人口三千人の岐阜県加茂郡東白川村。５０年前、この村から９０９人が戦場に送り込まれ、２０３人が戦死した。戦争の記憶を持つ人が生きているうちにと始まった平和祈念館建設を追いながら、村と戦争のかかわりを描く。◆戦友を思い追善供養をするために戦時中の品々を集める人。戦死した兄を敬慕しつづける弟。国策だった満州（減殺の中国東北部）開拓に参加し、国に裏切られた思いで帰国した人、そして中国に残留した婦人。エピソードを重ねて戦争と戦後を描き出す。

ヨーロッパの新しい歴史を切り開いたルネサンス。その大きなうねりの頂点に立つレオナルド・ダ・ヴィンチは、芸術も科学も技術も一体のものとして人間の限りない可能性を追求し、その才能を遺憾なく発揮した。しかし、この天才もその生涯は栄光と挫折の繰り返しであった。生地ヴィンチ村から没したアンポワース（フランス）まで、名取裕子がその足跡をたどりながら、自然と人間を見つめ続けた彼のロマンを追う。「モナリザ」のモデルへの仮説、修理中の「最後の晩餐」の映像が見どころ。

今までに第七段目までを見てきたが、第八段以降の見どころを解説しクライマックスを楽しむ。◆第八段は羯鼓を持っての踊りで、六世中村歌右衛門に一番難しいと言わせたところ。第十一段は鐘入りで、初演時（１７５３年）はここまでであった。第十二段は長唄の聞かせどころ、最終段で正義の神が邪悪の神を押し戻して蛇体の「見得」で終わる。全十四段の華麗な舞は、まさに日本舞踊の華である。◆「京鹿子娘道成寺」第八段山づくし〜第十四段押戻し舞踊六世中村歌右衛門（重要無形文化財保持者）。◆副音声は英語

長野県下伊那郡上村は厳しい地形のため外界との接触が無く、独自の伝統文化を作ってきた。霜月祭りは、神を祭りながら芸能を楽しむ工夫もされている。◆水王と土王が、沸騰した釜の湯を素手ではじくこの祭りは、神々に湯を使ってもらうことで神の力を回復させ、また神々の使った神聖な湯を浴びてけがれを落とし１年の無事を願うもの。２１時間に及ぶ神と人の宴は、生命力を重んじた昔の人の知恵と願望の祈りでもある。◆上村の霜月祭〔長野県〕

若旦那が吉原に遊びに出かけたまま戻らない。大旦那が番頭を迎えにやったが番頭も戻らず、あきれて出入りの鳶頭（かしら）に頼んで行かせたがこれまた戻らない。大旦那、困り果てていると、田舎出の飯炊きの清蔵が、わしが首に縄をつけてでも連れ帰るだと、藁草履にひげもじゃ姿で吉原に乗り込んだが…。

神奈川県横浜市で昭和８年からジャズ喫茶を営んできた吉田衛さんが亡くなった。彼の追悼コンサートの模様を中心に、ジャズを通して生まれた人々のつながりを描く。◆横浜・野毛のジャズ喫茶「ちぐさ」は、音楽業界で活躍する多くのジャズメンたちが若い頃に通った店である。ジャズを愛した“オヤジさん”吉田さんを偲んで、今日も常連客が集まる。そして吉田さんの追悼ライブの準備が進む。この日のために作曲された「ちぐさ」の曲が演奏され、会場の参加者たちに感動を呼ぶ。

レポーターが山形県内各地の見どころを探訪するシリーズ。◆赤湯駅から出発。十分一山はパラグライダー・ハンググライダーの名所で、全国大会も開かれる場所。この日も１２０人ほどが集まっていたが、残念ながら風が強すぎて飛べなかった。駅名になった赤湯温泉の名物・石焼き南蛮とは、大振りな唐辛子の中に麻の種をつめ、石に挟んで炭火で焼き上げるもの。

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川三百年の下にうずもれてしまっている。戦乱の渦巻く時代に長く栄えた今川氏の謎を追う。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆今川氏とかかわりのある伝統芸能を探す。駿府でなくなった能の完成者・観阿弥は亡くなる１５日前に浅間神社で舞ったと記録に残る。また義元は観世一族を駿府に住まわせ、館に招いて能を鑑賞したとされる。寺の役割だった舞楽を担当した久能寺と建穂寺は今川氏の厚い保護を受けた。しかし芸能は民衆にはあまり広まらなかった。