時代の流れとともに消えようとしている、ふるさと島根・鳥取の素顔、自然、生活、文化、伝承行事などを、映像遺産として後世に伝えるシリーズ番組。◆出雲地方には、婚礼の際「筒描藍染め」の蒲団、風呂敷などを調える風習が大正時代まで残っていた。庶民の生活から生まれた独特の技法だが、今に伝えるのは長田染工場ただ一軒となった。絞り袋のような「筒袋」に糊を入れ、絞り出して文様を描き、それを藍に浸すと糊を置いたところが白く浮き上がる。それを幾度も繰り返すことで藍の色は深まっていく。藍をつくる「藍建て」から、最後の「糊落し」までの工程を追いながら、職人の技と心を伝える。（出雲市）

コソボ紛争を通して、戦争を生み出した「故郷」とは何かを問うドキュメンタリー。◆ユーゴスラビアのコソボ自治州でアルバニア人とセルビア人が激しく対立したコソボ紛争。紛争は１９９９年６月に終結し、９０万人のアルバニア人難民の帰還が始まった。１９歳のラマダン・レバヤさんも二人のいとこを殺され、セルビア人への憎しみを胸に帰国した。故郷の村は廃墟と化し、コソボの州都プリシュティナのハイダルドゥシィ通りで暮らし始めた。しかし同じアパートにはセルビア人も住んでいる。住民達の言葉から、戦争がいかに人々の心を変え、殺しあうに至ったかを探る。

いま、俳句人口は１０００万人とも２０００万人とも言われる。最近では若い女性が主宰する句会ができるなど、若者たちにも愛好者が増えている。現代を代表する３人の俳人を通し、日本の伝統文芸の魅力を描く。（３回シリーズ）今回は、現代俳句協会名誉会長の金子兜太氏が、ふるさと秩父、変化してきた作風、戦争体験から受けた影響などについて語る。

“何のために学び、何のために生きるのか”をテーマに金八先生と生徒達の交流を描くドラマの第５弾。◆桜中学の空き教室に地域の老人のための“デイサービスセンター”が併設されることになった。センターは専門のスタッフが運営するのだが、新しい試みに教師も生徒も落ち着かない。そんな時、３年Ｂ組担任の中野が生徒達から暴行を受け、病院に運ばれた。すべって机にぶつかっただけと嘘をつくが、中野と生徒たちの心は離れ、学級崩壊の寸前だった。生徒指導主任の金八が３Ｂ担任を代行するが、生徒たちはバラバラでまとまりがない。退院した中野に“３Ｂ有志一同”とカードを添えた葬式用の花束が届く。金八はその花束を教壇に飾り、人の心の痛みを考えて欲しいと訴える。

日本からはるか１万５千キロ。西アフリカの大西洋側に位置するギニア共和国は、タレントのオスマン・サンコンの生まれ故郷。福岡県八女郡星野村で農業を営む二田さん一家が、サンコンさんの招きでそのギニアを訪れる。アフリカに実った友情や交流を描く。◆一年前、サンコンが二田さんの家にホームステイしたことがきっかけ。海外旅行はもちろん、飛行機に乗るのも始めてという二田さん一家・四世代五人家族が体験する「アフリカ」の旅。日本で初めて紹介されるギニア・バガ族の珍しい祭りや成人の儀式の映像を織り交ぜながら「家族の絆」を描く。昔ながらの家で農業を営む日本人一家とギニア・コテイ村の人々との交流は、我々日本人に「日本の原点」とは何かを問い掛ける。

浅野太鼓を探訪する。◆浅野家の祖先は、４００年前に播磨からきた左衛門五郎で、加賀藩で太鼓づくりを創業した。戦前は業者が十数軒あったが、今は浅野太鼓楽器店一軒になった。明治になって、対象を舞台芸能にも広げ、炎太鼓などを生産し、世界を相手に活躍している。◆太鼓づくりの過程で、中彫りの職人が、「手彫りのほうが残響が長くなる」と話すのが印象的である。つくり手と叩き手の、一体となった意気込みにうたれる。

仏隆寺を起点に約４ｋｍの室生古道を、作家でもある高橋洋子さんが歩く。うっそうとした杉木立に囲まれた仏隆寺の境内には、十一面観音のほか仏像や書面など、多くの文化財がある。意外に知られていない古刹の魅力を紹介する。

ピアニストの村松健さんが高崎から鎌倉までの鎌倉街道をたどる紀行番組。このシリーズでは上道・中道・下道のうち上道（かみつみち）約１４０ｋｍを歩く。テレビ埼玉開局２０周年記念企画。◆町田市内で二手に分かれていた街道は、神奈川県・横浜市に入って一旦合流するが、また二手に分かれる。南進するのが上道の本道といわれている。途中、道祖神や地神塔、庚申塔などが古道の雰囲気を醸し出す間を抜ける。さらに南下し、相模鉄道の高架をくぐると、三叉路の真ん中に、車よけに囲まれた地神塔が残されている。道路の改修などでよそへ移されてしまうことが多い中、元の場所にそのままあるのは珍しい。