かつてネパールで密教修行の経験を持つ宗教学者・中沢新一さんが、真言密教の寺・東寺（教王護国寺）を訪ねる。◆東寺には、５０点の国宝がある。寺の中心・講堂の２１体の仏像は平安初期、空海が仏師に造らせたもの。このほか寺には空海が密教を広めるため中国から持ち帰った大量の図像や曼陀羅が納められている。ここを都で布教するための拠点とした空海は、やがて本来の山岳仏教に帰り高野山へ去る。しかし不動明王を始めとする東寺の仏たちは、密教の教義を超えて日本人の心をとらえ、今も人々の厚い信仰を得ている。

かつて「江戸前」で売った東京自慢も今は様変わり。国際都市・東京となった現在、２１世紀まで自慢できるのは超高層ビルからの眺望。都内に建つ各施設の数々を紹介する。◆「ホテル・センチュリーハイアット」「京王プラザホテル」「東京ヒルトンホテル」の最高級の客室や、ビルの高層部に店舗やオフィスを構える「新宿ＮＳビル」の「八角」、「サンシャイン６０」の「（株）西友」、「板橋サンシティ」の「Ｇ棟」をそれぞれ紹介する。

東京・上野動物園のパンダ、多摩動物園のチンパンジーそして群馬サファリ・パークのアフリカ象など、全国の動物園で赤ちゃんブームが起きている。番組では群馬サファリ・パークでの日本初の仔象誕生を中心に、多摩動物園のチンパンジー一家に起きた世代交代ドラマ、上野動物園の人工授精チンパンジーのルビと飼育係の愛情物語など、動物たちのさまざまな表情と生態を６カ月にわたる長期取材で紹介する。

　フィリピンでは大統領選挙が２月７日に行われる。現職のマルコス大統領と暗殺されたアキノ元上院議員の未亡人コラソン夫人との一騎打ちという形で激しい選挙が戦われる中、フィリピン問題の根底といわれる貧困と飢餓のネグロス島を取材した。◆中部ビサヤ地方に浮かぶこの島は「砂糖の島」と呼ばれているが、ここでは大土地所有制が今だに続いておりマルコス王朝をささえる砂糖財閥が島の労働者の血と涙と汗を吸い続けてきた。そして今、深刻な貧困と飢餓に苦しむ労働者たちが武器を手に戦いはじめ島全体が政治化してきている。

「育児は胎内から」をモットーに、新しい生命の誕生を見続けて半世紀、２万人の赤ん坊を世に送り出した三宅医師の精力的な医療活動を通して、生命の大切さを考える番組。◆大いなる祝福を受けて始まる人間の誕生は、同時に人生最大の危機の瞬間でもある。乳児の障害のほとんどすべてが、出産の前後、いわゆる周産期に集中して現れる。しかしこの周産期は、産婦人科と小児科のはざまにあって、医学のエアポケットになっていた。神戸市の小児科医、三宅廉（８３歳）は、産婦人科医と小児科医が協力し合う周産期の大切さを説き、産婦人科医と小児科医が協力し合う周産期医療を日本で最初に実践した人である。

６５歳以上のお年寄りがついに全人口の１０パーセントを突破し、激増する認知症や寝たきりの老人に対する介護がより必要になってきている。これらの老人を介護する体制の問題点を明らかにしていく番組。（全４回）◆第４回は、介護する側への周囲の心情的・実際的支援についてリポートする。

放送の歴史を支えてきた歌謡曲にスポットをあて、歌謡曲が戦後の放送の中で、どのような役割を果たしてきたかを、数々の証言を交えて構成する大型ステージショー。司会は千田正穂アナウンサー。◆荒廃の戦後、明るい希望を与えたヒット曲の紹介（「りんごの唄」並木路子、「みかんの花咲く丘」川田正子ほか）、大衆に歌の場を提供してきた「のど自慢」のエピソードの再現、名プロデューサーの演出による「今週の明星」、また、元ＮＨＫアナウンサーの高橋圭三が当時の世相を語るとともに、美空ひばりが「ひばりのマドロスさん」などヒット曲の数々を披露する。

１９８８年（昭和６３）に完成する瀬戸大橋。この一大プロジェクトに全てを賭けた本四連絡橋公団の事務所長をモデルに、男の情熱と友情、そして病弱な妻との夫婦愛を描く。◆本四公団の事務所長・明石努（渡瀬恒彦）は基礎工事のための調査を始めた。しかし漁業補償、用地買収など、難問が続出する。特に波切島の漁業組合長・高木（若山富三郎）との交渉は難航する。着工が決まり、苦闘の日が続く中、明石は妻の妙子（酒井和歌子）が悪性のガンにおかされていることを知る。