『冥途の飛脚』から、新田越後屋の段（封印切の段）を鑑賞する。「遊女のウソとマコト」というテーマがキーワードである。◆近松門左衛門は世話物（一般民衆の事件を主題にした社会劇）を２４本書いているが、これは近松の円熟期の名作である。近松門左衛門のドラマツルギー（演劇理論）は虚実皮膜論、紙一重にある人生の虚と真実をこの作品でも描いている。文楽の底力を示す世話物の代表作である。◆「冥途の飛脚」封印切の段・人形吉田玉男（重要無形文化財保持者）、二世桐竹勘十郎（重要無形文化財保持者）、三世吉田簑助（重要無形文化財保持者）。◆副音声は英語

名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆美濃の斎藤道三と堂々と渡り合う信長に心酔した日吉は、信長の行列に飛び出して家来にしてもらった。初めての合戦では恐怖のあまり気絶するが、次第に信長から「何でも話せる男」と信頼を得ていく。一方、美濃ではお家騒動が起こり、信長の舅・道三が殺害される。

２１世紀には世界一の経済大国になるといわれ、世界の注目を集める中国。驚異的な経済発展と社会矛盾を同時に抱え、変革の波に洗われる中国全土を取材し、中国社会の深層を描くシリーズ。（１９９４年１０月９日〜１９９５年９月１０日、全１１回）◆改革開放は驚異的な経済成長を達成する一方、中国経済の根幹を支えてきた国有企業に厳しい冬の時代をもたらしている。市場経済、独立採算の浸透により破産、合併、失業の荒波にほんろうされる国有企業の労働者の苦悩を東北瀋陽を舞台に描いた。

九州で唯一の厚生省認可ホスピス医療施設を持つ亀山栄光病院を１年間取材。２４床のベッドで進行する生命のドラマを記録する。◆春夏秋冬、朝昼夜と孤独なたたかいを強いられた患者を見つめ、支え、平穏な死への医療技術の限りを尽くす病棟のスタッフ。退廃と絶望から始まったドラマの多くは、感謝のメッセージで結末を迎える。キリスト教的アプローチの同病院のほかに、新潟県長岡西病院のビハーラ僧の活動、また日本的終末医療としての「臨終行儀」を宇治平等院に取材し、静かで荘厳な生の終わりを描く。

米の市場開放を含むＧＡＴＴ農業合意の受けいれと引き換えに発表された総事業費６兆１００億円の国内農業対策。しかしその６割を占めるのは農村部の公共事業費であり、後継者育成などのソフト面にはまわっていない。巨額の事業費の使い途を検証する。特集・コメ市場開放のなかで。◆秋田県内には自動車専用道路とみまがうばかりの「農道」がのべ５００キロも作られ、農村の若者がそこを通って会社や工場へ通っている。道路や橋、宅地の造成で１０年に約２０万ヘクタールの田がつぶされた。

酔った職人が千鳥足で品川の遊郭へ向かう途中、芝のお寺の境内で侍に道をきかれる。職人は酔った勢いでさんざん悪態をつき、着物に唾を吹きかける。侍は無礼者とばかり見事な太刀さばきですぱっと首をはねる。職人しばらく首を切られたことに気付かない。そのまま歩くうち、首が左に向いたり前に落ちそうになったりする。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆その昔、鹿本郡鹿北町には、水にまつわる災いが相次いだ。人々はそれを河童の仕業と考え、思案の末に西栗瀬の水天宮を建てた。今も五月五日の端午の節句には、子供たちが相撲を奉納し、無病息災を願う。

“古紙回収”を生業としている男。友達から「町内の天ぷら屋の竹さん家に泥棒が入った。竹さんは刺されて死んだが、泥棒はすぐに捕まった」と聞いて驚く。実は、「入った家が天ぷら屋だから“あげられた”」という落とし噺。ひっかかった男は、さっそく誰かに試してみようと飛び出して行く。◆上方落語の「阿弥陀ケ池」を東京風に改作したもの。