何よりも猫を愛する男と、彼の先妻と後妻が織り成す人間模様を描くドラマ。原作：谷崎潤一郎。◆昭和十年、神戸。荒物屋主人の庄造（藤田まこと）は飼い猫のリリィを溺愛。家や店のことを押し付けられ、リリィ以下の扱いを受ける妻・品子（いしだあゆみ）は、姑との折り合いも悪く、ついに家出した。すると庄造は、以前から不倫関係にあったいとこの福子（麻生祐未）と再婚する。やがて福子のもとに品子から、リリィを引き取りたいとの手紙が届く。品子は庄造に未練があって、リリィを餌に庄造を呼び寄せようと考えていた。庄造は品子に飼われるようになったリリィに会いたくて仕方ないが、福子に遠慮がある。

国内外のさまざまなジャンルの第一線で活躍する文化人・経済人・政治家らが自らの言葉と映像で、２１世紀へ向けた知の指針を示す。◆第１回は、建築家・安藤忠雄が今後の都市のあり方を考える対論の旅に出る。対論の相手は毛利衛、稲盛和夫、フランソワーズ・モレシャンの各氏。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆大林宣彦（映画監督）と恭子（映画プロデューサー）夫妻が琵琶湖の湖北地方に観音の里を訪ねる旅。湖北一帯には百体以上の観音がそれぞれの村や里に祭られている。奈良から平安時代にかけて北陸から盛んに伝えられた山岳信仰の中心が十一面観音で、幾多の戦乱で堂塔は失われたが観音は村人たちによって守り継がれた。その多くは村のはずれの小さな堂にひっそりと安置されている。夫妻は高月町の赤後寺をはじめ湖北の寺々を巡って、村人の信仰と観音の慈悲との関わりを探る。

紀伊半島の熊野地方は、年間３０００ミリを越す雨の多い地方である。その水を集める古座川は流域に住む人々の暮しを支えてきた川である。川と共に生きる人逹の一年を記録する。豊かな山を持つ川は、豊かな海の幸を持つという。古座川の流域の人逹も豊かな自然を守り続けることで、山の恵み、川の恵み、海の恵みを受けている。そこにはさまざまな知恵や祈り、そして言い伝えが息づいている。◆河内祭り〔和歌山県〕

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆画家・城戸真亜子と演出家・蜷川幸雄が、京都加茂町の岩船寺を起点に、山間の当尾（とおの）の道をたどって浄瑠璃寺を訪ねる。浄瑠璃寺は平安時代後期に建立された寺。池の東西に三重の塔と本堂の阿弥陀堂を配した庭園は極楽浄土を見事に写し出し、浄土信仰の理想郷をしのばせる。また、年に一度秋の夜、９体の阿弥陀如来像がいっせいに明かりに照らし出されて幻想的な光景を醸し出す。当尾の古道や浄瑠璃寺のたたずまいを通して、人間にとっての救いと浄土が語られる。

大学病院と民間病院を舞台に、病院再建をめぐる医師たちの葛藤、病院をめぐる対立や人事抗争を描きながら、病院の今と未来を探る。「土曜ドラマ」の企業シリーズ。（１９９６年１０月１９日〜１１月２日放送、全３回）◆第二回「派遣医師」。白木総合病院に来た熊井（中村雅俊）は、院長に就任して病院再建に乗り出すが、古参の医師や婦長の反発にあう。一方、田代からは臨床試験中の新薬採用を促す通達が来る。それを拒否し八方ふさがりの熊井のもとに、妻から思わぬ電話が入る。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、山梨県韮崎市でフクロウの生態を紹介する。

近松門左衛門の世話物の名作「心中天網島」（河庄の段の前半）を山川静夫さんの解説で観賞する。三人の人間国宝が演ずるこの舞台は、三業一体のすばらしさを実証し、堪能させてくれる。太夫のエネルギー、三味線の繊細な音色、それに乗った人形のこまやかで生き生きとした表情。ひたむきな男女の心がひしひしと伝わってくる、見どころの一杯詰まった舞台である◆「心中天網島」河庄の段。吉田玉男（重要無形文化財保持者）、吉田蓑助（重要無形文化財保持者）、吉田文雀（重要無形文化財保持者）、竹本住大夫（重要無形文化財保持者）、鶴沢燕三（重要無形文化財保持者）。◆副音声は英語