幕末に洋学導入の場であった七尾語学所について、今井一良さん（日本英学史学会北陸支部長）に聞く。◆ペリーが来訪し大政奉還へと幕末が動く。加賀藩はそんな維新には乗り遅れたが、海防の強化、語学・科学技術の必要性を感じ、対策を講じた。壮猶館の開設と、それを発展させた七尾軍艦所、七尾語学所の設置である。◆そこにはパーシバル・オーズボンなど６人のお雇い外国人が来て、日本人と結婚した者、日本の墓に入った者など、国際交流の先端の役割を果たした。

身近な生活の中にある家電製品から軍事用ミサイル、宇宙ロケットなどの超ハイテク製品までの心臓部を構成する“魔法の石”半導体。日本の半導体産業は世界に先んじて隆盛を極めている。歴史から現状までを再現映像も交えて紹介、この産業の全貌を描き出すシリーズ。（１９９１年１月２７日～９月２９日、全６回）◆第３回はＩＣの登場を描く。花形となったトランジスタだったが劣化という問題がつきまとった。ゲルマニウムからシリコンへ、それをコーティングしたＭＯＳ型へとトランジスタは改良されたが、１９５９年のＩＣ誕生で様相は一変。またもアメリカを追うことになった日本。ＩＣをめぐる日米技術者の苦闘を描く。

チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えるきっかけをつくった、帆船ビーグル号の航海を追体験し、その後の地球がどう変わったか、どう変わってゆくかを問う全１１回の番組。第６回は、標高４０００ｍのアンデス山中でアルパカを放牧し、５００年前のインカ時代そのままの生活を送っているケロ村を訪ねる。ペルーのクスコからトラックと馬を乗り継いで４日、アンデスでも特に人の近づかない東斜面にあるケロ村の４つの集落のうち、探検家である関野吉晴リポーターが１０年かけて信頼関係を築いたチョワチョワ村に滞在し、彼らの生活や、毎年６月はじめに行われるアンデス最大の祭り“コイユリーテ”の様子などを紹介する。

琉球に伝わる色鮮やかな染色工芸の「紅型」。１年中、しゃく熱の太陽が降り注ぐ風土の中、この土地で目にするものはすべて極彩色。どんな濃厚な色彩も光にとけて調和していく。４００年前に完成した紅型は、琉球王家の衣装として発達した。◆型染めの知念家と筒描の城間家の伝統的な両家の染色技法、制作工程を追う。そして海上交易に頼る地理的条件から平和と文化政策に重点を置いた琉球の人々の知恵と歴史を、紅型を通して紹介する◆麻白地衣裳、木綿黄色地胴衣、縮緬黄色地衣裳、絹桃色地衣裳、木綿染分地衣裳、麻紺地風呂敷

東欧の変革に始まった激動は第２次大戦以後の世界を支配した冷戦に終わりを告げ、世界の枠組みが音をたてて動き始めた。ある意味で世界秩序の安全装置だった東西冷戦構造が崩れた後の世界の変化を探るシリーズ。（１９９１年４月６日〜１２月８日、全６回）◆新しい世界貿易秩序を模索するＧＡＴＴ（関税および貿易に関する一般協定）ウルグアイ・ラウンド。農業交渉で米国とＥＣの論理に日本のコメが巻き込まれ、自由化の瀬戸際に立たされている。日本はコメの関税化を拒否しＧＡＴＴつぶしの汚名を着るのか。冷戦後の激動する国際政治の中でとるべき日本の針路を問う。

アメリカで見つかった南京大虐殺の惨状を撮影したフィルムをもとに被害者の証言を交えて、事件を再現したドキュメント。◆１９９１年７月、アメリカのロサンゼルス市で、旧日本軍による南京大虐殺（１９３７年１２月）の惨状を撮影した１６ミリフィルムを、ＭＢＳのスタッフが発見した。◆撮影した二人の牧師や、フィルムに登場する中国人の証言を求めて各地を取材した結果、事件の惨状を克明に記した牧師の手紙や治療に当たったアメリカ人医師の日記などが見つかった。番組では、二人の中国人生存者の生々しいインタビューも交えて、「生き地獄」と称する事件に迫る。

足利尊氏の生涯を描くＮＨＫ大河ドラマ第２９作「太平記」の総集編。全４回。原作：吉川英治。◆第２回「倒幕」。正中の変の失敗、元弘の変の勃発、帝の隠岐配流と状況は目まぐるしく展開する。元弘の変鎮定のため、鎌倉幕府の将軍として西国に派遣された尊氏（真田広之）は、途中で幕府に反旗をひるがえし京を落とす。一方、新田義貞は鎌倉を攻め、北条高時、執権・赤橋守時らは自刃、鎌倉幕府は炎の中に滅亡する。

「ＮＨＫスペシャル・湾岸戦争」の後を受け、番組で取り上げた動きはその後どうなったのか、今後はどうなるのかを追跡取材し見つめ直す。◆湾岸戦争は、クウェートの油井炎上による大気汚染やペルシャ湾への大量の原油流出など、史上最悪ともいわれる環境破壊を引き起こした。戦争終結から１か月で取材を開始したＮＨＫスペシャルのさらに１０か月後、その爪あとはなお深く残る。汚染最前線のクウェートでは、油井炎上で発生した黒煙で上空が覆われ、平年より数度も気温が低い。サウジアラビアでは日本の安全基準の４倍もの濃度の二酸化硫黄が検出され、イランでは黒い雨が降って車は日中もライトをつけた。