和歌山県新宮市の熊野速玉大社に、古神宝類（こしんぽうるい）とよばれる総数１２０４点に及ぶ国宝がある。神々の日用の品々として奉納された装束、手箱、冠などの類である。王朝時代には熊野詣でが盛んに行われ、天皇や貴族達が度々、熊野三山に参詣した。現存のこれらの宝物は１３９０年、足利義満と皇室が奉納したものであるが、南北朝の争いの真只中、政治的な狙いが極めて濃厚で、事実、二年後に両朝は統一された。６００年前、王朝の文化を彩った匠の高度な技を子細に検証する。◆熊野速玉大社、古神宝類【国宝】　彩絵檜扇、衵、玉佩、梛蒔絵手箱と化粧道具（鏡、解櫛、蒔絵櫛、毛抜、眉作、耳かき、歯黒箱、歯黒筆、白粉箱など）

インターネットの世界で繰り広げられる顔の見えない会話。赤裸々な本音とむき出しの悪意。自らもそれに傷ついたことのある脚本家・野沢尚が、ネット社会の裏側を舞台に、現代社会の人間達の深層心理を描く。◆夫と離婚し、仕事と子育てに追われる阿南亮子（夏川結衣）。日常の緊張から開放されるのは、深夜インターネットの仮想空間で似たような境遇の仲間とバーチャルな会話を楽しむときだけだった。しかしふとしたことで本名で投稿したことから、ネット空間で標的にされてしまい、見も知らぬ人たちの口汚い罵りを連日浴びせられることになってしまう。

時代の流れとともに消えようとしている、ふるさと島根・鳥取の素顔、自然、生活、文化、伝承行事などを、映像遺産として後世に伝えるシリーズ番組。◆起源を平安時代に遡れる和紙の里、鳥取県佐治村。前田茂徳さんは手漉き和紙に携わって４０年の伝統工芸士である。寒に漉くものが最高とされる手漉き和紙だが、冷え込みのつづく寒中に水の中で作業をするのは厳しい。息子の修一朗さんともども新しい取り組みも始め、工夫を重ねて大麻紙や天蚕紙、杉の皮の紙なども作り出している。通信販売をして使う人の生の声を取り入れるなど「お客さんをとりこにするような紙をめざす」と語る。（鳥取県佐治村）

東北各県の河川を辿りながら水とともに暮らす人々を訪ね、“みちのく”の命を守る水の姿をみつめるシリーズ。企画：東北民放テレビ六社会。（２０００年１月～３月放送）◆岩手県山形村の平庭岳の裾野を源に、八戸市内を流れる新井田川は全長７８キロ。昭和３９年に八戸市が新産業都市の指定を受けた後、川が汚染されて魚がほとんど死んだという。しかし市民のボランティアの活動などにより、川は回復し、鮭の遡上も確認できるまでになった。近年はハゼやウグイも釣れる。◆縄文遺跡や灯篭流し、毎年夏に行われる御輿渡御などを織り込みながら、生き生きとした流域住民の営みを伝える。

中国放送が保有する開局以来の貴重なライブラリー資料と、視聴者の手元に眠る映像から、２０世紀の広島県を振り返って、さまざまな顔やイメージからとらえた広島を２１世紀に伝える。◆この回は「東京オリンピック」。

広島には県立美術館をはじめ、多くの美術館があり、その環境、建物、収蔵品に特徴をもち、多くの人に親しまれている。番組では県内１３の美術館から、それぞれ２点の収蔵品（絵画、彫刻、書、陶磁器等）を推薦してもらい、美術館の環境、建物も含めて、毎回１作品を取り上げる。今回は今井政之の陶器「象嵌彩窯変洋蘭花壷」。

米軍基地の点在する沖縄の現状や、母親たちの活動を通して、真の平和とは何かを考える。◆第１次世界大戦からユ－ゴ空爆、２０世紀は戦争の世紀だった。戦争は常に、子ども、女性、老人といった弱者を犠牲にする。日本で唯一地上戦のあった沖縄がそれを示している。その沖縄に、米軍基地が多く点在する。２０００年５月１４日、沖縄普天間基地を取り囲み、女性たちが基地反対の集会を開いた。基地に隣接する学校では戦闘機が校舎をかすめ、子ども達は爆音にさらされているのだ。アメリカ取材を交え、２１世紀を前に沖縄から世界へのメッセージを伝え、平和とは何かを改めて問う。

旧ソビエト連邦でゴルバチョフ元大統領の右腕として、イデオロギーの対立にとらわれない新しい外交を展開し、米ソ冷戦を終結に導いた立役者のひとり、エドアルド・シェワルナゼ元外相。現在はグルジア（ジョージア）の大統領として祖国の再建に取り組んでいるシェワルナゼ氏に、ナムリ夫人へのインタビューを交えて話を聞く。