ソメイヨシノが真っ先に咲く桜前線の上陸候補地の一つ、高知県宿毛市（すくもし）は、黒潮が磯を洗う温暖の地、３月半ばには山桜が野山を彩り、そのあとを追うようにしてソメイヨシノが花を咲かせる。この１０年間に２回も、全国で一番早く開花宣言をしたほどの土地なのに、ことしはまだ咲かない。宿毛測候所の開花予想担当者の動きが慌ただしい。一本の木に二つ以上の花が、別々の枝に咲けば「開花した」と判断するという。「早く開花宣言を出してください」と町の人たちは、ことしも日本一になることを期待している。

８３歳の彫刻家、佐藤忠良さんと舟越保武さん。日本の彫刻家の双璧である二人は、毎年秋の展覧会で作品を競い合ってきたライバルであると同時に、２２歳の出会いから６０年間、互いに「忠さん」「武さん」と呼び合ってきた親友同士である。番組では、８３歳という老いの中で、互いの存在を常に心の中でかみしめながら、制作への情熱を燃やし続ける二人の姿を描く。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「仲なおり」と題して、イタリア・ヴェネツィア・フィレンツェ・ラッダ・イン・キャンティの道のりを紹介する。

観阿弥・世阿弥の父子は能楽の祖。観阿弥が「猿楽能」の座を起こした福田神社跡（名張市上小波田）では、毎年１１月３日に「観阿弥まつり」が盛大に行われる。

　弁護士の神谷幸之氏が３０数年に亘って集めた作品を展示するこの美術館は村山槐多、萬鉄五郎、熊谷守一、梅原龍三郎など日本の洋画界をリードした個性の強い画家たちの作品が魅力である。中でも晩年の北川民次と館長の２０年に亘る親しい交流が、９５歳の画業の主要作品をもたらし、この美術館の内容に個人美術館らしい特色と厚みを与えている。一人のコレクターと画家との幸福な交わりが生みだした美術館と言えよう。（愛知県半田市）

自らの生い立ちを息子に伝える父親の姿を描くドキュメンタリー。シリーズ戦後５０年〔１〕。◆終戦直後、アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれた関根幸一郎さんは、幼い頃から周囲の偏見と闘ってきた。関根さんは自分が育った「エリザベス・サンダース・ホーム」を、二十歳になる息子に見せたいと思っている。自分の過去をきちんと伝えることで、父として生き方を知らせたいのだ。関根さんの姿を通して戦後の日本を考える。

徳島県第二の大河、那賀川。１９５１年（昭和２６）の「国土総合開発法」の指定地域になってからの開発の歴史を振り返り、開発が正義であった時代と現在との相違、そして新たに課されるものを検証する。◆同法は復興を目指す法律であった。川はダムで次々と分断されていった。また国の植林政策で広葉樹林は伐採され、山には杉や檜が植えられた。しかし林業の衰退から山は見捨てられて暗い森となり、下草のない針葉樹林は雨水を蓄えることができず土砂が川へ流れ込む。せっかく建設したダムは流れ込んだ土砂で埋まっていく。ダム不要を訴えて国や県と争う村も現れた。◆シリーズ戦後５０年

古来、人間の暮らしは水と切り離すことができない。山紫水明、豊かな水にめぐまれた日本全国から、水と共に生きてきた人々の営みとふるさとへの思いを伝える。◆東京の下町を包み込むように流れる隅田川。高度成長期には汚れたが、近頃は魚が帰ってくるほどになった。隅田川にかかる数多くの橋のうち、唯一歩行者専用の“桜橋”の下で、友禅流しを続ける最後の江戸手描友禅職人の営みを描く。