曲を楽しむ鑑賞曲である。秋の情緒たっぷりの曲を、三味線の菊岡裕晃にポイントを聞きながら鑑賞する。◆琴の曲をうまく利用した楽しい曲である。聞いていると秋の気分にしてくれる曲で、虫の合方が入ったりして構成もしっかりできている。三味線の本手（主旋律）が伴奏になる所もあって、本手と替手（異旋律）の関係を独特のものに仕上げている。◆「秋の色種」唄宮田哲男、西垣和彦、野口悦治、三味線菊岡裕晃、藤坂義一、上調子小島直文。◆副音声は英語

焼津には「小川矢師」というバス停があり、かつてこの辺りは矢師町と呼ばれていた。文字通り矢や射具を作る職人が全国一多く集まっているところである。なぜ焼津に矢師やかけ師（弓用の革手袋「ゆがけ」を作る）が多く残っているのか、その歴史を追いながら、今なお伝統技術を残そうと努める職人たちを描く。

東海道は大地震や大津波によって何度かその姿を変えてきた。その具体的な事例をいくつか紹介し、現在心配されている東海地震に対する備え、対策についても考える。◆淡水湖だった浜名湖が今切口で太平洋とつながったのは１４９８年の大地震のせいとも、１５１０年の大津波が原因ともいわれる。また“入り鉄砲に出女”で有名な新居の関所も、大地震や大津波で場所を２度移動している。富士市依田橋町（旧吉原宿）には富士山が街道の左側に見える“左富士”の名所がある。これは大地震のため東海道が大きく内陸に移動し、吉原宿が右へ湾曲したためである。

「優秀」といわれる日本の官僚は、いつどのように権力を握り、どのような役割を果たしているのか。また国際的にはどう評価されているのか。３夜連続で、政治の舞台裏にくりひろげられる官僚たちの物語に光を当て、検証する。◆第３回は、官庁の中の官庁といわれる大蔵省の強力な支配力の源流をたどる。戦後改革の時代、片山社会党連立内閣の下で大蔵省解体計画が進められ、首相直属の経済安定本部という新しい官僚機構が強化されていった。予算編成権をめぐる大蔵省と経済安定本部の死闘を追う。

１９９４年に発見された日本一のブナの巨木を中心にすえ、植物、昆虫、動物たちがたがいに結び付いて息づいている様子を季節のうつろいの中に追う。さらに人間の営みへと思いを馳せ、ブナが芽吹いた千年前から千年先の「あきた」を考える。◆ふる里再確認シリーズ?

長唄舞踊の「汐汲」を鑑賞する。この曲は能の「松風」を下地とし、須磨の海辺で汐を汲む海女が、恋する男を想って舞う姿を描く。見処は早変わりの衣装で、天秤桶や三蓋傘などの小道具類も多彩で面白い。能の「松風」は、中納言在原行平をめぐる、姉妹の海女の恋の三角関係が主題であるが、作家の杉本苑子さんは、伊達者で知られた弟の業平と、兄行平をない交ぜて話を創ったのではないかと想定する。また、男女の恋愛の三角関係の軋轢は、古今東西、文学や演劇の永遠のテーマだと語る。◆舞踊　長唄「汐汲」、観世流　能「松風」から

　加賀百万石の城下町金沢は、天正１１年（１５８３）、藩祖前田利家の入城以来、京、大坂、江戸表から名だたる職人を招き集め、加賀友禅や九谷焼に代表される美術工芸が盛んな土地柄となった。その伝統は現代にも受け継がれ、工芸は美術となり、かつて職人と呼ばれた作り手たちは芸術家となった。人間国宝も輩出している。ここ石川県立美術館で、北国の古都金沢の芸術制作、美術工芸の全容を知ることが出来る。（金沢市）

吉川英治の原作を、川本喜八郎の人形で描く歴史劇「平家物語」の第３部。◆第３部「乱」編では“悲劇の武将”木曽義仲を中心に、義仲をめぐる女たちや源義経との最後の戦いなど悲運の生涯を描く。