森野泰明さん（当時６２歳）は京都市山科区に陶房を持つ。「たたら技法」は土をたたきつけ、掌でたたきながら土の板をつくる技法である。その板を使って衝立のようなオブジェを制作するのだ。◆訪ねてきた詩人の高橋睦郎さんに、膨大なテスト焼きの色ピースを見せる。釉薬は窯の中で火と出会ってはじめて色になる。土もそうで、これら三つの組み合わせがドラマをつくる。◆窯の蓋を開けるときが楽しみで、失敗しても、良かった時の思い出で、もう一度やってみようと思えるという。

神奈川芸術文化財団の発足以来、恒例事業となった県民ホール大合唱団も３回目をかぞえる。同合唱団の活動とともに、津久井の合唱の碑を訪れ、神奈川の音楽文化の一面を紹介する。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、地球物理学者、東京大学理学部教授の松井孝典さん。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆広島市の東隣にある広島県安芸島熊野町は、全国の８割を生産する日本一の筆の産地。「筆の都」を自負する中溝道りの人々の筆作りへの愛情と誇りを紹介する。

明治維新前後に活躍した薩摩（鹿児島）の群像を描く◆初代文部大臣・森有礼は１９歳の時、薩摩藩の英国留学生に選ばれて西洋の進んだ法律や教育制度を学んだ。帰国後、明治新政府の「公議所議長心得」に任命され、日本の近代化のために次々と政治の改革に取り組んでいった。武士階級は刀を持つ必要はないと訴えた時のエピソードを紹介する。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆「母なる湖」が育んできた食の文化、鮒ずし。鮒ずしには、ニゴロブナが最適。珍味を求めて観光客が絶えない。琵琶湖は衣の文化も育ててきた。近江上布という麻織物である。鎌倉時代に京都の織り匠が移住し技術を伝えたのが近江上布の始まりだという。冬の琵琶湖を背景に、近江の衣・食文化を探りながら、それぞれの技を紹介していく。

鹿児島県トカラ列島口之島では古代のカミ祭りをしのばせる貴重な行事が行われている。里芋や水芋（タロイモ）の収穫儀礼である霜月祭りをみる。霜月祭りは「新嘗祭」にも通じる儀式で旧暦霜月２１日（１２月３１日）、西の宮から始まる。午後は島の峠を挟んだ東の宮でも儀式が行われ、終わると海の神と山の神が出会って海と山の幸に恵まれることを祈る。村人が一体となり、収穫を神々とともに祝う祭りである。◆霜月祭り

ニュージーランドの南部には、森に住み海で魚を採って暮らす２種類のペンギンがいる。その子育ての様子を見ながら、ペンギンの進化を探る。大陸移動でニュージーランドが孤立したとき、天敵の哺乳類がいなかったため鳥たちは地上で餌をあさり、空を飛べない鳥へと“進化”した。その中で、海に入って飛び（泳ぎ）ながら魚を捕食したのがペンギンである。やがて海流に乗って南半球各地に広がり、それぞれの地に適応した。今も森に住む２種は、進化のプロトタイプ（原型）なのである。旅人は近内仁子。