十三代中里太郎右衛門（当時７３歳）を、陶芸作家で俳優の結城美栄子が訪ねる。◆中里さんの家は唐津藩で茶碗窯の御用を務めた。唐津焼の伝統を守りながら、新しい息吹きのものを創る。◆甘鯛を写生する。何枚も描くと見る目が違ってくる、器も使うことによって変わる、その変化を見てほしいという。世界中を歩き、各国の土や様式で挑戦を続けた。◆暗いものが受ける時期もあるが、２１世紀は明るい時代、作る人を素直に反映するもの、命が入っているものが、いい作品だと語る。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、京都　法然院貫主の梶田真章さん。

戦時中、軍国体制の末端を担って召集令状を手渡し、志願兵を募り、戦死公報を家庭に届けた一人の兵事係員の証言と兵事資料を通して、民衆の戦争史に光を当てるドキュメンタリー。◆富山県在住の男性は、元兵事係として徴兵資料の基礎となる在郷軍人名簿などを作り、村の人々の生と死を見つめる職務に就いていた。彼は戦後、軍の命令に反して自分の意志で自宅に８０００枚の兵事資料を保管した。この資料から、赤紙を受け取った人々の苦悩や葛藤は言うまでもなく、彼自身の悲痛な叫びが伝わってくる。

土佐の男達はカツオを追いながらカツオを食べ、帰港してまたカツオを食べる。鰹節をはじめとするカツオの食文化を見る。黒潮にのって北上する「上りガツオ」から、三陸沖を回遊して南下する「下りガツオ」まで、カツオとともに一年が明け暮れる土佐では、郷土料理として有名な皿鉢料理や、タタキのほか漁師が船上で食べる漁師料理まで、カツオを抜きにした食事は考えられない。大漁旗を掲げて帰るカツオ船は土佐の象徴である。◆皿鉢料理〔高知県〕

およそ４００年前、初代長次郎が聚楽第の土で茶碗をつくり、秀吉から「楽」と彫った金印を貰ったことが、楽焼の起こり。十五代樂吉左衛門（当時４７歳）を、能の金剛流若宗家金剛永謹が訪ねる。◆堀り出した土は、８０年から９０年、寝かせて使う。親から子への伝承はいっさい無い。ろくろは使わず手びねりで細工する。形は土との対話のなかから生まれる。窯場では一度に一つの茶碗しか焼かず、炭火を使う。◆部分と全体の関係が課題で、それを等価値にするのが目標だ、という。

聴覚障がいを持つ子供たちがミュージカル上演を目標に掲げ、指導にあたる先生とともに奮闘する日々を描く。◆福島県立聾学校。ここでは全国でも珍しい「演劇」による国語教育が行われている。この演劇教育を発想し、作り上げてきたのが青木淑子先生。その演劇活動には、一つの大きな目標がある。一般の高校に混じって全国高校演劇コンクールに出場することだ。６年前からの挑戦で、この年は、木下順二原作の「陽気な地獄破り」をとりあげた。立ち稽古が始まった９月から、県大会予選、県大会本選までの特訓合宿の日々を追う。そして春３月、旅立ちの卒業式。青木先生と子供たちの顔は限りなく明るくたくましい。

ジャーニー・オブ・ホープとは、「希望を追い求める旅」と名付けられたキャラバン。子どもや親兄弟を殺害された被害者遺族、死刑囚の家族、無実の元死刑囚ら３０人余りが今年９月、「死刑廃止」を訴えて米・バージニア州をめぐる旅に出た。番組では２週間にわたるこの旅を通して、死刑支持率が比較的高いバージニア州で、被害者遺族の立場からあえて死刑に異義を唱える人々の思いや葛藤を描く。

紀元前９世紀に現在のチュニジアの地に建国したカルタゴは、造船技術に優れた海洋国家であったが、ローマに滅ぼされた。海戦で沈んだ軍艦がただ一隻引きあげられているが、不思議なことに２０００年間海中にありながら、合金の船釘はまったく錆びていない。アメリカをはじめ各国が国家規模でその製法の解明にあたっているという。カルタゴとはどんな国だったのかを追いながら、地中海に潜り、現実に沈んでいる都市を見て、海没したアトランティスにもふれる。旅人は中山忍と永田雅一。