ブリキのおもちゃのコレクターとして知られ、横浜にも博物館を開設している北原照久氏のコレクションの数々を紹介する。◆１９３０年代に日本で作られた「幸福時代」「観覧車」を紹介する。

今生の願望すでに満ち、来世の妙果宜しく期すべし…。厳島神社は、平清盛が来世の極楽と一門の繁栄を願って、海上に造営した社である。海の上の建造物は他に類がなく、世界遺産にもなった。清盛が寄進した、同じく国宝の経典は、地や文字に金銀が惜しみなく使われ、平安の装飾美の極致とされる。最新の研究により、地の波の文様が、鳥羽上皇が宮中で造らせた、国宝・久能寺経と完全に合致することが判った。瀬戸内を背景にのし上がった平氏が、壇ノ浦の海に消えて８００年が経つ。◆厳島神社【国宝】、平家納経【国宝】提婆品（だいばほん）、厳王品（げんのうほん）（厳島神社蔵）、久能寺経【国宝】（鉄舟禅寺蔵）、平清盛像（六波羅蜜寺蔵）

開局３５年を機会に、「うつくしま、ふくしま」県民運動に呼応して選定委員会を組織、自然との共生、自然にやさしい心を再認識するための第一弾として「うつくしま百名山」を選定した。（１９９９年５月１０日～２０００年７月２４日）◆この鎌倉岳は、常葉の鎌倉岳と区別して、竹貫の鎌倉岳と呼んでいる。この竹貫の鎌倉岳にも鎌倉伝説が伝わり、岩場に囲まれるなど共通点が多い。

兵庫県小野市の浄土寺は、鎌倉初期に東大寺再建の寄付を募った大勧進、重源によって建立された。国宝の浄土堂の中央に、鎌倉期を代表する仏師、快慶の手になる阿弥陀の三尊が、すっくりと立っている。他に仏具など何も置かれていない。日の沈む頃、西側のしとみ戸を上げると、太陽の光が堂内深くに射し込み、仏像の黄金色と梁や柱の朱色とが映えて、眩いばかりの空間となる。重源は、末法の世に極楽浄土へと衆生に手をさしのべる阿弥陀来迎の図を示し、民衆に仏への帰依を促したのだ。◆浄土寺浄土堂【国宝】、阿弥陀三尊像　快慶作【国宝】（阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩）、阿弥陀如来像　快慶作【重文】、菩薩面【重文】（浄土寺蔵）、阿弥陀聖衆来迎図【国宝】（有志八幡講十八箇院蔵）

黒人男性を愛し、アメリカに渡った聴覚障がい者の女性。彼女の波乱の半生を再現映像を交えて描くドキュメンタリー。◆武田麻弓さんは猩紅熱の後遺症で、補聴器なしでは音を聞き取れない。しかし努力を重ね、普通学校に通学した。激しいいじめを乗り越え、デザイン学校を最優秀で卒業。デザインの勉強を通じて、黒人の身体の美しさと差別を跳ね返す強く明るい精神にひかれた麻弓さんは、やがて黒人男性と結婚してアメリカの大学へ行き、聴覚障がい児を教える、という夢を持つ。そのため大手企業を辞め、風俗店で資金を稼いで渡米。しかし再会した恋人と破局、次に知り合って結婚した相手は、実はギャングだった。

ルソン島北部の都市、ヴィガンは、第二次大戦の戦災を免れ、３００年に及んだスペイン植民地時代の町並みを残す唯一の街である。◆１６世紀、スペインはフィリピンを植民地とし、アジアへの勢力拡大の根拠地とした。マニラに次ぐ第二の港町ヴィガンは、中国大陸とも近く、西洋風の都市が精力的につくられた。◆先住民の高床式住居にヒントを得た、バハイナバトと呼ばれる二階建て住居が特徴で、その多くにスペイン人と中国系混血層の人々が住み、特色ある社会を形作っている。◆ヴィガン歴史地区

１３世紀の半ば、タイの北西部に、初めてタイ人による独立国家、スコータイ王朝が誕生した。◆タイの夜明けを告げた王国の若き英雄、三代目の王、ラームカムヘンは、タイ文字を発明し、初めて治水事業を行うなど、国力の発展に力を尽くした。◆王国は、クメールのヒンドゥー文化などの影響を受けながら、スコータイ独得の、絢爛たる仏教芸術の華を咲かせた。◆実質わずか百数十年の王朝であったが、それは、タイ文化の基礎を築いた時代であり、タイの人々の誇りでもある。◆スコータイと周辺の古都、シー・サッチャナーライ遺跡、カンペーン・ペット遺跡

フィンランドの湖水地方、ペタヤヴェシの古い木造教会は、豊富な森林資源と、厳寒の風土が生んだユニークな教会建築だ。◆１７６３年に地元の一人の大工が、当時ヨーロッパ中央で盛んだったバロックやロココの建築様式を意識しながらも、十字型の屋根、八角形のドームなど、木材の直線を生かした独創的な建物を造りあげた。木製の説教台、飄々とした表情の天使や聖人の像など、素朴な温かさに溢れている。◆近くの町ケウルーの木造教会も、美しい天井画が高い評価を得ている。◆ペタヤヴェシの古い教会、ケウルーの教会