戦後５０年。かつて捕虜収容所で死亡したオーストラリア兵士、また戦後に捕虜虐待の罪で処刑された日本兵、双方の鎮魂像の建立を機に、新潟県の地方都市で起きた悲劇の原因を探る。そして悲しみを乗り越え、友好を結ぶ試みを伝える。◆第二次世界大戦中、日本には９１の捕虜収容所があり、そのうち新潟に７か所が存在した。上越市の直江津収容所にはイギリス、アメリカ、オーストラリアなどの兵士、のべ７００人が捕虜として収容された。雪の新潟に来た捕虜は過労と栄養不足で弱り、終戦までに６０人が死亡した。戦後は軍事裁判により、収容所の看守ら日本人関係者が捕虜虐待の罪に問われ、戦犯として処刑された。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、女優の岸恵子さん。

黒川能の最大の舞台は旧正月の祭りである。当屋と呼ばれる民家に、春日神社の御神体「王祗様」が降り、その前で徹夜で能が奉納される。祭りの準備は３ヵ月前から始まる。祭りの主催者は当屋で、最も名誉な役である。能は神社をはさんで上座と下座に分かれ競い合う。祭りの前日には御神体である「王祗様」が上座、下座の当屋の家に運ばれ、当屋に作った能舞台で能が始まる。人々は神と一緒に能をたのしむ。◆【国指定重要無形文化財】黒川能〔山形県〕

古来、人間の暮らしは水と切り離すことができない。山紫水明、豊かな水にめぐまれた日本全国から、水と共に生きてきた人々の営みとふるさとへの思いを伝える。◆周囲を囲む山々から湧き出す水の恩恵を受けてきた岐阜・八幡町。湧水を家の前に作った水船に引き込み、その水で口をすすぎ野菜を洗う。町内の当番が毎日水路の垢を落とす。そんな湧水の町に住む藤細工職人は、山から採ってきた藤づるを１年以上寝かせ、軒先の湧き水に２～３週間ひたしてやっと編みはじめる。一つの籠にも長い時間と人の技、そして風土が込められている。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「シドニー」と題して、オーストラリア・大陸横断鉄道（シドニー・アデレード・ナラボー平原）を紹介する。

瀬戸内海と日本海に挟まれた中国地方五県の自然と、そこに生息するさまざまな生き物の生態を伝える。◆今回は大山の春を紹介する。（前編）

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆比叡山の西の里、大原一帯の寺々の中心が三千院。瑠璃光庭の中央にある往生極楽院及び阿弥陀三尊像などは、藤原時代ならではの優雅さと繊細さを今にとどめ、そのまま浄土であるような一画さえある。また大原は、天台声明の本山としてさまざまな声明が伝えられており、あらゆる日本音楽の原点となった声明はこの山里で育まれた。落語家の桂南光とオカリナ奏者の宗次郎の二人が新緑の季節に大原三千院を訪れ、この地が生んだ声明とともに、その魅力を語る。

全国に今も残る大黒柱のある家を取材し、その家族が守り続けている家訓や生活の知恵、大黒柱に対する深い思い入れなどを紹介。◆国東半島の南、大分県杵築市は、戦災から免れた昔ながらの町並みが今もそのまま残っている。日本一小さなお城を持つ城下町、また、坂の多い城下町としても知られている。町のシンボルとされている「酢屋の坂」は、坂の下にお酢屋さんがあったからその名がつけられたというが、そのお酢屋さんは凡そ１００年前の明治３３年、帳場も土間も当時そのままで、お味噌屋さんになっている。味噌のいい香りが漂う古い味噌蔵の中に大黒柱はある。