病気で何年も寝たきりのフミ子を、夫の謙三は献身的に看病し、周囲の人たちの賞賛の的となっていた。が、ある日フミ子は枕元の睡眠薬を多量に飲み、自殺した。謙三は、彼女が座右に置いていた聖書の一節「わが顔を見ることあたわず」から、彼女の心をさぐる。そして、また彼自身、あの日に限って睡眠薬をフミ子の枕元に置いたのは過失だったのか、自分にもその心の深層はわからなかった。

磁器の町、佐賀県有田町に１人の老陶工がいる。奥川忠右衛門さん、６５歳。生涯をロクロ一筋に生き、消えつつある有田皿山の伝統を守り、大物磁器成型の技法を正しく伝える最後の人だといわれる。忠右衛門の大物成型技法を追い、その技術の中に秘められた人間の知恵と伝統を追求し、陶技一筋に生きた陶工を描く。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆「太陽と緑の国」宮崎の風物は、この土地の人々の夢の現われといえよう。自然条件を活用して杉を植え、新しい樹種を育てる技術を発展させ、自然と調和の取れた人工の美を生み出してきた。いわば宮崎の人々は、風景をつくり育ててきたといえよう。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆埼玉県行田市は松平十万石の城下町であったおもかげを今に残す町。産業である足袋づくりが産まれた背景には、行田の女性たちのエネルギーがある。仕事にかける姿勢と、お稲荷さまを祭って商売繁盛を願う人々の姿を追う。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆日本三大祭りのひとつ「祇園祭」は、七月一日から約一ヶ月間にわたって、さまざまな儀式を連続して執り行う複雑かつ大規模な祭りである。その序幕である吉符入りの儀式、くじ取りの儀式などを取り上げながら、この祭りを支える人々の姿と、祭りのもっている意味を考える。

１９６５～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。（モノクロ）◆春夏一時の花で町中が色めく６月中旬、札幌の街建設と同時に祭られた北海道神宮の例大祭が行われる。札幌市内の時代祭りでは、４台のみこしと総勢六百人の大行列が華やかに繰り広げられる。みこしの乗った車を牛ではなく馬がひくのは、馬の多い北海道ならではの姿である。元来、北海道神宮は、日本の北を守り、合わせて北海道開拓民の心の拠り所として造られたものであった。札幌の歴史の跡を訪ね、一陽来復の時を喜ぶ人々の心のまつりでもある札幌まつりを紹介する。

クリーニング店の八ちゃん（江戸家猫八）、サラリーマンの正ちゃん（一龍斎貞鳳）、ラーメン屋の竜ちゃん（三遊亭小金馬）の三人組を中心に、下町の「あまから横丁」で暮らす人々が繰り広げる騒動を人情とユーモア満載で描く喜劇バラエティー。レギュラー陣とゲストによるテンポのよい芝居、ギャグ、そして歌や演奏で、一家そろって楽しめる人気番組。東京内幸町のＮＨＫホールから公開生放送。（テレビは１９５６年１１月６日～１９６６年３月２９日放送）◆「きょうは引っ越しの巻」。あまから横丁に立ち退きの日がやってきた。横丁の人たちはみな引っ越し作業でてんやわんやの大騒ぎ。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆佐渡は単純な離島ではなく、常に外に向かって開かれてきた島である。文化史の博物館のように、縄文土器、石仏、国宝の蓮華峯寺、文弥人形、謡などの古い日本文化が残されているが、今また稲作だけに頼る農業から柿づくりへと新しい産業を興そうとしている。