ＪＮＮ九州沖縄７局の合同企画シリーズ。九州沖縄地方の豊かな自然や古来からの歴史、多彩な文化など、かけがえのない郷土の遺産を後世に伝える。１９９７年から２００２年まで全３５本を放送。◆焼物戦争といわれた文禄・慶長の役で、佐賀藩主に連れて来られた朝鮮人陶工・李参平によって、日本の磁器の歴史は始まった。その後、赤絵の技術を確立した肥前・有田の焼物は、日本のそして世界の磁器をリードしていくことになる。１７世紀半ば、長崎の出島に商館を構えたオランダ東インド会社によって、肥前磁器はヨーロッパに渡ったが、その数は２００万個ともいわれている。濁手と呼ばれる白く透き通った磁器に赤絵具で非対称の絵柄を描いた柿右衛門様式は、マイセン焼などヨーロッパの磁器に大きな影響を与えた。佐賀藩の御用窯があった伊万里・大川内山では有田皿山の優秀な職人を集め、当時としては最高の磁器が焼かれていた。色鍋島と呼ばれたその焼物は無名の陶工達が夢を描いたもの。その歴史を受継ぐ有田の陶工たちは今でも夢を追い求めている。

不遇な出生ながら、この地に多くの傑作を残したアレイジャジーニョの足跡をたどる。◆１７３８年、彼はゴールドラッシュに湧くオウロ・プレットの町で、著名なポルトガル人建築家の父と、黒人奴隷の母との間に私生児として生まれた。◆父の見様見真似で始めた彫刻で、やがて教会の建築や内部の装飾を手がけ、「ブラジルのミケランジェロ」と呼ばれるまでになった。◆だがハンセン病が進み、晩年は不自由な左手にノミを括りつけて制作に当たった。執念の作品は見る者の心を打つ。◆古都オウロ・プレットとコンゴーニャスのボン・ジェズス聖域

子どもの民謡であるわらべ歌を紹介する。◆わらべ歌は遊びから生まれ、年長者から年少者へ口伝えで歌い継がれてきた。現代ではお手玉のような技術を要する遊びはすたれたが、昔の遊び歌を取り入れる保育園もある。わらべ歌には自然への呼びかけや季節の歌も多い。小正月は子ども中心の行事で、左義長や初午で歌われる歌がある。子ども達はこのような行事を通じて地域の構成員となっていく。明治期には子守歌が広がった。守り子は「親に叱られ子に泣かれ」と仕事のつらさを歌った。◆「お手玉唄」、「左義長の唄」、「初午の唄」、「黒部の子守唄」

今からおよそ１００年前、ヨーロッパ中で大流行したアールヌーボー建築。スペインではモデルニスモといわれガウディが傑作を残し、ドイツではユーゲントシュティールといわれ北欧にまで波及した。アールヌーボー建築のはじまりは、ベルギーの首都ブリュッセルに建てられた一軒の個人邸宅からであった。その個人邸宅を設計したのはヴィクトル・オルタという建築家。重厚な石造りを良しとしていた当時の建築界に驚異的なスタイルが誕生した。鉄とガラスをふんだんに使って美しい曲線で自由に構成する建築様式、アールヌーボーである。◆タッセル邸、オルタ邸、エートヴェルテ邸

加賀藩主シリーズ、今回は十二代斉広（なりなが）を取り上げる。◆斉広は十代重教の次男で、２１歳で藩を継いだ。当時の加賀藩は５０年前の大火で城のほとんどは焼失しており、１８０８年（文化５）に二の丸も焼け、財政は底をついた。斉広は改革に意欲を見せたが、ことごとに老臣らの反対を受けた。２０年目に家督を息子の斉泰に譲り、竹沢御殿を建て、一種の院政をめざした。寺島蔵人というやり手も得たが、斉広は２年後に死去。もがきつづけた生涯、もう少し生きていたらと惜しまれる。

韓国の「永宗大橋」建設をめぐり、日本と韓国の技術者たちが摩擦や話し合いを経て、相互理解を深めていく姿を描くドラマ。◆建築中の永宗大橋は、韓国本土と新しい国際空港を結ぶ巨大な吊り橋である。島田勝志（高嶋政伸）は怪我で帰国した上司・塩崎に代わって、その建築現場に向かう。そこでは以前勝志の恋人だった塩崎の娘・理恵（永作博美）も通訳として働いていた。理恵は韓国人のエリート建築士と結婚を望むが、塩崎は反対する。現場の日本人団長・村野（渡瀬恒彦）は、単身赴任中にパートの冨田（いしだあゆみ）と不倫関係にあった。勝志は冨田にソウルを案内してもらい、彼女も不器用ながら自分に正直に生きている女性と知り、生活には奇麗事だけで済まない場合もあるのだと実感する。そして工事の終わりとともに、それぞれの人間関係が次の段階へ進んでいく。

静岡県北東端にある小山（おやま）町。はるかに富士山を望む。ここには富士浅間神社があり、旅館も多い。◆箱根外輪山の一つ金時山の金時茶屋。あたりは金太郎、源頼光の四天王坂田金時のふるさととされ、看板娘の小見山さんも金時娘と呼ばれた。今は６８歳で、息子が手伝うが、元気な声は若い頃のままだ。◆麓では、富士の清水に、わさびが育つ。五合目の東富士山荘は、はや冬仕度である。５０年間、富士の写真を撮りつづけている小宮山さんは、「富士山は恋人」という。◆富士山【特別名勝】

江戸時代になって街道が整備されると、全国の庶民の間に「せめて一生に一度は」とお伊勢参りが大流行した。神のおかげ、人のおかげで生きられることを感謝する、いわゆる「おかげ参り」。日本の人口が三千万人だった頃に、年間五百万もの人が伊勢に押し寄せたという。そんなお参りの楽しみ、いまも変わらぬうまし国・伊勢の味。伊勢海老、サザエに神様が召し上がる御神酒などなど、門前のおかげ横丁は賑わいつづけている。