大コンツェルンの後継者争いに翻弄される若き未亡人を描く。◆政財界に大きな影響力を持つ有富コンツェルン。総師の晋吉（若山富三郎）は有富家の婿養子で、妻の扶佐子に頭が上がらない。長女・佳子は大蔵省の高官・米崎と、次女の暢子は代議士の横谷と結婚。有富家は女系で閨閥（けいばつ）を築いている。そんな中で、長男・要一の２度目の妻になった槙子（大原麗子）は元看護婦という地味な経歴で、いわば異色の存在。要一が事故で急死しコンツェルンの後継者争いが起きて、未亡人になった槙子はマスコミ報道の渦に巻き込まれる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆小倉遊亀：日本画家。１８９５年滋賀生まれ。１９２０年から安田靫彦に師事、１９２６年院展初入選。１９３２年女性初の日本美術院同人。１９７８年に文化功労者、１９８０年には文化勲章を受賞。主な作品に「母子」（１９６１）、「裸婦」（１９５４）など。

汚染の進む東京湾を舞台に、海一筋に生きる兄と、その頑固さに反発しながらも次第に心が通い合う異母弟を描く。（１９９０年１０月１８日～１１月１５日、全５回）◆第４回。島洋平（緒形直人）はパイロットになるという夢に破れ、腹違いの兄・甚平（大地康雄）の釣り船屋を手伝っている。一度の浮気を責められて家出していた義姉の久美（かたせ梨乃）が帰って来たが、甚平は口をきこうとしない。久美を許したいがきっかけのつかめない甚平の気持を察する洋平。洋平の助言で久美はかたくなな甚平の心を開くため、最後の賭けをする。

印象派の絵画を中心とするフランスの新しい美術館、オルセー美術館。フランス美術史の高階秀爾教授を案内役としてオルセー美術館の代表作品を鑑賞するとともに、作品の背後にある時代背景を伝える。（１９９０年３月２７日〜５月１６日、全６回）◆１８７４年の印象派展で、印象派はその芸術を世に問うた。当初の酷評にもめげず、彼らはその研究を続けた。セーヌ川の叙情詩人といわれたシスレー、大地の広がりをテーマにしたピサロ。そしてモネとルノワール。この４人の印象派の画家がそれぞれどのような道を歩んだのか。その探求と葛藤、光と色彩への讃歌を紹介する。

幕末から明治にかけて活躍した西郷隆盛と大久保利通との友情と対立を軸に、日本の近代化に奔走した人々の姿を多角的に描く。ＮＨＫ大河ドラマ第２８作の総集編。「幕末編」「明治編」の２部構成。（１９９０年１２月１６日～１２月２６日放送、全４回）。原作：司馬遼太郎。◆第一部・後編「維新成る」。生麦事件は薩英戦争へ発展し、それをきっかけに西郷（西田敏行）は遠島を解かれ、京へのぼる。薩摩の採るべき道を模索する西郷を坂本竜馬が訪れて倒幕の時だと説き、長州の木戸孝允を紹介する。一方、名を一蔵と改めた大久保（鹿賀丈史）は岩倉具視に接近して朝廷工作に乗り出す。将軍は大政奉還を決意するが、１８６８年（慶応４）ついに開戦した。

時代物が武士の世界を描くのに対して、町人の話を芝居にしたのが世話物である。『新版歌祭文』に世話物の世界を見る。◆歌祭文に歌われたお染・久松の話。世話物は江戸庶民にとって舞台で見る週刊誌であった。でっち奉公の久松が店の娘と恋中になり心中を覚悟するが、久松の許婚お光が尼になることで二人は元の店に帰ることが出来たという筋である。

明治末から昭和初期まで出版された「立川文庫」から生まれた大衆の英雄、猿飛佐助。それを書きあげたのは家庭をすてて講釈師とかけおちをした女性とその家族であった。その軌跡を追い、痛快なヒーローの由来をたどる。◆愛媛県今治市の回船問屋、日吉屋のひとり娘、山田敬。１７歳で婿をとり、５人の子にも恵まれて何不自由のない生活を送っていた。４１歳のとき、夫が家に招いた大阪の講釈師・玉田玉麟と恋におち、故郷を捨てて大阪へ移り住む。生活の苦しさから、講談を本にして出版することを思いたち、今治から一家を大阪へ呼んで総がかりで書きあげる。立川文明堂から出版された本は大当りした。大正１０年、大阪で亡くなる。６８歳。今治へはその後一度も帰らなかったという。

千葉県八千代市に住む鷹匠の高橋進さんは看護婦の奥さんの協力で３年前、鷹の人工授精に成功した。ふ化はしたが野生に戻すための訓練が１日も欠かさず続く。鷹小屋に監視カメラを設置、人工受精、抱卵、誕生、訓練の様子をつぶさに記録する。