明治維新前後に活躍した薩摩（鹿児島）の群像を描く◆旧日本軍の制式銃・「村田銃」を発明したのが、薩摩藩士・村田経芳（つねよし）である。村田は子どものころから”飛び道具”が好きで、竹鉄砲でも百発百中の腕前だったという。その村田に天職ともいえる仕事が回ってきた。薩摩藩では西洋の銃の主流になっていた”元込め式”の銃の開発をすることになり、「藩営鉄砲館」の製作主任に選ばれたのだった。銃の開発に生涯を捧げた村田を紹介する。

作家・瀬戸内寂聴が、千年の時を越えて読み継がれてきた「源氏物語」について、自身の現代語訳をもとに語るシリーズ。個性豊かで魅力的な女性たちにスポットをあて、その生き方や性格・心理を読み解き、読者を惹きつける物語の魅力を探る。（４月７日～６月２３日、全１２回）◆第２回は、主人公・光源氏の生みの母である桐壷の更衣と、彼女に瓜二つで、光源氏にとっては父の妻であり、初恋の相手ともいえる藤壷の宮について考察する。

生まれつき耳が聞こえないという障がいを持つ美栄子（菅野美穂）。心配する両親を説得して大手企業に就職するが、障がい者に対する周囲の反応に戸惑ってしまう。そんなある日、同僚の博文（武田真治）は友人と楽しそうに手話を交わす美栄子の笑顔を見て、手話を覚える決心をする。博文の手助けで明るさを取り戻した美栄子は、いつしか博文に対して恋愛感情を抱いていることに気付く。博文もまた、美栄子と同じ気持ちであった。しかし健常者と障がい者の恋は、愛を育むふたりの前に幾つもの壁を作っていった。原作：軽部潤子。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」等を交えて構成する。◆日本や世界のスキーに関する資料を展示・解説しているわが国唯一のスキー専門博物館。収集資料２万点、その内の５千点を展示。日本におけるスキーのルーツや歩みも辿れる。

長野県小海町の春祭りでは木偶を操る三番叟と鹿舞が奉納されるが、長老、親方、弟子へと作法が伝授されている。どんなことがあってもこれだけはという強い信念で伝えられてきた舞、囃子、木偶の操作は、それぞれの役ごとに親方と弟子が１対１で取り組む。そして仕上げには「おじっつぁ」と称する長老たちが検閲をする。この厳しい取組みが、祭りの芸能を昔のままに息づかせているのである。◆三番叟、鹿舞（春祭り）

１９９０年登録。◆ミャンマーが近いファイ・カ・ケン川をたどって、一帯に広がる東南アジア最大の保護区を見る。鳥や動物を撮影するのはなかなか難しいのだが、夜行性のスズメフクロウ、ジャコウネコなど、珍しいものをよく撮っている。絞め殺しのイチジクという怖い植物も登場する。◆保護区の例にもれず、密猟者の横行が問題でレンジャーが苦労しているが、世界遺産登録を推進し、自らの命を絶つことで政府に訴えたスープ・ナカサティアン氏の話が衝撃的だ。

ＮＨＫ連続テレビ小説「あぐり」のモデルとなった吉行あぐりさんの毎日を描くドキュメンタリー。◆大正時代から美容師として働いてきたあぐりさんは９０歳。東京・市ケ谷で、８人の常連客だけを相手に仕事を続けている。７２歳のときに一度店を閉じたが、なじみ客の要望で、あぐりさん一人だけの小さな美容室として再開した。お客さん８人はいずれも戦前からあぐりさんに髪を任せてきた長い付き合いの人たちである。「仕事が人生の支え」というあぐりさんの昔気質の丁寧な仕事ぶりや、客との交流を描く。

明治生まれの現役洋髪理容師、吉行あぐり。芥川賞作家の淳之介、理恵、女優・和子の３兄妹の母でもある彼女をモデルに、明治・大正・昭和を天性の明るさで駆け抜けるヒロインを描く。県会議員の娘として生まれたあぐりは、生家の没落の後、１５歳で結婚、家庭を顧みない夫に手を焼きながら、洋髪理容師という当時珍しい職業で家族を支えてゆく。原作：吉行あぐり「梅桃が実るとき」。ＮＨＫ連続テレビ小説第５６作。（１９９７年４月７日～１０月４日放送、全１５６回）◆第１週「花嫁は１５歳（１）」。明治４０年、岡山の弁護士で県会議員である晃に三女が生まれた。これが最後の女の子であってほしいと願った晃は「あぐり」と命名する。