国宝第一号となった広隆寺の弥勒菩薩像、そして飛鳥彫刻の最高傑作とされる中宮寺の半跏思惟像。片足を組み、右手を頬にあて、僅かに微笑みを見せるその像は、如何に人々を救うかと瞑想にふける菩薩の姿を映しているといわれる。聖徳太子に始まる飛鳥時代、朝鮮半島との文化交流と共に、全国各地に半跏思惟像が広がったといわれるが、その後、中国・唐などと直接交流する時代となり、次第に廃れていった。二つの仏像を中心に、いわゆるアルカイック・スマイルの美の秘密を探求する。◆木造弥勒菩薩半跏像【国宝】（広隆寺蔵）、木造弥勒菩薩半跏像【国宝】（中宮寺蔵）

ヴィルニュス歴史地区には、民族抵抗の歴史が、深く刻み込まれている。◆バルトの古都、ヴィルニュスは中世の美を伝える美しい都市として知られる。由緒ある大学や教会建築の建物が市内に点在する。◆１９３９年、独ソ不可侵条約により、ソ連に併合されてしまったリトアニアは、１９８９年の人間の鎖、１９９１年１月の血の日曜日の事件を経て、ようやく独立を取り戻した。２０世紀のバルト三国を包み込んだソ連の体制下にも、民衆の信仰と文化の灯が絶えることはなかったのだ。◆ヴィルニュス歴史地区

ブリキのおもちゃのコレクターとして知られ、横浜にも博物館を開設している北原照久氏のコレクションの数々を紹介する。◆１９３０年代作の、日本製「ハロルド・ロイド」「ミッキーマウス」を紹介する。

北方圏の国々を訪ね、寒冷多雪地域に生きる知恵や楽しさ、北に生きる素晴らしさを伝えるシリーズ。（２０００年１０月１２日・１２月２１日、全１１回）◆今回のテーマはエネルギーと環境。北欧では自然エネルギーへの取組みがさかんだ。アイスランド国民は真冬でも水泳を楽しめる。火山帯の熱で温められた熱湯をプールに利用したり、地熱発電を行っているのだ。また間欠泉が首都レイキャビックの全ての家庭の暖房をまかなう温水供給基地になっている。デンマークはエネルギー自給率１００％。主軸は火力発電だが、風力発電のシェアが１０％を超えた。ここで「風の又三郎」と呼ばれている一人の日本人男性が、「風のがっこう」と呼ばれる風力発電の研修所を開いている。またスウェーデンのゴミの芸術家や、「究極のエコ施設」も紹介する。

町工場が立ち並ぶ愛知県名古屋市神宮寺で、不況下でもひたむきに働く職人たちを描くドキュメンタリー。◆加藤さんは土古（どんこ）溶接工場を経営するが、主製品のパイプ椅子の売上は４分の１に落ち、新たに手がけたベビー椅子も少子化で伸び悩む。二人の息子は「汗を流してするのが仕事」と脱サラして家業を継いだが、困難な状況が続く。機械部品加工業の梅澤さんは、親会社の社長が自殺し、連帯保証人として借金を背負いながらも、自分にしかできない旋盤の腕に誇りを持っている。また、板金加工業の安藤さんは、自分は子供の頃から物作りが好きな「工作小僧」だと語る。

四国４県の豊かな自然と独特の歴史が育んできた伝統や祭りなど貴重な遺産をシリーズで紹介していくドキュメンタリー。（２０００年５月３日～２００３年２月１日放送）◆この回は「阿波藍と吉野川」として、吉野川を撮り続ける写真家、石井町川防災ステーション三郎広場、吉野川情報館、潜水橋、水防竹林、高地蔵、うだつの町並み、脇町劇場オデオン座、藍の館、すくも、国選定阿波藍製造技術保持者の藍師、本藍染、四国三郎カヌー同好会、手づくりのカヌー、よしの川トロッコ号、などを紹介する。

大分放送が視聴者から２１世紀の大分に残したいものを公募し、食文化、伝統芸能、文化遺産、自然の４つの分野から検証する。◆第２部「伝統芸能」では、継承が次第に困難になってきた無形文化財を取り上げる。大分県は小藩分立、複雑な地形のため、民俗的な面で地域性か強く、民謡や民俗芸能の宝庫といわれてきたが、社会構造や経済構造の変化で存続が困難になってきている。やみくもに保存を叫ぶだけでなく、生活の歴史や先人の知恵などを知った上で、地域ならではのアイデンティティーとして継承していくことが大切ではないか。一時は途絶えた芸能が復活した。祭の主役に選ばれて“ほまれ”を感じたり、祭そのものが生きがいになっているケースも少なくない。県内の伝統芸能を支える地域住民の意気込み、祭を継承するための意味などを様々な事例として紹介し、新世紀を生きる人々へのメッセージとする。

金沢表具を探訪する。◆中国の掛軸の真似からはじまったとされる日本の表具。石川県では三代藩主前田利常が重要な茶道具として広めたという。明治創業の中越表具店の職人さんの働きぶりと意見、様々な表具、県文化財保存修復工房の活動ぶりを紹介する。火災で焼けた大般若波羅蜜多経５００巻の手入れ、大野湊神社の巨大な絵馬の剥落防止作業の様子も見ることができる。◆修理は現状維持が鉄則だが、現代の書画にはインドやタイの新しい生地も使う。未来にいい仕事を残したいという。