ベトナム中部のホイアンは、１７世紀の御朱印船貿易の頃、多くの日本人が暮らした、日本とゆかりのある港町である。◆大河トゥボン川の河口に位置し、古くから貿易港として栄えた。香木など南方の物産を求めて、朱印船の主たる寄港地の一つであった。京都の町屋を思わせる奥行きの深い伝統家屋が数多く建ち並ぶ。◆幕府の鎖国令で日本人町は寂れたが、町はずれに日本橋とよばれる木造の橋が残り、遙か北東の方角を向いた日本人の墓石とともに、僅かに往時を偲ばせている。◆古都ホイアン

東照宮は家康の死の翌元和３年（１６１７）、二代秀忠によって造営され、三代家光の大改築でほぼ今日の姿になった。以後３６０年余、当時も今も人気の観光スポットとなっている。家光は、費用お構いなし、のべ６５０万人をかけ、１年余りで完成させた。国宝９棟を含む東照宮の白眉は、建造物を埋め尽くす５０００余の彫刻である。「眠り猫」「唐子遊び」は平和、「鳳凰」「麒麟」は権威の象徴、「舜帝朝見の儀」は理想の政治を表し、徳川政権による泰平を広く天下に喧伝した。◆東照宮陽明門【国宝】（「目貫きの龍」「霊獣」「唐子遊び」）、東照宮唐門【国宝】（「舜帝朝見の儀」）、東照宮拝殿【国宝】（天井「百間百種の龍」、板戸「麒麟図」「白沢図」、将軍着座の間「鳳凰」）、神厩「三猿」、東回廊「眠り猫」

地中海東岸の国、レバノンの北部。バールベックの街には巨大な神殿の遺跡が残る。◆紀元前３千年からフェニキア人が住んだが、紀元前６４年にローマ帝国が占領。土着のバールの神とローマの神を合わせた荘厳な聖地を、２００年かけて建設してきた。だが、ローマ帝国ではキリスト教が国教となり、異教の神殿建設は中止を命じられる。戦乱や天災が追い討ちし、無残な廃墟となった。◆豊富な農産物や異文化との接触は、土地の食事を育てた。正統派アラブ料理とは、レバノン料理を指すという。◆バールベック

ブリキのおもちゃのコレクターとして知られ、横浜にも博物館を開設している北原照久氏のコレクションの数々を紹介する。◆１９５０年代に日本で作られた動くおもちゃ「クマの親子の魚釣り」「ミシンと少女」を紹介する。

様々な不安や苦悩を抱えながらも前向きに生きるお年寄りを取材した。◆風呂なし４畳半二間のアパートで暮らす老夫婦。以前生活が苦しかった時に年金の掛け金が払えなかったため、７０歳を過ぎたが、年金を貰えず、靴の行商で生活費を捻出している。戦災孤児から店を持つまでになったが、保証人として借金を背負い込んだことで店を畳むことになった。そして健康不安が現実のものとなり、妻が入院してしまう。医療費がかさみ、貯金は減る一方の中、夫婦はついにある決断をする。また「いままで一度も苦労したことがない」「やりたいことはすべてやった。死に対する恐怖はない」と言い切る８７歳の女性も取材。それぞれが歩んできた人生や生活ぶりを通して、本当の老後の豊かさとは一体何なのか、老後をいかに生きるかを考える。

世の中のさまざまな物事のルーツを、「アート」というキーワードで読み解き、大胆な解釈とイメージ映像とともに紹介する。◆第１回は、ゲーム界のビッグタイトル「ドラゴンクエスト」のルーツを千利休にもとめ、二つの謎を分析する。

和歌山県本宮町には熊野本宮大社があり、熊野那智大社、熊野速玉神社と、三社を結ぶ道を熊野古道と呼ぶ。平安時代には上皇が詣で、その信仰が庶民に広がった。◆数ある王子のうち、湯の峰王子には温泉が出る。９０度を越える熱さに、卵やサツマイモがゆだる。行者用の皆地笠を編む芝さん。大塔川で投網する坂さん。山の豊かな食文化を守る女性たち。仙人（千人）風呂は、川の露天の温泉だ。◆ここは茶どころでもある。茶を飲んではまた歩く。極楽浄土にたどりつけるのはいつだろうか。◆熊野参詣道【史跡】、熊野三山（熊野本宮大社、速玉大社、那智大社）【史跡】、湯の峰王子、皆地笠

新人自衛官の一人に焦点を当てながら、教育隊の過酷な訓練に挑む女性海上自衛官たちの日々を描くドキュメンタリー。◆海上自衛隊横須賀教育隊。ここには全国で唯一女性を訓練する部隊がある。２０００年４月、１０倍を超える倍率を突破した女性８５人が入隊した。就職難だからと自衛隊を選んだ女性や、男社会を見限って会社を退職してきた女性もいる。平均年齢２０歳の彼女たちは、海上自衛隊に何を求めたのだろうか。銃の訓練では、殺人者の手になったようだと悩む。ある女性新人自衛官の卒業までの４ヶ月と、卒業後、練習艦「おおくも」に配置された彼女を追う。