『義志倭人伝』にもマルコポーロの『東方見聞録』にも、日本は真珠の国と記されている。古代日本では、国際通貨として官有化され一般の使用はタブーとされてきた。真珠はまた不老不死の霊薬として、古今の独裁者が躍起になって求めた。◆装飾用真珠に日本が参入するのは明治以降。養殖真珠が御木本翁の手で成功する偉業や、日本の真珠工芸の粋を集めた最高品、幻のジュエリー『矢車』の数奇な逸話を併せ紹介する。◆平螺鈿背円鏡、聖武帝礼冠残欠、聖武帝礼履〔正倉院〕、矢車〔ミキモト博物館〕

世界動乱下、日本でひとり強く生きた英国人女性の波乱の生涯を描く。◆日露戦争前夜の中国・奉天。英国駐在武官リチャードの新妻メアリーは夫に失望していた。ある日夕食会で出会った日本人将校の賢太郎に強く心をひかれる。やがて彼女は賢太郎の子供を妊娠、賢太郎に従い日本に向かった。しかし、メアリーは彼には家庭があり、自分は愛人の立場であることを知り衝撃を受ける。賢太郎はメアリーに内証で生まれた赤ん坊を養子に出す。メアリーは賢太郎と別れて自立を決意する。（１９９０年３月２３日終了、全３回）

世界の屋根、青蔵高原の中国可可西里（かかしり）地域は、地球上に唯一残された人跡未踏の地。標高５０００メートル、空気は平地の半分の濃度、気温も低く極度に乾燥したこの土地で、日中共同科学探検隊は幻のナキウサギを１００年ぶりに確認。極地に生きる動植物の知られざる大自然を描く。

こじれた子供の結婚問題で争う父親同士は、同じ時代に青春を送っていた。そのためかどこか似ている二人はやがて意気投合する。◆川又芳雄（伊東四朗）は息子の恋人・文子（網浜直子）に会うため福岡にやってきた。息子の結婚話がこじれた原因は自分にもあると考えたのだ。文子は突然会社を辞め、福岡の実家へ帰ってしまっていた。結婚しても仕事は続け当分子供は持たないと言う文子に、芳雄は同意できなかった。かまぼこ屋を営む文子の父・信一（財津一郎）も基本的には同じ考え方であったが、娘をけなされたと思って芳雄の息子にも責任があるとけんかになってしまう。

１９９０年をふりかえり、あわせて２１世紀まであと１０年という時代を分析し展望する。◆主な内容は、「突然のイラク軍クウェート侵攻その時世界は」「湾岸危機・日本の対応」「ドイツ統一と新しい欧州」「即位の礼」「秋篠宮さまご結婚」「ゴルバチョフ大統領の苦悩」「崩壊・バブル経済」「土地税制改革のゆくえ」「コンスタンチン君」「極東に緊張緩和の波」など。

小児ガンに侵された息子の命はたったの６ヵ月。父と母は大自然の中で最期を迎えさせようとする。（１９８９年１０月２２日〜１９９０年２月２５日放送、全５回）◆最終回。吾郎（滝田栄）と秋子（原日出子）夫婦が、ガンに侵された息子・伸一（伊崎充則）とともに信州の山村のログハウスに暮らし始めて半年が過ぎた。伸一はすでに体中の関節が痛みだし、一日の大半をベッドですごしている。ある日、秋子が伸一のノートをみると、そこにはカレンダーが書いてあり、この半年間を伸一は一日一日塗りつぶしていたのだった。

幕末から明治にかけて活躍した西郷隆盛と大久保利通との友情と対立を軸に、日本の近代化に奔走した人々の姿を多角的に描く。ＮＨＫ大河ドラマ第２８作の総集編。「幕末編」「明治編」の２部構成。（１９９０年１２月１６日～１２月２６日放送、全４回）。原作：司馬遼太郎。◆第二部・前編「両雄対決」。維新成って１８７０年（明治３）、西郷（西田敏行）は政府からの出仕要請を断り、鹿児島で悠々自適の日々を送っていた。しかし廃藩置県断行のため西郷を必要とする大久保（鹿賀丈史）は、岩倉具視を勅使に立てる。ついに上京した西郷は、自分が新政府と士族とのあいだに立たざるを得ないと悟って悲壮な覚悟を固めた。やがて征韓論が持ち上がり、西郷と大久保の道は決定的に分かたれる。

日本人にとって日常生活に欠かせないもの、習慣となっているものなどを海外へ持っていき、そこでの反応などから改めて日本の文化を見直そうという番組。この回は“タクシーの自動ドア”をイギリス人が世界に誇るロンドンタクシーに売り込みに行く。◆リポーターの迫文代さんと自動ドア取り付け技術者の嶋田武夫さんはタクシーに乗り込んでは自動ドアの便利さ、安全性を身振り手ぶりでＰＲする。しかしなかなか理解されずようやく親子代々タクシードライバーをしているフィリップ・ウォーレンさんに自動ドアを取り付けたロンドンタクシーのテストドライバーを引き受けてもらう。