二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆奈良県の北東部、三重県と接する山懐にある真言宗室生寺。創建は奈良時代末。戒律の乱れ、寺院間の激しい権力争いが続く中で、新しい時代の宗教家たちは都を離れ山の奥深くに次々と新しい寺を開いた。室生寺は当時建てられた寺の中で、千二百年前の姿をそのまま伝える数少ない寺の一つである。また、女性の参拝を広く受け入れ、女人禁制の高野山に対し「女人高野」と呼ばれてきた。山間の静かな伽藍のたたずまいを訪ねた旅人は、華道家の川瀬敏郎と詩人の園田恵子。

歌手やアーティストをゲストに迎え、自分の歌った忘れ得ぬ一曲について語ってもらい、最後にその曲をスタジオライブで披露するミュージック＆トーク番組。司会は由紀さおり。◆１９８２年のヒット曲「聖母たちのララバイ」について歌い手の岩崎宏美にインタビューし、岩崎が「聖母たちのララバイ」を歌う。

第四段から第八段まで、飛騨の踊り・手踊・二枚扇などがある。◆日本の踊りでは、踊り手は自分の身体そのものであると同時にそれを越えて物や風景など異なる世界の身体になるのが大きな特徴である。テーマの言葉もそれを語っている。ここまでの構成は神話と民謡の繰り返しで、それをつなぐ糸が弥生の恋であり、この組み合わせは歌謡本来の姿を示している。◆「鏡獅子」中村勘九郎、「枕獅子」第七段三世中村鴈治郎。◆副音声は英語

全国に今も残る大黒柱のある家を取材し、その家族が守り続けている家訓や生活の知恵、大黒柱に対する深い思い入れなどを紹介。◆石川県珠洲市、町から少し離れた場所に、一見、真新しい茅葺き屋根の民家がある。この家の主は、探し求めていた古い日本家屋が珠洲市にあることを知り、その建材を移築したが、大黒柱だけは元の持主が手放すことができないというので、新しいが立派な大黒柱ができた。

佐賀県武雄市にある江口勝美の小山路窯を、西崎流の舞踊家西崎緋扇が訪れる。◆江口さんの陶芸は、刳りぬきという技法に、和紙を切り絵風に貼って絵づけするもの。１カ月以上かけて土をこね、削り鉋で削るが、満足なできのものは１割にすぎない。それに切り紙を貼り、色を塗る。紙の切りだしを妻が、染料を摺るのを息子が手伝う。暖房の風もクーラーの風も禁物の作業だ。◆苦労するのはデザイン。窯で形が狂う。父子は作品との再会を楽しみに、６０時間も赤松の薪をくべ続ける。

　ほぼ半世紀にわたり、奈良、大和路を歩き廻り、折々の風土を撮り続けた写真家、入江泰吉の作品を集めた写真美術館が奈良市にある。彼の作品は、同じく古都の寺社、仏像を撮った土門拳の“動”に対し、柔らかく繊細に、歴史と伝説に富む風土を写し撮った“静”の写真とされる。自ら写真を撮影し、音楽と映像の融合を試みているという音楽家の溝口肇さんが、チェロの演奏に託して、入江の作品の叙情を伝える。

三重県阿児町では海と神へ「三番叟」を奉納し、また町を挙げての町の人の手による人形芝居を楽しんでいる。◆安乗神社では正月、神の使いとされる３体の人形が、まず海辺で外海に向かって、次に岡の上で内海に向かい、さらに拝殿で、式三番叟を舞う。祭りの日には人形芝居が中学生や女性も交じる保存会の手で上演される。４００年の歴史の中で人形の遣い手は変わっていくが、人形に生命を吹き込む人々の心は変わらない。◆安乗の人形芝居〔三重県〕

俊寛は自分だけが帰郷を許されなかった悲しみを語り、断腸の思いで船を見送る。◆歌舞伎では男泣きする俊寛を、能では感情を抑えた動きで表現する。これこそが能の本質で、能では俊寛を外から客観的に描き、片方で心の動きをじっと体にためて、それを観客に伝える工夫をしている。故観世寿夫の「心より心に伝ふる花」の言葉がそれを物語っている。◆「俊寛」観世寿夫、宝生弥一（重要無形文化財保持者）、浅井文義、永島忠侈。◆副音声は英語