明治維新前後に活躍した薩摩（鹿児島）の群像を描く◆島津斉彬は４３歳で薩摩藩の第２８代藩主となるや、政治の改革とともに、藩の「富国強兵」策を推し進めた。鹿児島市・磯の集成館には、鉄を溶かす反射炉や溶鉱炉のほか、火薬、硫酸などの工場、薩摩切子と呼ばれるガラス製造所などが建ち並んでいた。ここで働く職人をめぐるエピソードを紹介する。

作家・瀬戸内寂聴が、千年の時を越えて読み継がれてきた「源氏物語」について、自身の現代語訳をもとに語るシリーズ。個性豊かで魅力的な女性たちにスポットをあて、その生き方や性格・心理を読み解き、読者を惹きつける物語の魅力を探る。（４月７日～６月２３日、全１２回）◆第５回は、短い恋のすえにはかなくなった夕顔の女について。

１９９０年、日本の仏教教団ではじめて浄土真宗・真宗大谷派が戦争責任を認めた。４人の僧の姿を通して、宗教と戦争平和の問題を考える。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、映画監督の河瀬直美さん。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、長野県松本市の梓川でイソシギの生態を紹介する。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆平安後期、京都・東山の禅林寺の永観律師は念仏を唱えることで極楽浄土に生まれかわると説き、人々はその徳を慕ってこの寺を永観堂と呼んだ。浄土宗の本山である。本尊は阿弥陀仏の立像で、８０ｃｍと意外に小さい。修行に励む永観の前にあらわれ言葉をかけたのを、写したものだという。左横をふりむいた顔がやさしい。ここには、往生する人を西方浄土から迎えにきた山越しの阿弥陀図もあって、この図を使って平安貴族が死に臨む儀式を体験する。旅人は武蔵野美術大学教授・柏木博とエッセイスト・宮迫千鶴。

急速に高齢化が進む中、全国平均を１０年先行する長野県。介護に行き詰まった夫が妻を殺害する事件が３件も発生している。その１件を題材に、妻を追って自らも命を絶った夫が残した言葉をタイトルに、“老老介護”の実態と問題点を描く。◆１９９７年３月、長野県長野市で老夫婦の心中事件が起きた。認知症をわずらう７８歳の妻を、介護者である８７歳の夫が絞殺し、みずからも首をつって後を追うという老老介護の果ての無理心中だった。遺族や介護関係者の証言から、二人の心中に至るまでの軌跡をたどり、高齢者介護を支える社会基盤の脆弱さを問う。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆宮崎県延岡市でもっとも古いと言われている山下新天町。５０軒ほどの商店が並び、生活に必要なものは何でも揃う。細やかなサービスが人気だ。もともとは鍛冶屋町として栄えていたが、今残っている鍛冶屋は一軒だけ。今も刃物作りを続けている。かつては８０軒もあった商店街だが、後継者難や大型スーパーの進出で空き店舗も増えている。しかし店からはいつも笑い声がたえない。そんな商店街を盛り立てようと高校生たちが店の看板作りに取り組み始めた。商店街でも空き店舗を買い取って出会いの広場を作り、美術展を開くなど客寄せに力を入れ始めた。昔ながらの人情に高校生のアイデアが加わって新しい顔を見せる山下新天街を紹介する。