嵐山の南、お酒の神様として親しまれている松尾大社の祭神は、山の神である大山咋神（男神）と海の神である市杵島姫神（女神）。宝物館に安置されている神像は渡来人的な容貌で、平安初期に渡来人をモデルに制作されたと考えられる。秦氏の葛野川の灌漑工事によってできた農地から良い米がとれ、秦氏の技術によって酒が造られるようになったことから、松尾大社はお酒の神様となったものだろう。

４９歳で隠居したあと、いわば“定年後”の１７年を費やして日本全土を徒歩で測量し「伊能図」と呼ばれる日本地図の原型を作った伊能忠敬。その旅に生きる人生を、４番目の妻・お栄との夫婦の情愛もきめ細かく盛り込んで描く。原作：井上ひさし。◆寛永１２年、江戸。伊能忠敬（橋爪功）は「２歩で一間」の歩き方で、自分の足だけを頼りにして日本の子午線１度の距離の実測に励んでいた。はじき出した数字を、暦学の師匠・高橋至時（風間杜夫）に報告するが、江戸市中の計測では距離が短く誤差が多いと指摘される。そして、幕府が蝦夷地の地図を欲しがっているので、絵図作成を口実に測量の旅に出ることを勧められた。

アルピニスト・野口健さんと、白神山地を熟知するマタギの工藤光治さんが白神山地を訪ね、その魅力と課題を伝えるドキュメンタリー。◆青森・秋田両県にまたがる白神山地は、１９９３年に世界自然遺産に登録された。しかし入山者が年々増え、心無い一部の人間によるゴミの置き去りなどが、生態系に悪影響を及ぼしつつある。野口さんと工藤さんは経歴も年齢も違うが、自然保護や環境との共生の重要さを唱える点では共通している。その二人が白神山地に入り、工藤さんが野口さんに美しい山の魅力やマタギに伝わる習慣を教え、森との共存の大切さを訴える。

ＯＴＶ「郷土劇場」は沖縄芝居の劇場中継、民謡、ウチナーバラエティ、琉球舞踊、ドラマなど、沖縄の島言葉で創られた芸能を紹介する郷土芸能番組。１９６０年から続く長寿番組である。この回は沖縄県玉城村の奥武島（おうじま）にある民宿「あけぼの荘」を舞台に、仲村渠（なかんだかり）一家の人々が事件を解決していくホームドラマをおくる。原作：上原直彦。◆学校の宿題で、長男・一郎は島の民話を発表しなければならない。マカテーおばあ（親泊良子）は孫のために島の拝所で民話を語ることにする。おばあの昔の恋人が紙芝居の絵を描き、民宿の客がギターで伴奏し、民話の発表は島中の人々を包み込んで大いに盛り上がる。

鎌倉の魅力を地元局の視点で紹介する。◆行基開山と伝えられる鎌倉最古の寺・杉本寺と、炭焼きコーヒーの店を紹介する。

標高１８００メートルの高地にある中国・貴州省のミャオ族の村。出かせぎの両親の留守を守って幼い弟たちの面倒を見る１３歳の少女を中心に、人々の秋の収穫から正月までの暮らしを追い、家族と地域の絆の尊さを改めて見つめる。◆ミャオ族は長江中流域で稲作文化を築いた民族で、餅の食文化を伝え、正月行事を執り行い、昔話を伝承するなど、日本に良く似た民俗・風俗を伝えている。人々の容貌も日本人とよく似通っており、天を目指す棚田の風景などは一昔前の日本の村をしのばせる。

米軍将校・アーン少佐は４０年前、神奈川県座間市から大分県別府市までの１３２０キロを２週間で歩きぬくという賭けに勝ち、そのお金を児童養護施設「光の園白菊寮」に寄付した。２０００年９月、アーン少佐の偉業を記念し、同じ道のりを７０人のランナーで走破しようというチャリティ・リレー・マラソンが行われた。このマラソンに参加する人々の思いや、沿道の人々との交流を描く。

群馬県の自然を、雲や風、光の視点からとらえ、美しい映像で紹介する。