「猩々」は純粋舞踊に近い作品で、孝行な息子が商売の酒の泉を保障されるという筋で、独特の舞「乱」に趣向がある。能・狂言の効果は、観る人の気持ちをプラスに持っていく働き掛け、すなわち「祝言」である。猩々は酒好きの妖精で、それが快い酒席に訪れてめでたい祝福の妖精になって舞うというのが大筋で、眼目は独特な足遣いを見せる「乱」である。各流派の舞の違いや工夫を見較べながら鑑賞する。◆「猩々」・ワキ松本謙三、シテ喜多六平太◆（各流派として）金剛巌、観世左近、観世清和、大坪十喜雄、森茂好、高橋汎、高橋忍、豊島訓三、植田恭三、宝生英雄、近藤幸江。◆副音声は英語

明治維新前後に活躍した薩摩（鹿児島）の群像を描く◆１３歳の若さで薩摩藩英国留学生に選ばれ、のちに「アメリカのブドウ王」の異名を取った長沢鼎の半生を紹介する。

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆嘉永４年、会津若松に生まれた遠藤敬止。戌辰戦争で降伏した会津藩の鶴ヶ城は明治９年開城となり、取り壊された。遠藤は仙台七十七銀行の頭取や衆議院議員を歴任していたが、明治２３年城跡が明治政府により競売されることを知り、私財を投じて落札した。後に若松市に寄贈され天守閣が復元され、今は会津観光のメッカとなっている。

ヒマラヤ山脈の南麓、カトマンズ盆地の都市を訪ねる。ここには、仏教、ヒンズー教など異なる宗教、中国の木の文化とインドの石の文化が複雑に入り混じって独特の造形を果たした、建築に特色をもつ都市群がある。首都で盆地の中心のカトマンズでは、旧王宮や寺院、動物を生け贄にする血の祭り、バクタプールでは「５５の窓の宮殿」、パタンでは「ゴールデンテンプル」と仏像づくり、パシュパティナートでは曼陀羅をあらわす形象の寺院、チベット仏教の僧院、灯明祭りなどを見る。

メサ・ヴェルデは、ユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコの、４州が境を接する、岩山と乾いた大地が広がる一帯にあり、緑の台地という意味のスペイン語。１５００年前から先住民が住み、６００におよぶ住居跡が残っている。◆そんな一つ、クリフパレスに、６世紀はじめから住んだのは、アナサジと呼ばれ、その子孫がホピ族だとされる。アナサジの住居跡と、ホピ族の住居には、キヴァという、共通する宗教施設があり、祖先が世界の崩壊から逃れ出た通路だと伝えられている。

夫と３人の子供を残し、胃がんのため３０代で亡くなった女性の闘病日記のドラマ化。原作：原島久美子。◆夫・貞行（上川隆也）と３人の子供と幸せに暮らしていた久美子（財前直見）は、胃の不調を感じて軽い気持ちで検査入院し、ガンと診断される。貞行は久美子の希望通り、病名を告げた。２人は病気と闘う決意をする。貞行は会社に長期休暇願いを出し、子供たちは久美子の実家で暮らすことになった。久美子の父・真佐夫は、貞行が告白したことを責める。時折病院へ見舞いに来る子供たちが久美子の励みで、子供と一緒に歌った思い出の「アンパンマン・マーチ」を口ずさんで自分を力づけていた。

会社の方針と衝突して退社した中年会社人間、日下部克男は心ならずも始めた小さなビデオ制作会社で人とかかわりあうおもしろさ、大切さに気づく。現在失われつつある「オヤジ像」を１人の男の姿を通して、現代的意味合いの中であらためて問い直すドラマ。◆細々とビデオ制作会社を営む日下部克男はある日、亡き妻の妹に仕事をもらう。彼女のレストランで催される結婚式の記念ビデオ制作だ。当日会場に行った日下部は、花嫁の父が「おやじ狩り」にあって負傷し、欠席したことを知り、犯人追跡を始めるのだった。

独特の書体と詩で、多くの人々に感動と勇気を与えた書家・相田みつを（１９２４〜１９９１）。「にんげんだもの」「おかげさん」など一連の出版物は、今また静かなブームになり、多くの人々の心をひきつけている。なぜ今「相田みつを」なのか、背景を探る。