“森羅万象の生命の輝き”を美しい映像詩で綴るドキュメンタリー番組。◆ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発による放射能汚染地域に、今も農業を営む村々がある。村人の多くが放射能の危険から逃れ都会に移住したが、汚染された大地を耕し糧を得る人々は、自分たちの信念を変えない。人は彼らを「わがままな人々」と呼んでいる。彼らは放射能よりも故郷の土地に残ることを選んだのだ。夏休みには故郷を去った人々が村に帰ってくる。短い夏、ある家族の再会を通して、かけがえのないものとは何かを考える。

青森県には津軽地方と南部地方があり、昔から異なる文化が伝承されている。中でも言葉は、互いに独特の、会話の方言がある。その２つの方言を、それぞれ南部弁を津軽地方へ、津軽弁を南部地方へ、タレントが持っていき、一般の人々へ質問し取材する。◆今回は津軽弁の「ナリギキ」を取り上げる。

長崎市郊外に、高齢の被爆者のための福祉施設・恵の丘長崎原爆ホームがある。入居者の多くは、原爆で家族を失った身寄りのない被爆者だ。悲惨な被爆体験を胸に戦後を生きてきた彼らの平均年齢は８２歳。ここは、被爆者の終の棲家でもある。◆７年前に入居した９２歳の隈井クサさんは、原爆で夫と生後７ヵ月の長女を失い、戦後は一人で助産婦として身を立てた。平和な世の中に生まれ来る新たな命は、原爆に幸せを奪われた彼女に、明日への希望を与えたのに違いない。今は老い寝たきりの生活を送っている。恵の丘の被爆者は、核兵器のない平和な世の中への希望を信じ、今日も祈り続ける。

松本サリン事件から５年。警察とメディアに犯人扱いされた第一通報者と、それを伝えたテレビ局記者へのインタビューを重ねた高校生の活動を題材に、劇が作られた。事件報道に対する疑問から出発した松本美須々ヶ丘高校放送部の活動を伝える。◆「劇を見てメディア批判に終わって欲しくない」。報道被害の実態を知った部員の視点は、単なるメディア不信にとどまらなかった。情報を受け取る側も、自分達の問題としてとらえ、メディアの特性を理解する必要があると訴える。松本サリン事件が起きた時、警察や報道は第一通報者を疑ってしまったが、高校生は事件の報道について取材してゆく中で、マスコミ批判だけでなく、自分達でテレビの見方を発見していく。

廃屋の銭湯を舞台に、元夫婦の愛憎をコミカルに描くドラマ。（１９９９年８月２５日～９月２２日放送、全５回）◆解体業で日銭を稼ぐ山田正太郎（三國連太郎）は、廃業した銭湯で寝起きしていた。２４年前に妻・サヨ子（市原悦子）を捨てて家出し、身寄りはない。ある日、アパートの解体工事現場で偶然サヨ子と再会する。サヨ子は正太郎に２４年前に持ち逃げした５０万円の返済を迫り、そのまま銭湯にいついてしまう。正太郎は結婚相談所を訪ね、借金返済のために金持ちの梶本ユキ（小林幸子）をカモにしようと考える。一方、サヨ子は男たちに追われる若い女・奈美（辺見えみり）を助けて一緒に逃げる。

ジャズやゴスペルを世界水準で歌える唯一のシンガー綾戸智絵の驚異的なバイタリティあふれる姿を追う。◆綾戸智絵さんは神戸生まれの４０歳。幼い時からピアノを習い、ジャズ好きな両親の影響を受けて育った。１７歳で単身渡米、西海岸で活躍していた一流ミュージシャンとセッションを経験。帰国後は関西のライブハウスで活動していた。一度はがんで声が出なくなったが、それを克服して一人息子と生活する日常やパワフルなステージ活動を紹介する。

時代の流れとともに消えようとしている、ふるさと島根・鳥取の素顔、自然、生活、文化、伝承行事などを、映像遺産として後世に伝えるシリーズ番組。◆日本海に広く面した山陰地方では、昔から魚種の変化に季節の移り変わりを感じてきた。初夏の訪れを告げるのはアゴ（トビウオ）とタイ。６月１日に解禁されるタイ網漁は「かつら網漁」と呼ばれ、ブリ板という脅しを使ってタイを集めたところに網を入れる。また「アゴすくい漁」は産卵のために湾内に入ってくるアゴをタモ網ですくい捕る漁で、ともに時期の風物詩となっている。いまではする人も少なくなった伝統の漁法を伝える。（鳥取県気高町）

開局３５年を機会に、「うつくしま、ふくしま」県民運動に呼応して選定委員会を組織、自然との共生、自然にやさしい心を再認識するための第一弾として「うつくしま百名山」を選定した。（１９９９年５月１０日～２０００年７月２４日）◆雄国山は猫魔ヶ岳の噴火によってできたカルデラ湖雄国沼を囲む外輪山の一つ。６月中旬にはレンゲツツジが周辺の山腹を赤く染め、７月上旬にはニッコウキスゲの大群落が、雄国沼湿原を黄色の絨毯のようにおおう。