自らも農業の道を歩み、一貫して働く農民の姿を描き続ける常田健（取材当時８７歳、２０００年４月２６日に８９歳で死去）。多くの画家が名声を望む中、常田氏は一度も中央展に出品することもなく、生地である青森県浪岡町でひたすら自分の絵を描いてきた。その作品には、決して報われることのない農民の悲しさ、怒り、そして実りへの喜びがあふれる。そんな常田氏の画業を埋もれさせまいと、地元の有志が集まり「常田健記念美術館」建設準備会を結成、募金活動を始めた。数々の作品とともに、常田氏の生き方を描く。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々との生活を描く。◆今回は、「雲の上の街」と題して、フランス・ピレネー山脈への旅（ペルピニャン・モン・ルイ）を紹介する。

嵐や火事や干ばつ、昔の人々は予測できない災難を予め祈る事によって、避けようとしてきた。風、火、水の神に対する日本各地の祈りの形を記録する。◆九州山地の椎葉村や球磨地方では火や病虫害を司る風神を怖れ敬い、団子や草餅を山の祠や家の軒先に供える風習を今も守る。庄内平野、黒川の風祭りでは神社の御幣を集落の入口や田の水の取入口に立てて豊作と安全を祈る。他に、福島県三島町、熊本県椎葉などの火伏せの行事、鳥取県西伯町、球磨地方の水神祭、讃岐平野の雨乞い踊など。◆取材地は宮崎県椎葉村、熊本県球磨地方、山形県櫛引町、福島県三島町、鳥取県西伯町、香川県仲南町。

福岡県小郡市に７２歳の母と姉妹とおばの４人だけのスクラップ屋がある。亡き父は韓国に本妻と子どもを残し、母と一緒になった。家族で懸命に稼いて得た金は母国への寄付や本妻や他の女性のために消え、多額の借金が残った。破天荒な父の借金を返しながら、たくましく生きる家族。そして韓国の家族と葛藤の末の対面と墓参り。不況のなかで鉄くずを相手に奮闘する姉妹の仕事、そして父への思いを描く。

マリの中央、ニジェール河の内陸デルタにジェンネはある。街を代表する泥づくりのモスクは高さ２０メートル、世界最大である。◆摂氏４０度を超える日々。月曜の朝は、市の広場へ人が集まる。主役は女性。情報の交換、社交、そしてファッションを見せびらかす。以前は、金と岩塩の交換で繁盛した。◆細い路地の奥には生活の場がある。しかし最近、働きざかりは街を出ていき、ジェンネは抜けがらになってしまった。ニジェール河でとれる魚も少ない。砂漠化が迫りつつあるのだ。◆ジェンネ旧市街

多国籍の人々が行き交う京葉コンビナートの街を舞台に、大人の入り口に立った少年の高校最後の夏を描くドラマ。◆高校３年の健治は夏休みも近いというのに進路が決まらず、水泳部の練習に明け暮れていた。ある日、同級生の礼子から、親友の新井との仲を取り持って欲しいと頼まれる。新井は在日韓国人で、水泳部のエースだ。礼子に思いを寄せていた健治は不本意ながらも二人の橋渡しをするが、新井は健治も礼子が好きだという本心を見抜く。夏休み、県大会予選で敗退した健治は何もすることがなく、廃船で暮らす男やスナックの女・リエと出会う。

小学生を対象に、熊本県内各地域に伝わる民話を紹介する。◆この回は「舞尾の市兵衛どん」。

身近な道具を利用して子供たちに「科学」を体験してもらう金沢工業大学のサマーサイエンススクール。１９９８年は“飛ぶ”をテーマに開かれ、中学生を対象にした「空飛ぶ卵」や小学生のグループ制作「夢の飛行機」で性能や美しさを競い合う。◆一方、２日間の工作を通じて子供たち同士の友情が生まれる。とかく無気力・無感動・忍耐なしといわれる子供たちも楽しく科学する場を提供されれば豊かな創造力、アイデアを発揮することを社会に問いかける。