日本一小さな競馬場・島根県の益田市営競馬場（２００２年８月１６日廃止）で競走馬とともに生きる若者の青春を描く。◆騎手になる夢がかなわず厩務員として働く青年。彼の世話する馬に乗ってレースに臨むもう一人の青年。２０代前半の２人の青年は、立場は違っても競馬に対する思いは同じ。そんな彼らの目標は、じゃじゃ馬「ミスポンタ号」で勝利を挙げることである。しかし調教師は、新人騎手が騎乗することを許可しない。厩務員の青年の努力でミスポンタ号を何とかおとなしい馬にしようと調教する。いわゆる３Ｋと呼ばれる環境でひたむきに仕事に取り組む２人の姿を約１年間に渡って追った。

雪舟の作品は、秋冬山水図など、殆んどが禅の境地を描いたものとされるが、天橋立図だけは、現実の風景をリアルに写し取ったものである。しかし、画面を子細に点検すると、中央の部分は大胆な俯瞰の構図で、多くの寺や神社、民家などを丹念に描きこんだ平和な理想郷の様子であり、下部は一転、水平の目線で、反対側の山並みや信仰の対象である小島二つを、実景を逆転させて巧みに取り込んでいる。５００年前、応仁の戦乱を離れ、理想の禅的世界を描こうとしたものであることが分かる。◆天橋立図　雪舟筆【国宝】（京都国立博物館蔵）

バルセロナには、アントニオ・ガウディと並びたつ、もう一人の建築の巨人がいた。◆リュイス・ドミニク・イ・モンタネール。彼が設計したカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院の２つの作品は、ガウディのサグラダ・ファミリア教会と共に、スペインを代表する建築物である。◆広い敷地に街のように、多くの建物を配置したサン・パウ病院。そして最高傑作、カタルーニャ音楽堂は、壁一面をステンドグラスで埋め尽くし、絶妙の光のシンフォニーで、美の理想郷を実現している。◆サグラダ・ファミリア教会、サン・パウ病院、カタルーニャ音楽堂、ペレ・マタ精神病院

加賀の獅子頭を探訪する。◆獅子頭は大きな目で八方睨み、一角で、刃を外向けに刀をくわえている。鶴来町のパーク獅子吼、獅子ワールド館には、さまざまな獅子頭がある。巨大な巍魁獅子を造った日本を代表する獅子頭作家、知田清雲さんに製造工程を聞く。また、石川県の民芸作品として不動の地位を築いた故・林香堂さんの苦労話を妻よし子さんに聞く。◆鶴来町の金剣宮、ほうらい祭りでは、獅子殺しの演舞が奉納される。江戸時代はこうした形で密かに武術訓練をしたのだ。

日本語ワードプロセッサ（ワープロ）は、コンピュータに日本語を扱わせて「かな漢字変換」を行うという、非常に高度でユニークな技術をもとにして生まれた。日本が世界に誇り得るこの技術開発の経緯を詳しく紹介する。東芝が１９７１年に開発に着手した新しい日本語タイプライタ。しかし、コンピュータで日本語を扱うには、同音異義語、漢字プリンタ、ディスプレイなど、乗り越えるべき壁がいくつもあった。講師は東芝テック株式会社社長の森健一氏、聞き手は放送大学の森谷正樹教授。

街道は幸手市の行幸橋付近で中川を渡り、外国府間から日光街道に合流して栗橋に入る。利根川に臨む栗橋には、箱根・白河と並んで江戸への人と物資の出入りを監視する関所があった。近くにある焙烙地蔵堂は、関所破りで処刑された罪人を供養する。栗橋駅の東には、静御前の墓がある。奥州平泉に逃れた義経を追って来たものの、義経の死を知ってついにこの地で帰らぬ人となったと伝えられる。一方、外国府間から五霞町に至る筑波道は、今も古道の趣を残している。

一人の女性平和活動家を通して、「核時代」の未来を探るドキュメンタリー。◆３度にわたる戦争を繰り返してきたインドとパキスタン。カシミール地方の帰属をめぐり、激しい対立を続ける両国は、核実験を強行し、世界で核戦争が最も起こる可能性が高い地域と指摘されている。核兵器の開発にこだわり、国の主権を主張するインドとパキスタン。広島で平和運動に取り組む森瀧春子さんが両国を訪問し、核兵器がもたらす悲惨さを訴えた。

犬山城で有名な犬山市は、愛知県の北の端にある。城下の有楽園には、織田有楽斎が京都に建てた茶室、如庵がある。◆いるか池の周りにある博物館明冶村。移築された明治の建物が６３棟、うち１０棟が国の重要文化財だという。うちわの郵便が送れる宇治山田郵便局、新橋横浜間を走った最古の蒸気機関車、丘の上の聖ヨハネ教会堂、それらは今も活動しており、聖ザビエル天主堂では年間１５０組も挙式する。生きている博物館は魅力に溢れる。◆犬山城【国宝】、如庵【国宝】、明治村（東松家住宅【重文】、呉服座【重文】、宇治山田郵便局【重文】、聖ヨハネ教会堂【重文】、聖ザビエル天主堂）