単純な交通事故の裏側に隠された、保険金支払の意外な盲点を、弁護士と事務員が解き明かす。◆小早川徹は、企業やくざの顧問も務める型破りな弁護士。ある日、新婚の夫を交通事故で亡くした水野由美に事故の示談交渉を依頼される。久々に大金の絡んだ仕事に張り切る徹は、元ＯＬという新採用の事務員・紀藤ひろ子を伴い、事故現場と警察の調書を比較する。調書によれば、加害者・中里は事故後、携帯電話で救急車の要請と警察への通報を行っている。飲酒の形跡はない。ひろ子が車の速度と被害者が飛ばされた距離の物理的な矛盾を指摘する。徹の恩師で交通事故鑑定士の門松も、事故は故意に引き起こされたものと判定する。徹らの調査で、由美と中里、謎の男・矢崎の関係が浮かび上がってくる。

８５歳にして山に挑戦し続ける医師・脇坂順一さんを通して、夢を持ち続けることの大切さを伝えるドキュメンタリー。◆久留米大学名誉教授の脇坂さんは、世界的に著名な消化器外科の権威。８５歳のこの夏、２００回目の区切りの登山でヨーロッパアルプスの４１２６ｍの名峰ブライト・ホルンに挑んだ。徹底的な健康管理と厳しいトレーニングで、脇坂さんの運動能力は３０代後半並みという。８０歳を超えて現役医師としては引退したが、無医村に出かけて健康づくりを訴え、「人間はいつまでも夢を持つべき。その夢に向って努力することが楽しい人生」と語る。

札幌の歴史や文化を地元局ならではの視点で捉える。◆日本最初の近代的植物園、北海道大学付属植物園を深く愛したバチェラー博士を再発見する。

「安宅」後半は、はじめのうちセリフ中心で、やがて謠と舞へと移ってゆく。弁慶の「男舞」「延年之舞」の見どころを解説する。能では重要な場面は謠で表現し、セリフの多い曲でも動作や心情を説明する部分だけ節をつけることがある。しかしこの曲では、セリフのやりとりを通して弁慶の腹芸を見せることに終始している。そして舞台が関所から離れると曲は歌舞中心の構成となり、当時流行したさまざまな歌舞が見せ場となる。◆能『安宅』延年の舞・各流派（宝生流、金剛流、観世流）／粟谷菊生（人間国宝）、宝生閑（人間国宝）、塩津圭介、宝生英照、関根祥六。◆副音声は英語

日本最北の島、北海道・礼文島。美しく厳しい自然のなかで、漁に生きて来た父とその家族たち。さい果ての海に平凡だが力強く生きる漁師たちとその家族の姿を描く。◆漁船に乗るのは父子漁師。父は親の代からのベテラン漁師。息子は中学校を卒業して父の仕事を手伝うようになって４年目。漁には父の長年のカンと技術がものがいう。島の漁師は高齢化が進んでいる。息子の中学の同級生で漁師をやっているのは３人だけ。最果ての島で漁業に生きる一家と若者たちの生活を伝える。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、シーカヤッカーの内田正洋さん。

人間のルーツを探り、人類が霊長類から進化する過程でどのような社会を形成してきたかを考えるシリーズ。今回は、霊長類の中で最も原始的な原猿を、インド洋に浮かぶマダガスカル島で追跡取材した模様を伝える。特にワオキツネザルを取り上げ、群れの人口動態や、メス優位の社会システム、体の特徴などについて、これまでの調査をもとに解説する。講師は京都大学の伊谷純一郎名誉教授と、小山直樹教授。

北京の東、山西省の平遥。昔のままの城壁が残る四つの街の一つで、高さ１２メートル、全長６キロの壁の中で、４万人が暮らす。◆中心は市楼。眼下には明や清の時代の商店街が続き、素朴なオペラも見られる。銀行もあり、清朝末期には、力を無くした政府に金を貸していたという。城外の寺には、１５５６体の彩色仏像が並ぶ。◆旧暦１月１５日の元宵節は、１０万人の見物客で賑わう。翌日、朝日の昇らぬうちに、城壁の上を街の人が歩く。全部を歩ききると、また一年、元気でいられるという。◆平遥古城