人生の転機を迎えたひとりの男とその家族を中心に、それぞれの生き方を模索する人々を暖かく描く。（９月３０日終了、全３回）◆明は妻・久子と娘・奈美との３人家族。自動車会社で設計の仕事に携わってきた。ある日リストラ計画で販売店への出向を命じられるが、設計ひとすじだった明にノルマは重くのしかかり、戦時中の空襲の際に自分を助けてくれて以来親代わりのように自分を支えてくれていた百合子のアパートを訪ねる。いっぽう久子は明の悩みに気づいていたが、何も話さない夫に不満を抱いており、奈美は妻子ある男性とつきあっていた。

横浜市の一年間を振り返る出来事の記録。１９９５年は“クライシス”“イベント”“ニュー”“トピックス”の４テーマで話題を構成。「阪神淡路大震災・震災報告会、震災パネル展」「総合防災訓練」「みなと祭り」「フランス映画祭９５」「ホットウェーブ・フェステバル」「横浜熱闘倶楽部設立」「横浜市歴史博物館」「ハウスクエア横浜」「青葉区と都筑区の総合庁舎」「市民防災センター」「横浜こども科学館」「戦後５０年平和祈念展」「ネイラーコレクション展」「エイズ・文化フォーラム、市民活動センター」「世界女性会議」「缶、びんの分別収集」「キンシコウ、金沢動物園へ」「日米市長及び商工会議所会頭会議」をとり上げる。

落語に現代を持ち込む新作づくりで知られる圓丈の落語。◆朝早くからお年寄りが目立つ「一ツ家（ひとつや）公園」に、ポンコツバイクで乗りつけたおじいさん、一人淋しくベンチに座っているおばあさんを口説きにかかる。痛い膝をさすってやり、酒びんを手に二人で飲もうと言い寄っていると、通りかかったおじいさんが、このエロじじい、と止めに入る。でもおばあさん、こんなに口説かれたのは初めてと言い、バイクに乗って行く。

弘法大師修行の遺跡８８か所の霊場をめぐる１４５０キロの巡礼である“お遍路さん”。川谷拓三・仁科ふき父娘が日本各地、さらにオランダからもやってきたお遍路さんの姿をレポートする。◆川谷は高知県安芸市の出身。忙しい川谷が独りで巡るのは無理なので、長女の仁科ふきと二人でバトンタッチしながら完成させる。人との出会いの中で、二人はふるさと四国のよさを再発見していく。

江戸中期、秋田藩は領内の鉱山開発のため、江戸きっての奇人で進歩的知識人・平賀源内を招いた。画才を知られていた秋田・角館の藩士、小田野直武は源内と出会って西洋画の技法を学び“秋田蘭画”と呼ばれる絵画を開花させる。八代藩主佐竹義敦は曙山と号し絵をよくした。直武と曙山が中心となって秋田蘭画は高度な作品を生み出す。西洋と東洋が不思議な美しさで混在する前衛・革新的な秋田蘭画は直武と曙山の死後急速に衰え活動は短期に終わるが、この幻の絵画はその後に大きな影響を与えた。◆【重要文化財】「不忍池図」（小田野直武筆）【その他】「湖山風景図」（佐竹曙山筆）、「西洋婦人図」（平賀源内筆）、「西洋男女図」（司馬江漢・佐竹曙山合作）、「桜花図」

日々の厳しい抑制と規律のもとに、犯罪を防ぎ、社会の安寧を守る刑事たち。その一人の姿を、職業人としての自負と悩み・哀歓をからめて描く。◆警視庁捜査一課主任・秋庭実（高倉健）は、部下からの信頼も厚いベテラン刑事。しかし彼は犯人の逆恨みから妻を殺された過去を持つ。ある日の明け方、秋庭に部下であった村沢巡査が交番で刺されたとの連絡が入る。科学、地道な捜査、そして勘を駆使した刑事たちの熱い戦いが始まる。

南予地方の秋祭りには「牛鬼」と呼ばれる怪獣が登場する。人を困らせた妖怪が縁起物として人々に愛される姿を追う。◆宇和島には牛鬼を描いた絵巻が幾つも残っている。人を困らせた妖怪を逆の発想で味方に付けた昔の人の知恵と、民話の面白さを祭りに結び付けたロマンが見事に生きている。神を喜ばせ、豊作を占うものとして始まった闘牛と牛鬼の結び付きも無縁なものでないことが分かる。◆宇和津彦神社の秋祭り〔愛媛県〕、一宮神社の秋祭り

近世末期の琉球を、開国交渉をしたペリーと、アメリカの東アジア戦略や琉球占領政策の面から解明する。◆１８５３年７月８日、浦賀に現れた４隻の黒船は幕府を大混乱におとしいれた。黒船来襲として日本の近代史を揺るがしたこの事件は、実は琉球を拠点として展開していた。圧倒的な軍事力を背景につぎつぎと要求を突きつけるペリーに対し、小国琉球はどう対処したのか。１４５年前に沖縄から始まった日米関係をペリー、それに通訳を務めた板良敷朝忠の目を通してアメリカと琉球の外交交渉をドキュメントとドラマで再現する。