日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆山中温泉で知られる山中町は日本で有数の漆器の産地である。日本の伝統産業に携わる若い人の姿は少なくなってしまったが、山中ではまだ比較的多くの若者がその伝統を受け継いでいる。父と子が同じ仕事に就き、切磋琢磨しながら技を磨いていく。現状を打開し、あらゆる可能性を求めて、伝統に挑戦し続けている若者グループの姿を描いていく。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆安珍・清姫の物語で知られ、様々な古典芸能の題材となった道成寺を、コラムニストの天野祐吉と版画家の山本容子が訪ねる。道成寺は千二百年前に建てられた紀州では最古の寺である。その寺が安珍・清姫の舞台に変わったのは平安時代に描かれた縁起絵巻がきっかけで、道成寺ではこの絵巻を使った絵解き説法を５百年にわたって続けてきた。絵解き説法の宣伝効果に着目した二人の話題は「信仰とレジャー」「伝説と広告効果」へと広がる。

７５０年余の昔、道元禅師が開創した日本曹洞宗第一道場・永平寺。約１０万坪の境内には大小７０余りの楼閣・お堂が立ち並び、２００人もの僧が修行に打ち込んでいる。五代杉と呼ばれる大杉の参道を抜けると荘厳な七堂伽藍が現れる。この七つの堂宇は修行僧の日常に欠かせない重要な建物である。

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」等を交えて構成する。◆生月島のくらしや風土を記録し紹介する目的で平成７年にオープン。江戸時代、この島は全国有数の捕鯨の拠点であったので、「捕鯨」はこの博物館の大きなテーマ。江戸時代の捕鯨の様子を大型ジオラマや資料で分かりやすく紹介している。

山口県下関市。人口２５万人の海峡の町の「市民ミュージカルの会」の活動を、リーダーの伊藤寿真男さんを中心に追い、その魅力に迫る。◆伊藤さんは高校時代から演劇青年で、大学在学中には劇団四季に在籍した。卒業後は大手企業で仕事一筋だったが、思うところあって退職、ふるさと下関に帰って市民ミュージカルを企画した。大方の予想を裏切って年々会員は増加して現在６０人、毎年発表するオリジナル作品は１０作品、ステージは５７回、のべ観客動員４万人と、新しい地元文化として定着した。

富山県栃波郡利賀村では１月１５日、子供たちが初午を披露する。子供たちだけの手で伝えられてきた芸が素晴らしい。◆１月１５日、法被を着た子供たちが家々を回り初午を披露して福を呼び込む。大人たちが厄払いを受けお守り札を頂く。過疎で人の少なくなった今、数少ない子供たちが伝統ある行事を受け継いでいこうと真剣に取り組む。村の一員として大切に育てられる子供たちの姿が、ほほ笑ましく幸せそうである。◆利賀の初午行事〔富山県〕

全国に今も残る大黒柱のある家を取材し、その家族が守り続けている家訓や生活の知恵、大黒柱に対する深い思い入れなどを紹介。◆標高１０００メートルを越える山々に囲まれた檜原村は、東京の西の端、山梨県との境にある。その中の一軒の家は、江戸時代に建てられたもので、この家を２００年支えてきた大黒柱がある。

広島県因島箱崎の漁師達は、氏神さまとともに、身の回りにも小さな神々をたくさん祭っている。漁師達の伝統的な漁法と風習を一年にわたって見る。厳しい自然の中で営む漁業は神々への恐れと、自然に対する謙虚な気持が欠かせない。因島は昭和３０年代まで、一家が船に住んで夫婦で漁をする「家船」の港であった。路地に祭られた神々の中には、家船で飼った猫を祀る猫神もあり、人々の信仰の厚さを物語っている。