九州の福岡・津屋崎、長崎・ハウステンボスを舞台に、生きることの楽しさ、歓びを描くドラマ。◆中村良子（市原悦子）は九州の静かな港町で暮らす主婦。リストラで退職した夫・昭夫（井川比佐志）と、食事にしか興味を示さない舅との３人の生活は、穏やかなものの、空しさを覚えていた。そんなとき、かつて憧れていた塚田浩司（藤竜也）が現れる。今も魅力的で、事業に成功しているはずの彼も、自分と同じ虚しさを持っていた。「二人で贅沢をしよう」と旅に誘う浩司に、不安とときめきを感じながら良子は応じる。長崎で、普段の生活と全く違う夢のような時間に酔う良子。自殺を考えていた浩司は、そんな良子から生きる素晴らしさを思い出す。

「釣狐」「黄泉の銀花」、ともに意欲的な作品である。新しい日本舞踊についての考え方を花柳壽楽さんに聞く。能では最高の扱いを受けている「釣狐」の舞踊化は長い歴史の上に花咲いた作品。「黄泉の銀花」は日本神話を題材とした大型舞踊劇である。流派を超える活発な創作活動は明治以来脈々と続いてきたが、古典に新しいものを加えて磨きをかけ、後代に伝えていこうとするエネルギーを大事にしたい。◆『釣狐』花柳壽楽（人間国宝）、唄：杵屋六美朗、三味線：杵屋寒玉◇『黄泉の銀花』作：高橋治、演出：花柳壽輔、音楽：宇崎竜童。◆副音声は英語

１９９３年夏の北海道南西沖地震から５年。最大の被災地となった道南の日本海に浮かぶ奥尻島では慰霊碑が完成し、町は震災からの復興を宣言した。だが、地震による津波や火災で肉親を失った島民たちの心は果たして復興できたのか。◆島でも最大の被災地となった南部の青苗地区。ここに暮らし、津波で家と両親を失った漁師の２代目は、再建を諦めて島を離れることさえも考えたという。彼の心の支えとなり、彼を島に踏みとどまらせたものは何だったのか。また、小学５年で被災して父を亡くした少年は、この年高校２年になった。高校卒業後の進路について思い悩む日々を過ごしている。目を見張るばかりの美しい景色の広がる島で繰り広げられる人々の生活に、震災に揺れた心の軌跡を追う。

キューバの中央南端トリニダー。砂糖貿易が全盛だった１８、９世紀の建物が１２００も残る、キューバ最古の街だ。北にはインヘニオス盆地、大農場が５６もある。◆そこには高いイスナガの塔がそびえる。作業時間を知らせる鐘楼で、監視も兼ねた。働いているのはアフリカからの奴隷だった。その悲惨さとうらはらに、大商人らの贅を尽くした館には、ヨーロッパでも一流の工芸品が残っている。◆キューバ革命で、砂糖産業は国営化された。しかし子孫たちは、今も悲しい埋葬の踊りを忘れない。◆トリニダーとインヘニオス盆地

ＮＨＫ連続テレビ小説第５７作「甘辛しゃん」（１９９７年１０月６日～１９９８年４月４日放送）の総集編。灘の蔵元を舞台に、様々な偏見と困難を乗り越えて酒造りにかけるヒロインの半生を描く。作：宮村優子。（全４回）◆総集編・第１回「姉弟（ふたり）」。神沢泉（山下結穂、佐藤夕美子）は、蔵人だった父を事故で亡くし、母・ふみ（樋口可南子）と丹波篠山で暮らしていた。ある夏、泉は篠山を訪れていた灘の榊酒造の息子・拓也（比嘉タケル、岡田義徳）と出会う。その後、台風で被害を受け、泉は榊酒造で働くことになったふみと灘に移り住む。榊酒造は１５０年の伝統を誇る酒造元で、拓也と父・信太郎（風間杜夫）、隠居した庄一郎（植木等）夫妻が旧家の格式を守って暮らしていた。やがて信太郎とふみは当主と使用人という壁を越えて再婚し、泉と拓也は姉弟となった。成長した二人の間に許されぬ恋心が芽生える。

歌舞伎の三大名作のひとつと言われ、ロマンティックな色彩の濃いこの作品を、それぞれの役の演じ方、見方を理解して鑑賞する。この作品の主題は「義経の平家武将探索の旅」である。まず五段構成の「義経千本桜」の大筋と、主な役である義経・知盛・権太・忠信の役柄を知る。そして、智・仁・勇を兼ね備えた英雄として義経をたたえた当時の民衆の気持ちを理解しながら鑑賞する。◆『義経千本桜』序段堀川御所の場／尾上辰之助、河原崎権十郎、大谷友右衛門。◆副音声は英語

ジャズシンガーとしても人気のある東京・六本木署の刑事が、殺人事件の真相に迫るドラマ。◆「クマさん」の愛称で親しまれる熊谷吾一（西田敏行）は、ジャズ歌手としてステージにも立つ型破りな刑事。ある日、暴力犯係の浜田（梅沢富美男）から、賭博容疑で逮捕された松本光児（段田安則）の事件の引継ぎを頼まれる。事件とは賭場の前に停めていた松本の車が爆破されたもので、松本自身も１年前に妻を殺されていた。一時は妻殺しを疑われた松本のアリバイを証明したのは、当時不倫関係にあった長谷川恵（高畑淳子）だった。恵の周辺から、別件で逮捕されていたニセ刑事・権藤（役所広司）が浮かび上がる。

放送３５周年を迎えた「ふるさと紀行」。このシリーズは「次世代に伝えたい歌」をテーマに、懐かしい唱歌、童謡など心に残る歌のふるさとを訪ねて日本列島を縦断する。（１９９８年４月５日～１９９９年３月２８日放送、全５０回）◆豊川稲荷で知られる愛知県豊川市。童謡作曲家・山口保治はこの町で生まれた。代表作は「かわいい魚屋さん」「ナイショ話」など。その愛らしいメロディーは幼な子の心に溶け込んだ。豊川市制五十周年を記念して「山口保治物語」の劇が企画され、保治の母校・豊川市立国府小学校の先生が脚本を書き、児童たちが演じた。以来、国府小の運動会では「かわいい魚屋さん」を歌い、踊っている。番組では愛知県豊川市出身の童謡作曲家・山口保治の後輩にあたる国府小学校の児童の姿を紹介しながら、楽しい童謡の世界を見つめる。