東京の下町で育った中年男が、人生の半ばを過ぎてある感慨にとらわれ、祖先の出身地を訪ねる旅に出る。

筑豊のある閉山炭鉱で行われている危険な坑道解体作業の様子を追いながら、百年にわたる炭鉱の歴史とともに生きた庶民の姿を写真、資料などで回想的に描いたドキュメンタリ・。◆日本の原動力ともてはやされた戦前、国家再建の担い手として脚光を浴びた戦後、そして歴史を閉じようとしている現在と、各時代に生きた炭鉱の人々の姿が次々と紹介される。

１８年半、７９４本にわたって続いた長寿紀行番組。地域に根ざして生きる人々を描いた紀行ドキュメンタリーのスタイルを確立した。（１９６３年１０月７日～１９８２年３月１０日）◆厳しい冬の日本海。雪の中カニを売り歩く女たち、杉を伐採して木馬で運び出す男たち、砂丘の利用を研究する学者など、鳥取周辺の海と山に粘り強く生きる人々を描く。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆北海道の米倉といわれる石狩川流域。ことに空知地方・新十津川町はその中心だが、ここでの米作りの歴史はわずか５０年そこそこである。アイヌたちの作らなかった米を、あるいは石狩川河畔の泥炭地に、あるいは六月でも残雪のある山間地に作る人々の歴史と、米への情熱を描く。

１９６６年（昭４１）の北海道は良い年とはいえなかった。どか雪で年が始まり、８月には集中豪雨に見舞われた。そして寒い夏は冷害となり、稲作畑あわせて６００億円の被害をもたらした。そんな中、１９７２年冬季オリンピックの札幌開催決定、２１年ぶりの国後墓参実現が、わずかに人々の心を慰めた。番組はニュースフィルムで綴ったこの１年の映像記録であり、「組曲展覧会の絵」はこの年の北海道のイメージを的確に表している。

東北地方の小さな町を舞台に、若い教師と学生、地元の素朴な人々との交流を描く。「青い山脈」同様、石坂洋次郎原作の青春ドラマ。（全１３回）◆田園風景を走る列車の中では、試合帰りの奥羽高校柔道部の生徒たちが、私設応援団長の有田ユキ子と横山千恵子から、不甲斐ない敗戦を責められていた。そんな様子を微笑ましく眺める伊能琢磨は、実はこの高校に赴任する新任教師だった。

舅、姑そして夫との間には可愛い一人娘があり、何不自由のない平和な家庭に突然起きたトラブル。夫の浮気に端を発した悲劇は、遂に愛娘を残しての妻出奔となる。果たして、彼女は現代のノラなのか。周囲の説得を振り切って、ひたすら自立への道を歩む彼女の選択が波紋をおこす。そして歳月が過ぎゆき、今、成長した娘は亡き母の人生に深い感概をおぼえる。

１９６５〜６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。（モノクロ）◆出雲は神話の国、そして砂鉄の国である。逆に言えば、出雲の砂鉄が、出雲の神話を生んだとも言える。古くから鋼は、カンナ流しといわれる方法で山から掘り出した砂鉄を鍛えて造った。この出雲の国の伝統は、今もなお続き、安来節を生む要因になっている。神話と砂鉄の国、出雲の安来節と砂鉄王国の歴史と伝統・文化を紹介する。