会社人間として生きてきた５０男に流星のように訪れた危うい恋が、彼の生き方を変えていく。人生の黄昏にある男女の新しい幸福論を丹念に、ほろ苦く描く。（２月２１日終了、全２回）◆大手銀行支店長の盛本芳春は、娘・美紀の結婚を間近に控えて出向を打診された。娘の結婚相手は大蔵省のエリートである西澤。世間体を気にする妻や義母には言い出せない。虚しさを感じた芳春はスイスのマッターホルンに旅立ち、誠子と出会う。

新潟県村上市を流れる三面川には、晩秋から初冬にかけて鮭が帰ってくる。ここには鮭にまつわる特有の習俗が伝承されている。村上の人々は平安時代から鮭をイヨボヤ（魚の中の魚）と呼び大切な生活の礎としてきた。伝統的な漁法が多いが、いずれも鮭を獲りながらも次の年へ豊漁をつなごうと努力している。増殖事業の利益で子弟の教育のために学校を設立した志は、自然の恵みと先人の知恵に感謝してのことである。◆伝統漁法（三面川）

沖縄のサンゴ礁とそこに生きる生命を春から夏にかけて記録した科学ドキュメンタリー。◆沖縄のサンゴ礁は、規模や種の豊富さで世界有数のもの。これほど多様な生命が維持されている例は先進国の沿岸としては類を見ないほどだ。そこには直径３０メートルに達する巨大サンゴや、幻の海獣ジュゴンが生きている。顕微鏡撮影による幻想的なサンゴの産卵風景も紹介する。孵化直後はわずか０．８ミリのサンゴ虫は自力で泳いで根を張る場所を探し、サンゴの形に成長していく。

金沢市立富樫小学校の金森俊朗先生は、１０年以上前から「命の授業」に力を入れてきた。さまざまな悩みを抱える子どもと真正面から向き合う金森先生の教育実践と子供たちの成長を描き“真の教育とは何か”を問う。◆「命の授業」では、人の生命の誕生“生”のメカニズムを教えるばかりでなく、生きているかぎりは避けられない“生”についても教えていく。また山や川に飛び出し、子どもたちが本来持っているエネルギーを引き出していく。子どもたちは自然の中でトンボやカエルなど様々な生命の“命”を実感するようになる。金森学級の教壇に立つのは教師だけではない。障害者を招き、その逞しく生きる姿を通して“命とは何か、生きるとは何か”を学ぶ。こうした授業を通じて、金森学級の子どもたちは閉ざされていた心を開放させ始め、自分の悩みをクラス全員の前で吐露できるようになり、それがまた子どもたちの心の絆を深めていく。金森学級の２年間を通じ、心に光が差し込んだ子どもたちが互いの悩みを共感し、共有しながら成長していく。　

東京・新宿の歌舞伎町に棲みついている野良猫たちを一年間に渡って追跡し、子育て、恋、権力争いといったネコ同士の関係や、彼らと関わる人間たちの姿を描く。◆新宿ゴールデン街生まれのオス猫・ジローは、３歳の春に歌舞伎町へ向かった。人間からエサをもらって楽に暮らしていたジローだが、歌舞伎町ではまったくの新顔。厳しく順位づけられた野良ネコ社会のルールに、初めての挫折を経験した。しかし群れの順位の階段を這い上がり、一度は敗れたボスに再戦を挑んで勝利する。

全国各地の商店街をはじめ、温泉街、学生街、神社参道など身近な町並みや通りの素顔を紹介する。◆関東大震災や戦災をまぬがれ、長屋や路地に戦前の下町のたたずまいが残る墨田区京島。この町の生活を支えているのが京島ただ一つの商店街、橘銀座通りだ。交通の便が良くないにも関わらず商店街は元気がいい。通りで目立つのはプリントにフリルにアップリケ、色とりどりのエプロン姿で通りを歩く女性たち。この通りではエプロンはおしゃれ着だという。そんな彼女たちの姿を通して、下町のパワフルであたたかい人情を描く。

６００年前、メコン川と支流にはさまれた地に、ラオス最古の王都ルアン・プラバンができた。◆４月１４日は大晦日だ。仏像を清め、人々は花を摘み、メコンの砂場へ行って塔をたてる。国造りの神プーニュとニャーニュの扮装も用意する。１５日には娘たちがブッダの弟子カピラポンの人形の首を抱いてパレード。街の人は全てが集まる。◆１６日は元旦。一家は互いを糸でつなぐ。プーニュとニャーニュは王宮の黄金像プラバンに聖水をかけ、踊る。王政の消えた現在も、水かけ祭りは続く。◆ルアン・プラバンの町

北陸には室町時代の浄土真宗の僧・蓮如の教えが今も人々の暮らしの中に深く根づいている。信徒たちの信仰と生活の姿を見る。蓮如は天台宗延暦寺の僧であったが、拠点としていた本願寺を壊されて北陸で親鸞上人の教えを広げた。布教の足跡は石川県と福井県の県境周辺の各地に及び、今なお多くの人々の信仰を集め、蓮如を偲ぶ行事が絶えない。