熊本県球磨地方は山に囲まれ独自の文化を形成してきた。この地方に伝わる珍しい民俗芸能がある。◆見様見真似で習得する『球磨神楽』は伝承が難しく、青井阿蘇神社に残る神楽は１７曲、約半数でしかない。また『臼太鼓踊り』は兜を着けた大将が供を連れて歩く行列から始まり神社に奉納するが、一勝地集落のものが内容も豊富で唄も多く、特色のある臼太鼓踊りとなっている。◆球磨神楽〔熊本県〕

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆嘉永２年、会津若松に生まれた海老名リン。会津藩家老・海老名季昌に嫁いだリンは幼児と女子教育の遅れを嘆き、自ら私立の幼稚園と女学校を設立し近代教育の先覚者として郷土発展に一生を捧げた。「郷土をひらいた人」として、学校教材にもなった。

歌手やアーティストをゲストに迎え、自分の歌った忘れ得ぬ一曲について語ってもらい、最後にその曲をスタジオライブで披露するミュージック＆トーク番組。司会は由紀さおり。◆１９８２年のヒット曲「花（すべての人の心に花を）」について歌い手であり、作詞・作曲者である喜納昌吉にインタビューし、喜納が「花」を歌う。

四国山脈に囲まれた徳島県祖谷地方は高地の斜面を切り開いた田畑に頼る生活で、とくに女性にとっては苛酷な作業が多い。索道やモノレールを使って農作物や生活必需品の搬出入をする日常のくらしのなか、過疎・高齢化が進み、近代化の波も寄せてくる。集落の人々は助け合い、祖先の残した智恵と伝統を守りながら農業を続ける。◆オンジャサン（タカガミサン）〔徳島県〕

男を説得した白蔵主は帰途おいしそうなエサ（わな）を見つけるが欲望に負け、わなにかかってしまう。◆わなを知っての欲望と理性の葛藤、さらには万一を考え、狐の姿に戻ってから食べようとする勝手な理屈。この作品が観客の笑いを呼びながら、わなは猟師でなく自分自身であったという人間の劇でもある所が人気のあるゆえんであろう。◆「釣狐」野村万作、三宅右近。◆副音声は英語

兵士としてインドネシアへ赴き、そのまま留まった日本兵は約二千人といわれた。５０年の年月が過ぎ、今生存しているのは７０人。さまざまな理由で残留した彼らの戦後５０年を描く。◆日本兵の一人は１９４２年２月に出征、日本に妻や子を残してきていた。敗戦後インドネシアの民族運動に加わり、妻を持ち子供もいるが、日本に残した家族が気にかかり望郷の念にかられている。もう一人は山の中におり、１９４７年までに終了した復員を知らなかった。日本の家族は複雑な面持ちで彼らのことを語る。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆京都市出身の随筆家・松山猛が、友人の歌舞伎俳優・中村歌六を誘って、鴨川をさかのぼり源流にある真言密教の寺・志明院を訪れる。この志明院は歌舞伎十八番「鳴神」の舞台でもある。谷間の参道を楼門、本堂、根本中院と上った後、鴨川の始まりの岩清水がしたたる鳴神の護摩洞窟で、歌六さんは不動明王に祈りを捧げる。そして山頂の岩場。鴨川を極めた感じを抱きつつ、水への信仰、寺を取り巻く自然の神秘性、伝説化の隠れ寺について語り合う。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆桜餅につかう桜葉の生産日本一の静岡県松崎町に、なまこ壁は発達した。漆喰をカマボコ状に盛り上げた形が、ナマコの背中に似ていることからそう呼ばれるようになった。中村一夫さんは、なまこ壁作りの技術を持つ左官職人。若い弟子にその技法を指導している。一方、山本堪一さんは?Wこて?Wの技術を生かし、こて絵を制作する。西伊豆の気候風土と共に、なまこ壁職人の技を紹介する。