鳥取県中山町羽田井に残る「両墓制」の習慣を、実際の葬儀と盂蘭盆の行事を通して見る。◆死者の遺体を土葬にする捨て墓と、先祖代々をお参りする墓を持つ両墓制。近年は火葬もあるが、この地方では町の外れに遺体を埋める捨て墓と集落の中に魂を祭る祀り墓の２つを併せ持つ。お盆には祖先の霊への優しい言葉「コナカリ」を唱えて敬う。３８０人の羽田井の人々が大山山ろくで粛々と伝統を守り続ける、里の姿を追う。◆塞の神祭り、大山寺〔鳥取県〕

全国のユニークなミニ博物館の展示物を、わかりやすくおもしろく紹介しながら、博物館を生んだ「風土」「産業」「人物」などを交えて構成する。◆北海道亀田郡七飯町にある「北海道昆布館」は、企業博物館で、１９９３年に設けられている。ここでは昆布の歴史をはじめ、昆布の生態、魅力、不思議のすべてを映像、パネルなどで楽しむことができる。また、とろろ、おぼろ昆布の製造工程の見学もできる。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆阿蘇の祖神、火の神・健磐龍命そのものの世界である火の山阿蘇は、遠い昔から山そのものが信仰の対象とされ、季節や場所を変えていろいろな火祭りが行なわれてきた。今回は火山信仰と山岳仏教が結びついた霊場、防虫。山伏の寺、西巌殿寺の春祭りを紹介する。

静岡県清水市で開かれた無声映画の上映会で、昔取った杵柄を鮮やかにふるってみせたかつての活動弁士・渡邊錦聲さんの半生を綴る。◆映画１００年の年「無声映画を体験する会」で上映されたのは「瞼の母」。渡邊錦聲さんは９１歳、大正から昭和にかけての無声映画全盛の時代に活動弁士として大活躍、人気芸能人の３位に入ったこともあるほどだった。しかし間もなくトーキーが出現、絶頂期は短かった。渡邊さんは活弁をやめ、京染店を始める。このたび清水映画サークルに頼まれて、６０年ぶりに弁士を務めた。声も出る、台詞がつかえることもない。生演奏をつける楽士は静岡在住の音楽家、増田義孝さんが家族４人で引き受ける。

仕事に、家族との関係に悩む５０代男のせつない物語。テレビ東京開局三十周年記念番組。◆武藤（山崎努）は東央物産で長年、総会屋対策を担当。一匹狼の総会屋・梼原（柄本明）ともつきあいは長い。梼原の弟・旭（杉本哲太）と、武藤の娘で足の不自由な文（清水美砂）は偶然知り合い、ひかれあう。株主総会を翌週にひかえ、新社長・州崎（久米明）は総会屋を徹底排除する方針を打ち出し、武藤も担当をはずされた。妻・由美（竹下景子）は落ち込んだ様子の夫を気遣う。

近代日本における宗教の役割を、宗教学者・山折哲雄と作家・司馬遼太郎両氏の対論により３夜連続で検証する。◆第一夜は「神仏を捨てた日本人」として、近代化百年の軌跡をたどる。明治以降の近代化の代償として、日本人はいかに多くのものを失ったか。「宗教不在」「明治維新」「国家神道の解体と政教分離」などをテーマに対論する。

名もない庶民から天下人に上りつめた豊臣秀吉の波瀾の生涯を描く１２時間ワイド時代劇。◆天正１５年（１５８７）の九州平定で、ついに天下は統一された。秀吉は茶々に夢中になり、鶴松が誕生する。茶々は、秀吉が死んで天下が自分たちのものになれば、母の敵討ちになると考えていた。鶴松は夭折し、秀吉は甥の秀次を関白にするが、お拾（後の秀頼）が誕生。秀次は乱行から切腹を命じられた。死期が迫った秀吉は、天下と幼い秀頼を案じながら世を去る。

長野県下伊那郡上村は厳しい地形のため外界との接触が無く、独自の伝統文化を作ってきた。霜月祭りは、神を祭りながら芸能を楽しむ工夫もされている。◆水王と土王が、沸騰した釜の湯を素手ではじくこの祭りは、神々に湯を使ってもらうことで神の力を回復させ、また神々の使った神聖な湯を浴びてけがれを落とし１年の無事を願うもの。２１時間に及ぶ神と人の宴は、生命力を重んじた昔の人の知恵と願望の祈りでもある。◆上村の霜月祭〔長野県〕