終戦直後の昭和２１年、日本で初めての「放送記者」が誕生した。事実と真実のはざまで悩み、試行錯誤を繰り返しながらも人間的な記者を目指した放送記者一期生たちの姿を描く。（１９９５年３月１８日〜４月１日放送、全３回）◆第２回「歴史家たれ」。昭和２２年。放送記者の道を歩み出した杉浦（高嶋政伸）たちも２年目を迎え、それぞれ自分たちの使命をまっとうしようと日夜奔走する。それぞれが取材現場にかかわればかかわるほど、真実の報道の意味を突きつけられていた。脇田（萩原健一）はそんな彼らの成長を喜ぶが、協会首脳部に理解を得られない己の無力さを痛感していた。

いろは歌を“酔ひもせず”までフレーズに分け、それぞれの中からキーワードを探して、日本人の持つ繊細な感性や美意識、精神性豊かな心の風景、時代を越えて新しさを求めつづけてきた日本文化をうたいあげる。“色即是空”“無常感”“余情感”“花鳥風月”“職人たちの感性”など日本固有の伝統美の系譜を、番組の監修者である衛藤駿・松岡正剛両氏の造詣ある会話で展望する。◆【国宝】三仏寺投入堂、金剛力士像（東大寺）、俊上房重源上人坐像（東大寺）、紅白梅図（ＭＯＡ美術館）、風神雷神図（建仁寺）、日光東照宮陽明門、薬師寺東塔

栃木県栗山村川俣地区に今なお残る若衆組の仕組みや、親分・子分の風習をつづる。◆交通不便な地域での助け合い、団結の精神が暮らしの中で形作られた例である。平家落人伝説を残す歴史ある山村の結束。村の伝統行事において、それぞれの年代の役割を受け継ぎ当番世話役の使命を誇りを持って果たす。現代社会にまれに見る習俗である。◆【重要無形民俗文化財】川俣の元服式〔栃木県〕◆【その他】獅子舞「めじじ隠し」、さんやさまの行事、おこもりの行事、ぶっきりのうたげ、謡い初め〔栃木県〕

戦後まもなくから毎年富山で開かれている「全国チンドンコンクール」に地元・富山のチームが出場することになった。このグループの追跡取材を通して、地方イベントの姿と意義、参加者たちの故郷への思いを浮きぼりにする。◆この催しを富山市がはじめたのは戦後の再建への市民の意欲を盛り上げるためだった。富山の代表的な祭りに成長したイベントに戦後５０年の年に参加するのは「作芸人磨心（サウンドマシン）」、富山を拠点に全国で活躍する大道芸のグループである。

１９９５年５月に座長劇を復活させた吉本新喜劇。その３人のリーダー（座長）辻本茂雄、内場勝則、石田靖をフィーチャーする。◆リーダー３人と池乃めだかなどによる口上、各リーダーと西川きよしによる裏方さん訪問、新喜劇のメンバーが記者となって３人にインタビューする「爆笑記者会見」。先輩・後輩がニューリーダー像について語り、そして新たな「新喜劇」をおくる。

いにしえの名仏師・定朝や運慶は巨大仏像の制作に集団の共同作業をもって当たった。松久親子もそれにならい、研究所を設立した。“松久宗琳仏所”は現代における仏像制作の工房である。仏師・絵師・截金師など若い制作者が集い、分業で巨大仏を造りあげる。宗琳の夢を実現させた７０メートルの小豆島大観音や、６ヵ月にわたる聖観音像の制作工程を追い、伝統の技と心を伝承して造りあげた平成の仏像は新しい光を放ち、亡き親子仏師の祈りを伝える。◆松久宗琳仏所、如意輪観音像（宗琳作）、孔雀明王像（宗琳作）、小豆島大観音像、聖観音像（袖山宗寛作）

仕事に、家族との関係に悩む５０代男のせつない物語。テレビ東京開局三十周年記念番組。◆武藤（山崎努）は東央物産で長年、総会屋対策を担当。一匹狼の総会屋・梼原（柄本明）ともつきあいは長い。梼原の弟・旭（杉本哲太）と、武藤の娘で足の不自由な文（清水美砂）は偶然知り合い、ひかれあう。株主総会を翌週にひかえ、新社長・州崎（久米明）は総会屋を徹底排除する方針を打ち出し、武藤も担当をはずされた。妻・由美（竹下景子）は落ち込んだ様子の夫を気遣う。

身体の不自由という不幸を信仰と詩作によって乗り越えた詩人・水野源三の生涯を、ゆかりの人々の証言でたどる。また彼の生き方と作品に大きな影響を受けた人たちを通して、心の扉を叩き続ける詩の魅力に迫る。◆水野は１９３７年（昭和１２）、千曲川のほとり長野県坂城町に生まれた。腕白で元気な少年だったが、終戦直後９歳の夏に赤痢にかかり、高熱による脳性マヒとなって首から下の体の自由と会話能力を失った。深い絶望の淵から彼を救ったのは、キリスト教への信仰と詩歌であった。母の助けを借りて瞬きの合図で詩作を続ける彼の生活空間は自宅の六畳間に限られていたが、その世界を広げ、支えたのは家族の愛情だった。