草野昭三（フランキー堺）は東京下町の小さな工場で仕事一途に生きてきた。そんな昭三の妻・安代（渡辺美佐子）にがんの再検診の通知がくる。父・昭三に反発して家を出たがレストラン経営に多額の借金を抱える次男・祐二（玉置浩二）は、銀行を辞めて家へ寄りつかない長男・修一（中本賢）も誘い、ささやかな家族旅行に出かける。家族の「夢の崩壊」と「愛の回復」の物語。◆このドラマの撮影終了後に急逝したフランキー堺さんの追悼作品。

和太鼓奏者の林英哲が栃木県益子町の高内秀剛を訪ねる。◆独学で作陶してきた高内さん（当時５９歳）は、益子にガス窯、灯油窯、登り窯をもつ。作品の特長は大きさと荒々しさ。皿にはビーッと緊張感があり、壷にはグーッと肩の張りがある、それが求める形だという。◆ろくろで作って終わりじゃなく、切った貼ったでものをくっつけていくと、人間くさいというより獣じみてくる、そこが面白い。死ぬまでなまぐさい野郎だなっていわれれば、それはそれで勲章だと思う、と語る。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆庵治町は魚と石の町。瀬戸内からの恵みを受けて生きる漁師、それに、山からの恵みを受けて生きる石工。庵治町は愛知県の岡崎、茨城の真壁と並んで日本三大石材産地として知られている。庵治石は細粒黒雲母花崗岩で、堅く光沢の美しいことが特徴である。隣接する牟礼町と合わせて、石を生業とする人はおよそ千五百人。そのほとんどは砕石と石彫りを別々に行っている。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、舞踊学、神戸大学発達科学部教授の柴眞理子さん。

鎌倉幕府を創設、武家政治をスタートさせた源頼朝の全国統一の秘密は、関東武者による戦術革命だった。相次ぐ騎馬戦の勝利の過程の背景を、絵巻物や各地のリポート、合戦シーンの再現、作家・永井路子の分析などによって探る。キャスターは内藤啓史。

タイ・バンコクに住む少女を日本から援助しつづけた里親のもとに、２１歳になった彼女が来日。２年間の生活を共にする様子を取材し、彼女が帰国後にかなえたささやかな夢を紹介する。

永きにわたる中国の歴史の中で繰り広げられてきた人間ドラマとその運命を史実に基づいて描き、ゆかりの地を訪ね歩く歴史ドラマ紀行。有名な物語「西遊記」のモデルになった玄奘三蔵法師の旅をたどり、再現ドラマを交えてその人間像に迫る。特別協力：中国中央電視台。◆三蔵法師は、物語の中では孫悟空らに助けられてばかりのひ弱なお坊さんだが、史実ではこの厳しい旅を成し遂げる強靭な肉体と精神を併せ持った人物であった。５日間水を飲めなかったという砂漠越え、７日をかけた天山越えなど、交通機関が発達した現在でも厳しい道程を、俳優・杉本哲太が辿る。

北海道を除く日本全国に棲息していたツキノワグマだが、開発が進むにつれて九州で絶滅、四国も残りわずかとなった。３００頭が棲息する中国山地でクマの保護に取り組む米田一彦さんの挑戦を追い、熊と人の存在意義を考えながら共存への道を訴える。ＨＯＭＥ地球派宣言特別番組。◆減少しつつあるクマだが、地域の人たちにとっては作物をあらし人を脅かすこともある「害獣」である。針葉樹の増えた山地では食物が少なく、山中の民家のみならず市街地へもおりてくる。そうしたクマを捕らえ、発信機をつけて山奥へ放す米田さんに、人間とクマとどっちが大切なのかと地元の人は反発する。まず生態調査、そして山の自然の回復が必要だと米田さんは行政組織活用と人材養成を訴える。