かつてネパールで密教修行の経験を持つ宗教学者・中沢新一さんが、真言密教の寺・東寺（教王護国寺）を訪ねる。◆東寺には、５０点の国宝がある。寺の中心・講堂の２１体の仏像は平安初期、空海が仏師に造らせたもの。このほか寺には空海が密教を広めるため中国から持ち帰った大量の図像や曼陀羅が納められている。ここを都で布教するための拠点とした空海は、やがて本来の山岳仏教に帰り高野山へ去る。しかし不動明王を始めとする東寺の仏たちは、密教の教義を超えて日本人の心をとらえ、今も人々の厚い信仰を得ている。

政治評論家の福岡政行氏、作家の半村良氏、ルポライターの宮本美智子氏らが、全北海道の視聴者と生の声を交わしながら論戦を展開し、これからの北海道について考える。司会は沢田亜矢子、小池弓夫。ＨＢＣ創立３５周年記念特別番組。◆番組は３部構成で、「気になる他人の目。イメージ・ギャップはどこから」「ギャップを埋めよう。足腰を強くしよう。各界各論の検討」「ほっかいどう２１世紀の主役を探そう」とし、北海道各界で活躍する２０代後半から４０代前半の５０人が参加する。また北海道の現状とその特徴を、人間性から産業、文化まで幅広く紹介し、討論に現実性をもたせる。

俳人・尾崎放哉の香川県小豆島での最後の８カ月をオール・ロケーションで描く。◆帝大出のエリート放哉（橋爪功）は社会生活になじめず３９歳で職を辞し、無一物となり小豆島へ。墓守として小さな庵に入る。

船で中国を訪れた青年たちの様子を取材した番組。福井県や京都府など近畿２府６県の青年たちおよそ５００人が歴史的にも近畿圏と関係の深い中華人民共和国を訪問し、中国青年との交流を通じて産業や文化などについての見聞を広める様子を取材。特に船上での研修会の様子や、７つのグループに分かれて中国各地を訪れた青年たちの様子、さらに最新の中国事情などを追うとともに、帰路の船上で青年たちにアンケートして、「５００人の青年たちが見た中国」を浮き彫りにしている。

　フィリピンでは大統領選挙が２月７日に行われる。現職のマルコス大統領と暗殺されたアキノ元上院議員の未亡人コラソン夫人との一騎打ちという形で激しい選挙が戦われる中、フィリピン問題の根底といわれる貧困と飢餓のネグロス島を取材した。◆中部ビサヤ地方に浮かぶこの島は「砂糖の島」と呼ばれているが、ここでは大土地所有制が今だに続いておりマルコス王朝をささえる砂糖財閥が島の労働者の血と涙と汗を吸い続けてきた。そして今、深刻な貧困と飢餓に苦しむ労働者たちが武器を手に戦いはじめ島全体が政治化してきている。

自らの人生に疑問を感じはじめた女性３人が、それぞれの悩みを胸に“グルメ旅行”へ出発、旅先で新たな人生を発見する。（１９８６年４月１日〜４月３日放送、全３回）◆女子高時代の先輩・みつ江（酒井和歌子）に誘われて、先輩の栄子（香山美子）ともども３人旅に出た百合（岡江久美子）は離婚して１年半。別れた夫は姫路で家業のそうめん製造業を継いだ。九州から神戸へ向かう途中、前夫に会ってみたくなった百合は強引に二人を誘って途中下車、久々の再会を果たす。

ＮＨＫとフランス・テレビ１（ＴＦ１）との共同制作により、世界最大級の美術館・ルーブル美術館の全貌を紹介するシリーズ。（１９８５年４月２８日〜１９８６年４月２０日、全１３回）◆第１１回は、絶対主義王権が頂点を迎えたルイ１４世のフランスの芸術を紹介する。１７世紀のフランスは戦争を繰り返しながらヨーロッパでの覇権確立を図っていた。芸術でも、秩序と均衡、理知と静けさを特徴とする古典主義様式が形成された。一方、庶民や農民に光をあてた絵画もある。これらのつつましさとベルサイユに輝く栄光とを対比して描く。

京都東山の銀閣寺を華道家の勅使河原宏さんが訪ね、その美をさまざまな角度から探る。◆銀閣にはなぜ「銀」の名が与えられたのか。銀閣二層に残る白いうるしの跡は、銀ぱくを施すための下地とも、それ自体が建物の仕上げだったともいわれている。明治以降の調査の結果では、銀閣には銀ぱくを貼った形跡は認められていない。銀閣という名は単に金閣に対する語呂合わせにすぎないのだろうか。月光に照らし出された銀閣の映像が、その答えを示してくれる。