎）と結婚した。一見幸せそうな父子だったが、研一は子供への虐待をくり返していた。突然にキレる長男、援助交際する長女、人生に希望を持てない次男と、子供たちもそれぞれ悩みを抱えていた。（１９９８年７月６日～９月１４日放送）

ネパール王国辺境の地・ムスタンは、雨がめったに降らない乾燥地帯で自然条件が非常に厳しい土地。ここで農業指導や学校建設などのボランティア活動を行っている、新潟県出身の近藤氏（当時７９歳）を追ったヒューマンドキュメントシリーズ。◆１９９６年。ネパールの秘境ムスタンにたった一人で移住してボランティア活動を行っている近藤氏は、「厳しい自然の中で生きる農民にお腹いっぱい白いご飯を食べさせてあげたい」との思いから、米作りへの挑戦を始める。しかし、ヒマラヤの寒さに勝てず、米作りは失敗に終わる。そして１９９８年。米作りが成功したとの知らせを受け急遽現地を訪れると、標高２８００メートルのヒマラヤ山麓に日本の稲穂がゆれていた。現地の村人たちは稲刈りを初体験する。稲にビニールをかけ、日本の冷害地帯の稲作技術である深水管理など、近藤氏は独自の技術を用いてムスタンでの稲作に初めて成功した。挑戦から４年目のことだった。