北海道羊蹄山麓のある農村の家族をシュールなタッチで描くドラマ。作：安部公房。◆純粋なる故に、虫１匹殺せない１人の少女が、都会から帰ってくる。農家にとって、そんな少女は正気を疑う存在である。ある日、村にはイナゴの大群が発生、畑を襲う。弱者を切りすててゆく強者の論理を、正気と狂気の間に探る。

米国コリジェィト・レベル協会の協力を得て、１９６２年夏から９か月半にわたって、南アジア及び南太平洋地域にヨット取材した記録。使用したヨットは全長４０メートル、８７トン、最大速力１３ノットのスクーナーであるが、なにしろ１９２７年製の年代物。文字通りスリルとユーモアにとんだ水上漫歩である。◆この回は新たな秘境を目指し、ニューギニア島のセピック川へ。河口からアンゴラムの街まで遡ってゆく。

高知県梼原（ゆすはら）町に伝わる津野山神楽は、９１３年（延喜１３）に藤原経高が京から津野山郷（現、高知県梼原町）に入国したときに、神話を劇化したものを神楽として伝えたことが始まりとされる。軽快な音楽とダイナミックな動きが見事に融合した舞いは非常に楽しく、神楽が奉納される日には高知県外からも多くの見物客が訪れる。全て舞い終わるまでに約８時間を要する津野山神楽の各節のポイントを解説する。

列車事故による突然の死によって家族を奪われた人々の悲しみと、事故のなまなましい記録を通し、事故防止を訴える。◆１９６３年（昭和３８）１１月９日、国鉄横須賀線でいわゆる“鶴見事故”が発生した。土曜の夜の下り電車は通勤帰りの人でいっぱい、２３歳のＨ青年もその一人だった。郊外のささやかな家に両親とともに住み、平凡だが幸せな生活を築いていた。しかも翌日は恋人との結納の日だった。事故は青年の生命と、彼をとりまく人々の幸せを一瞬にして奪ってしまった。

大老・井伊直弼（尾上松緑）の生涯を、数人の女性をからませて描いた歴史ドラマ。フィルムロケ、ＶＴＲロケなどを盛り込み、豪華なキャストによる大型時代劇として話題を呼んだ。ＮＨＫ大河ドラマ第１作。原作：舟橋聖一。（１９６３年４月７日〜１２月２９日放送）◆第一回「青柳の糸」。

愛知県一宮市は織物の町として全国に名高い。「子機（こばた）」とはいわゆる下請けの役割を果す零細な工場のことである。物語は地方から集団就職でやって来た女子工員たちの日々を描く。そこには「織姫」という優雅な呼び名とはうらはらの悪条件にもめげず懸命に青春を生きる姿があった。

人間国宝に指定された埴科郡坂城町の宮入昭平氏による日本刀製作の全過程を紹介する。◆二人の弟子とともに、炭切り、刀の原料の鉄を打つ姿、宮入氏へのインタビュー等をおくる。

１９５９年（昭和３４）日本最大の臨海石油科学コンビナートが四日市に華々しく出現し、工業国日本の象徴のようにいわれた。だが周辺住民たちは大気汚染というつかみどころのない公害に襲われ苦悩する。多額の出費を迫られながら逃避という消極的な手段しかとれなかった住民、そして公害対策の遅れを描く。